置き換えダイエットやファスティングで抜け毛が増える理由と注意すべき点

「ダイエットを始めてから、排水口にたまる髪の量が急に増えた気がする」――そう感じたことはありませんか。置き換えダイエットやファスティングは、短期間で体重を落とせる方法として人気を集めています。

けれども、極端なカロリー制限や栄養バランスの偏りは、髪の成長サイクルを乱し、抜け毛を引き起こす原因になり得ます。とくに女性は月経による鉄分の消耗もあり、食事制限が髪に与えるダメージは想像以上に大きいものです。

この記事では、ダイエットと抜け毛の関係を医学的な根拠に基づいて解説し、髪を守りながら健康的に体重管理を行うための具体的なポイントをお伝えします。

目次[

置き換えダイエットで抜け毛が増えるのは「休止期脱毛」が原因

置き換えダイエットで髪が抜ける主な原因は、「休止期脱毛(テロゲン・エフルビウム)」と呼ばれる脱毛現象です。急激なカロリー制限によって髪の成長サイクルが乱れ、通常より多くの毛髪が一斉に休止期に入ることで、まとまった抜け毛が生じます。

髪の成長サイクルが乱れる仕組み

私たちの頭髪は、成長期・退行期・休止期という3つの段階を繰り返しています。通常は約90%の毛髪が成長期にあり、活発に伸び続けています。

ところが置き換えダイエットなどで摂取カロリーが急激に減ると、体は生命維持に必要な臓器へエネルギーを優先的に振り分けるようになります。髪の毛母細胞は体の中でも分裂速度がとても速い組織のため、エネルギー不足の影響を受けやすいのです。

ダイエット開始から2〜3か月後に抜け毛が目立ち始める

休止期脱毛の特徴的なパターンとして、カロリー制限を始めてから約2〜5か月後に抜け毛が急増するケースが多く報告されています。これは、成長期から休止期へ移行した毛髪が数か月かけて脱落するためです。

「ダイエットはうまくいっているのに、どうして今になって髪が抜けるの?」と不安に感じる方が多いのは、この時間差があるからでしょう。

カロリー制限と抜け毛発生の時系列

時期体の変化髪への影響
ダイエット開始直後カロリー摂取量が急減毛母細胞への栄養供給が低下
1〜2か月後体重減少が進む成長期の毛髪が休止期へ移行
2〜5か月後体が省エネモードに入る休止期の毛髪が一斉に脱落
食事改善後3〜6か月栄養状態が回復する新たな成長期の毛髪が再び生える

1食置き換えと3食置き換えでは髪へのリスクが大きく異なる

1日3食のうち1食だけをシェイクやスープに置き換える程度であれば、残りの2食で十分な栄養を補えるため、髪への影響は比較的少なく済みます。

一方、2食以上を低カロリー食品に置き換えたり、総カロリーが1日1000kcal未満になるような極端な方法では、たんぱく質・鉄・亜鉛などの栄養素が大幅に不足しやすくなります。こうした極端なカロリー制限は、抜け毛リスクを大きく高めてしまうのです。

ファスティングで抜け毛が起こるのはたんぱく質不足が深く関わっている

ファスティング(断食)による抜け毛は、たんぱく質の摂取不足が大きな要因です。髪の主成分であるケラチンはたんぱく質から作られるため、断食期間中にアミノ酸の供給が途絶えると、毛母細胞の活動が著しく低下します。

髪はケラチンというたんぱく質でできている

毛髪の約95%はケラチンという硬いたんぱく質で構成されています。ケラチンの合成には、食事から摂取するアミノ酸――とりわけシスチンやメチオニンといった含硫アミノ酸が欠かせません。

ファスティング中はこれらのアミノ酸が体内で枯渇しやすくなります。体はまず心臓や肝臓など生命に直結する臓器の維持にたんぱく質を回すため、髪への供給は後回しにされてしまいます。

短期のファスティングでも栄養バランスは崩れやすい

「16時間断食」や「週末だけの断食」といった短期のファスティングであっても、食事の回数が減ることで1日のたんぱく質摂取量が不足しがちです。とくに普段から小食の方や、もともと食事量が少ない女性にとっては、短期間でもたんぱく質不足に陥りやすいといえます。

また、断食後に食べ過ぎてしまい、炭水化物や脂質に偏った食事になるケースも少なくありません。回復食の内容が偏ると、せっかく断食で体をリセットしても、髪に必要な栄養が十分に届かない結果を招きかねません。

酵素ドリンクだけでは髪に必要な栄養は補えない

ファスティング中に酵素ドリンクやスムージーだけで過ごす方も多いですが、これらの飲料には十分な量のたんぱく質やミネラルが含まれていないことがほとんどです。液体から得られるカロリーの大半は糖質であり、髪の合成に直接関わるアミノ酸や鉄、亜鉛はごくわずかしか含まれていません。

「酵素ドリンクを飲んでいるから栄養は足りているはず」と安心してしまうと、実際にはたんぱく質とミネラルが慢性的に不足する危険があります。

栄養素髪への役割不足時の影響
たんぱく質ケラチンの原料髪が細くなり抜けやすくなる
毛母細胞への酸素供給成長期が短縮し脱毛が増える
亜鉛細胞分裂・DNA合成髪の成長速度が低下する
ビタミンD毛包の正常な周期維持休止期脱毛のリスクが上がる

ダイエットによる抜け毛を悪化させる鉄分不足と女性特有の事情

女性がダイエットで抜け毛を起こしやすい背景には、鉄分不足という深刻な問題が潜んでいます。月経のある女性はもともと鉄の消耗が激しく、そこに食事制限が加わると、貯蔵鉄(フェリチン)が急速に低下して髪の健康を損なうのです。

フェリチン値が低いと髪は育ちにくくなる

血液検査でヘモグロビン値が正常範囲であっても、貯蔵鉄を示すフェリチン値が低い状態(いわゆる「隠れ貧血」)は珍しくありません。フェリチン値が30ng/mL以下になると、休止期脱毛のリスクが有意に高まるとの報告があります。

ダイエット中の女性は赤身の肉や魚介類の摂取が減りがちなので、鉄分の補給源が大幅に限られてしまいます。その結果、貧血の自覚症状がなくてもフェリチン値が低下し、髪の成長が滞ってしまうケースが少なくないのです。

月経のある女性はダイエット中の鉄分管理がとくに大切

生理による出血で毎月一定量の鉄が失われるため、月経のある年代の女性は慢性的に鉄が不足しやすい状態にあります。置き換えダイエットやファスティングを行う場合は、意識的に鉄分を多く含む食材を取り入れるか、医師に相談のうえでサプリメントを活用する方法も選択肢になるでしょう。

鉄分を効率よく摂取するための食材例

食材鉄含有量の目安吸収を高める工夫
レバー(豚)約13mg/100gビタミンCを含む野菜と一緒に
あさり約3.8mg/100gクエン酸を含む柑橘類を添えて
小松菜約2.8mg/100g動物性たんぱく質と組み合わせる
納豆約3.3mg/1パックビタミンC豊富な食材を同時に摂る

鉄不足が続くと回復にも時間がかかる

鉄欠乏状態が長期間続いた場合、食事改善だけでは十分なフェリチン値の回復に数か月から半年以上かかることもあります。早い段階で血液検査を受けて自分のフェリチン値を把握しておくことが、抜け毛予防の第一歩です。

とくに置き換えダイエットを2〜3か月以上続けている方や、ファスティングを繰り返し行っている方は、一度医療機関で貧血に関する検査を受けることをおすすめします。

急激な体重減少が引き起こすホルモンバランスの乱れと抜け毛

短期間で大幅に体重が落ちると、ホルモンバランスが崩れて抜け毛が加速する恐れがあります。体重の急減は甲状腺機能やエストロゲン分泌に影響を及ぼし、髪の成長サイクルを不安定にするからです。

体重が急に減ると甲状腺ホルモンのバランスが崩れやすい

甲状腺ホルモンは、全身の代謝を調節すると同時に毛母細胞の活動にも深く関わっています。極端な食事制限を行うと、体が基礎代謝を下げてエネルギーを温存しようとするため、甲状腺ホルモンの分泌量が変動しやすくなります。

甲状腺の機能が低下すると、髪は全体的に細く弱々しくなり、びまん性の薄毛として表れることがあります。この変化は一時的なものであっても、見た目の印象に大きく関わるため、精神的なストレスの原因にもなりかねません。

エストロゲンの低下も女性の抜け毛に影響する

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには、髪の成長期を延長させる働きがあります。過度なカロリー制限や体脂肪率の急激な低下はエストロゲンの分泌を抑制する場合があり、その結果として髪が休止期に入りやすくなるのです。

体脂肪はエストロゲンの産生に関与しているため、ダイエットで体脂肪率を極端に下げすぎることは、髪だけでなく生理不順や骨密度の低下といった全身の健康問題を招く可能性もあるでしょう。

精神的ストレスが抜け毛をさらに悪化させる悪循環

厳しい食事制限はそれ自体が精神的なストレスの原因になります。空腹感や食への罪悪感、「食べたいのに食べられない」というフラストレーションは、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンの分泌を高めます。

コルチゾールの慢性的な上昇は、毛包の炎症を促進し、休止期脱毛をさらに悪化させる要因になりかねません。ダイエット中に髪が抜けることへの不安がさらにストレスを生み、抜け毛が止まらないという悪循環に陥ってしまう方も見られます。

ホルモンの変化原因髪への影響
甲状腺ホルモン低下極端なカロリー制限髪全体が細くなり薄毛が進む
エストロゲン低下体脂肪率の急激な減少成長期が短縮し抜け毛が増える
コルチゾール上昇精神的・身体的ストレス毛包の炎症が進み脱毛が加速する

髪を守りながら痩せるために意識したい食事の工夫

ダイエット中でも髪の健康を維持するには、カロリーを減らしつつも髪に必要な栄養素を確保する食事設計が鍵になります。「何を減らすか」よりも「何を残すか」を意識することが大切です。

たんぱく質は1日の体重1kgあたり1.0〜1.2gを目安に確保する

ダイエット中であっても、体重1kgあたり1.0〜1.2g程度のたんぱく質を毎日摂取することが望ましいとされています。体重55kgの女性であれば、1日に55〜66g程度のたんぱく質が目安です。

鶏むね肉100gで約23g、卵1個で約6g、豆腐1丁で約10gのたんぱく質が含まれています。これらの食材を組み合わせれば、カロリーを抑えながら十分なたんぱく質を確保できるでしょう。

鉄・亜鉛・ビタミンDを含む食品を意識的に選ぶ

髪の成長に欠かせない微量栄養素のうち、とくにダイエット中に不足しやすいのが鉄・亜鉛・ビタミンDです。赤身の肉や魚介類、海藻、きのこ類などをバランスよく取り入れることで、これらの栄養素を食事から確保しやすくなります。

  • 赤身肉・レバー・あさりで鉄分を補給する
  • 牡蠣・牛肉・カシューナッツで亜鉛を摂取する
  • 鮭・きのこ類・卵黄でビタミンDを補う
  • 柑橘類やパプリカでビタミンCを摂り、鉄の吸収率を高める

カロリーの減らし方は「緩やかに」が鉄則

1か月あたりの体重減少は、現在の体重の5%以内に抑えることが安全とされています。60kgの方であれば1か月に3kg以内が目安です。これ以上のペースで体重を落とすと、休止期脱毛が生じるリスクが急激に高まります。

置き換えダイエットを取り入れる場合も、1日の総カロリーが基礎代謝を下回らないように注意してください。基礎代謝を大幅に下回るカロリー制限を続けると、体は飢餓状態に備えて代謝を一気に落とし、髪の成長どころか全身の機能が低下してしまいます。

置き換え食品を選ぶときのチェックポイント

市販の置き換え食品を利用する際は、カロリーだけでなく、含まれるたんぱく質量・鉄・亜鉛・ビタミン類の表記を必ず確認しましょう。1食あたりのたんぱく質が15g以上含まれている製品を選ぶと、髪への影響を最小限に抑えやすくなります。

確認項目推奨される目安理由
たんぱく質量1食あたり15g以上ケラチン合成に必要なアミノ酸を確保
鉄含有量1食あたり3mg以上毛母細胞への酸素供給を維持
総カロリー基礎代謝を下回らない設計毛髪の成長サイクルを維持する

ファスティング後に抜け毛が止まらないときの対処法

ファスティングを終えたのに抜け毛が止まらない場合は、体内の栄養状態がまだ十分に回復していない可能性があります。焦らずに栄養補給と体の回復を優先し、それでも改善しない場合は医療機関を受診しましょう。

まず栄養バランスの整った食事を3か月以上続ける

休止期脱毛は原因が取り除かれてから、新しい髪が生えそろうまでに通常3〜6か月程度かかります。ファスティング後に抜け毛が気になり始めても、バランスの取れた食事を再開すれば、多くの場合は時間の経過とともに回復が見込めるでしょう。

回復期に再び食事を制限したり、焦って極端なダイエットに戻ったりすることは逆効果です。まずはたんぱく質・鉄・亜鉛・ビタミンDを十分に含む食事を、毎日3食きちんと摂ることが回復への近道です。

血液検査で隠れた栄養欠乏がないか確認する

自己判断で栄養補給を続けても改善しないときは、医療機関でフェリチン・亜鉛・ビタミンDなどの血中濃度を測定してもらうと安心です。数値的に不足が見つかれば、医師の指導のもとでサプリメントや鉄剤を処方してもらえます。

自己流でサプリメントを大量に摂取するのは避けてください。ビタミンAやセレンなどは過剰摂取するとかえって抜け毛の原因になることがあり、適切な量を守ることが大切です。

3〜6か月たっても改善しなければ専門医に相談する

バランスのよい食事を再開して半年以上経過しても抜け毛が止まらない場合は、休止期脱毛以外の脱毛症(女性型脱毛症や甲状腺疾患など)が隠れている可能性があります。皮膚科や薄毛治療の専門クリニックで、頭皮の状態やホルモンバランスを詳しく調べてもらいましょう。

早期に正しい診断を受けることで、適切な治療につなげやすくなります。抜け毛に悩む時間が長くなるほど精神的な負担も増すため、「おかしいな」と思ったら早めに受診する勇気を持ってほしいと思います。

経過期間推奨されるアクション
ファスティング終了直後栄養バランスの整った食事を再開する
1〜3か月後抜け毛の経過を観察しながら食事を継続する
3〜6か月後改善が乏しければ血液検査を受ける
半年以上改善なし皮膚科や薄毛専門クリニックを受診する

置き換えダイエットやファスティングで抜け毛を防ぐために知っておきたい生活習慣

食事管理だけでなく、日常の生活習慣を整えることも、ダイエット中の抜け毛予防には欠かせません。睡眠・運動・頭皮ケアなど、毎日の小さな積み重ねが髪を守る力になります。

良質な睡眠を6〜7時間以上確保する

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、毛母細胞の修復と新生を促す働きがあります。夜更かしや慢性的な睡眠不足は成長ホルモンの分泌を減少させ、髪の成長を妨げる要因になり得ます。

生活習慣髪への影響改善のポイント
睡眠不足成長ホルモンの分泌が低下6〜7時間以上の睡眠を目指す
過度な飲酒亜鉛の排出が増加する週に2日以上の休肝日を設ける
喫煙頭皮の血行が悪化する禁煙もしくは本数を減らす
運動不足全身の血流が滞る軽いウォーキングを習慣にする

適度な有酸素運動で血行を促進する

ウォーキングやヨガなどの軽い有酸素運動は、全身の血流を改善し、頭皮への栄養供給を高める効果が期待できます。過度な筋トレやハードな運動はかえってコルチゾールの分泌を増やしてしまうこともあるため、ダイエット中は「心地よく汗をかく」程度の運動を心がけてください。

また、運動にはストレス軽減効果もあります。ダイエット中に感じやすいイライラや不安感を和らげることで、ストレス由来の抜け毛予防にもつながるでしょう。

頭皮への負担を減らすヘアケアを心がける

ダイエット中の髪は栄養が十分に行き届いていないため、普段よりも切れやすく傷みやすい状態です。ヘアアイロンやブリーチなどのダメージの大きい施術は控え、優しいシャンプーで頭皮を清潔に保つことを優先しましょう。

シャンプーの際にゴシゴシ力を入れるのではなく、指の腹で頭皮を軽くマッサージするように洗うと、血行促進にもなり一石二鳥です。髪が抜けることを恐れてシャンプーの回数を減らす方もいますが、頭皮の皮脂や汚れが溜まるとかえって毛穴が詰まり、健康な髪の成長を妨げることになります。

よくある質問

Q
置き換えダイエットによる抜け毛はどのくらいの期間で回復しますか?
A
置き換えダイエットによる抜け毛の多くは「休止期脱毛」と呼ばれるもので、バランスのよい食事に戻してから3〜6か月程度で新たな髪が生え始めるのが一般的です。ただし、栄養不足の期間が長かった場合や、鉄やたんぱく質の欠乏が深刻だった場合は、回復にそれ以上の期間を要するケースもあります。
焦ってサプリメントを大量に摂取するのではなく、まずは毎日の食事で十分な栄養を確保することが回復への近道です。半年以上経っても改善が見られなければ、皮膚科などの専門医への相談をご検討ください。
Q
ファスティング中に抜け毛を予防するために摂るべき栄養素は何ですか?
A
ファスティング中やその前後に意識して摂りたい栄養素は、たんぱく質・鉄・亜鉛・ビタミンDの4つです。とくにたんぱく質は髪の主成分であるケラチンの原料となるため、断食の前後で十分な量を確保することが大切です。
ファスティングの準備期間と回復期間には、赤身肉・魚・大豆製品・卵などのたんぱく質豊富な食品を積極的に取り入れましょう。断食中も水分だけでなく、医師の指導のもとでミネラルやビタミンを補給する工夫が望まれます。
Q
ダイエットの抜け毛と女性型脱毛症(FPHL)はどう見分ければよいですか?
A
ダイエットに起因する休止期脱毛は、頭部全体からまんべんなく髪が抜ける傾向があり、食事を改善すれば数か月で回復するのが特徴です。一方、女性型脱毛症は頭頂部を中心に髪が徐々に細く薄くなり、食事を見直しても進行が止まらないことが多いです。
自己判断では見分けがつきにくいため、ダイエット終了後3〜6か月経っても抜け毛が改善しない場合は、皮膚科やトリコロジー(毛髪科学)の専門医に相談されることをおすすめします。正確な診断を受けることで、適切な治療方針が見えてきます。
Q
16時間断食(インターミッテントファスティング)でも抜け毛は起きますか?
A
16時間断食は完全な絶食ではないため、食事の内容が適切であれば抜け毛のリスクは比較的低いといえます。ただし、食事を摂れる8時間の間にたんぱく質や鉄などの栄養を十分に確保できていなければ、抜け毛が増える可能性は否定できません。
とくに朝食を抜いて昼と夜だけ食べるパターンでは、1日のたんぱく質摂取量が不足しがちです。断食をしない時間帯に、意識的にたんぱく質とミネラルを豊富に含む食事を摂るようにしてください。
Q
ダイエット中の抜け毛を相談する場合、何科を受診すればよいですか?
A
ダイエットに伴う抜け毛の相談先としては、皮膚科が第一選択です。皮膚科では頭皮や毛髪の状態を視診・触診で確認し、必要に応じて血液検査(フェリチン・亜鉛・甲状腺機能など)を行えます。
食事内容に問題がある場合は、管理栄養士がいるクリニックや、婦人科との連携が取れる医療機関を選ぶと、栄養指導やホルモンバランスの評価もあわせて受けられるため安心です。
Reference

Guo, E. L., & Katta, R. (2017). Diet and hair loss: effects of nutrient deficiency and supplement use. Dermatology Practical & Conceptual, 7(1), 1–10. https://doi.org/10.5826/dpc.0701a01

Almohanna, H. M., Ahmed, A. A., Tsatalis, J. P., & Tosti, A. (2019). The role of vitamins and minerals in hair loss: A review. Dermatology and Therapy, 9(1), 51–70. https://doi.org/10.1007/s13555-018-0278-6

Rushton, D. H. (2002). Nutritional factors and hair loss. Clinical and Experimental Dermatology, 27(5), 396–404. https://doi.org/10.1046/j.1365-2230.2002.01076.x

Goette, D. K., & Odom, R. B. (1976). Alopecia in crash dieters. JAMA, 235(24), 2622–2623. https://doi.org/10.1001/jama.1976.03260500038026

Chien Yin, G. O., Siong-See, J. L., & Wang, E. C. E. (2021). Telogen effluvium – a review of the science and current obstacles. Journal of Dermatological Science, 101(3), 156–163. https://doi.org/10.1016/j.jdermsci.2021.01.007

Trost, L. B., Bergfeld, W. F., & Calogeras, E. (2006). The diagnosis and treatment of iron deficiency and its potential relationship to hair loss. Journal of the American Academy of Dermatology, 54(5), 824–844. https://doi.org/10.1016/j.jaad.2005.11.1104

Deloche, C., Bastien, P., Chadoutaud, S., Galan, P., Bertrais, S., Hercberg, S., & de Lacharrière, O. (2007). Low iron stores: a risk factor for excessive hair loss in non-menopausal women. European Journal of Dermatology, 17(6), 507–512. https://doi.org/10.1684/ejd.2007.0265

Trüeb, R. M. (2021). “Let food be thy medicine”: Value of nutritional treatment for hair loss. International Journal of Trichology, 13(6), 1–3. https://doi.org/10.4103/ijt.ijt_124_20

Singh, S., & Rajput, R. (2019). Dietary protein deficit and deregulated autophagy: A new clinico-diagnostic perspective in pathogenesis of early aging, skin, and hair disorders. Indian Dermatology Online Journal, 10(2), 115–124. https://doi.org/10.4103/idoj.IDOJ_123_18

Kantor, J., Kessler, L. J., Brooks, D. G., & Cotsarelis, G. (2003). Decreased serum ferritin is associated with alopecia in women. Journal of Investigative Dermatology, 121(5), 985–988. https://doi.org/10.1046/j.1523-1747.2003.12540.x

執筆・監修医師

藤井麻美
藤井麻美
あさ美皮フ科亀戸駅前 院長

あさ美皮フ科亀戸駅前 院長
皮膚科専門医/医学博士
略歴:愛媛大学医学部を卒業後に大阪大学医学部皮膚科へ入局。退役軍人病院(米国ロサンゼルス州)皮膚科、岐阜大学医学部付属病院皮膚科を経て当院を開業。

所属:日本皮膚科学会/日本レーザー医学会/日本乾癬学会/日本アレルギー学会/江東区医師会