生え際は後退しないのが特徴?男性型脱毛症とFAGAの決定的な違い

女性の薄毛は、男性のように生え際が明確に後退するのではなく、頭頂部を中心に髪全体のボリュームが失われていく「びまん性」の進行が大きな特徴です。

男性型脱毛症(AGA)が局所的な脱毛を引き起こすのに対し、FAGA(女性男性型脱毛症)はホルモンバランスの変化や血流不足など複合的な要因で発症します。

この記事では、男女の脱毛症の決定的な違いを多角的に解説し、女性特有の症状や適切な対策について詳しく紐解いていきます。

ご自身の症状を正しく理解し、適切なケアを選択するための指針としてお役立てください。

目次[

男性型脱毛症(AGA)と女性の薄毛(FAGA)の定義と根本的な違い

男性型脱毛症(AGA)と女性の薄毛(FAGA)は、発症メカニズムや進行パターンにおいて根本的に異なります。

男性の場合は特定のホルモンが強力に作用して局所的な脱毛を引き起こすのに対し、女性の場合は加齢やホルモンバランスの乱れに加え、生活習慣など多様な要因が複雑に絡み合っています。

AGA(男性型脱毛症)とは何か

AGAはAndrogenetic Alopeciaの略で、成人男性によく見られる進行性の脱毛症を指します。

主な原因は男性ホルモンの一種であるテストステロンが、還元酵素の影響を受けてジヒドロテストステロン(DHT)という強力なホルモンに変化することにあります。

このDHTが毛乳頭細胞にある受容体と結合し、髪の成長期を極端に短くしてしまいます。

その結果、髪が太く長く育つ前に抜け落ちてしまい、毛包が徐々に縮小していく現象が起きます。

特に前頭部や頭頂部は男性ホルモンの影響を受けやすいため、この部分から薄毛が進行するのが一般的です。

放置すると症状は進行し続け、最終的には産毛しか生えない状態になることもあります。遺伝的な要素も強く、家族に薄毛の人がいる場合、発症リスクが高まる傾向にあります。

男女の脱毛症の基本的性質の比較

比較項目男性型脱毛症(AGA)女性の薄毛(FAGA/FPHL)
主な進行パターン生え際や頭頂部から局所的に進行頭頂部を中心に全体が薄くなる
完全な脱毛進行すると地肌が完全に露出する完全に髪がなくなることは稀
発症の主因男性ホルモンと遺伝の影響が大ホルモン減少、加齢、環境要因など複合的
発症時期20代から発症することも多い40代以降の更年期前後に多い

FAGA(女性男性型脱毛症)およびFPHLの概念

一方、女性の薄毛はかつてFAGA(Female Androgenetic Alopecia)と呼ばれていましたが、近年ではFPHL(Female Pattern Hair Loss:女性型脱毛症)という呼称が国際的に用いられるようになっています。

これは、女性の薄毛が必ずしも男性ホルモンの影響だけで説明できるものではないためです。

女性の場合、更年期などを境に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少します。エストロゲンには髪の成長期間を持続させ、健康な髪を保つ働きがあります。

この保護機能が低下するため、相対的に体内の男性ホルモンの影響が強まったり、血流不全や栄養不足といった要因が重なったりして薄毛が引き起こされます。

男性のように完全に毛髪が消失することは稀で、全体的に密度が低下するのが特徴です。

なぜ名称や分類が区別されているのか

男性と女性で薄毛の分類が分けられている理由は、治療法や対処法が大きく異なるからです。

男性に有効な治療薬が女性には効果がなかったり、逆に副作用のリスクがあったりする場合もあります。また、社会的な背景や心理的な影響も男女で異なります。

女性の薄毛は「病気」というよりも「老化現象の一部」や「ホルモンバランスの変調」として捉えられる側面が強く、全身の健康状態と密接に関わっています。

そのため、単に頭皮だけを見るのではなく、体全体の状態を見直す視点が重要です。

正しい分類を理解することは、誤ったケアを避け、自分に適した解決策を見つけるための第一歩となります。

「生え際」に現れる症状の決定的な違いと見分け方

男性は生え際のラインそのものが後退していくのに対し、女性は生え際のラインは維持されつつ、その奥の密度が低下する傾向にあります。

これは男女の解剖学的な違いやホルモン受容体の分布によるものであり、最も視覚的に判断しやすい差異の一つです。

男性特有の「M字型」「O字型」の後退パターン

男性のAGAにおける最大の特徴は、生え際(前頭部)の両サイドが剃り込みを入れたように後退していく「M字型」の進行です。

あるいは、つむじ周辺(頭頂部)が円形に薄くなっていく「O字型」、その両方が同時に進行する複合型が見られます。

これは、前頭部や頭頂部の毛乳頭に、脱毛を引き起こす酵素(Ⅱ型5αリダクターゼ)が多く分布しているためです。

この酵素の働きにより、ヘアサイクルが乱され、太い髪が育たなくなります。

その結果、生え際のラインが明確に後ろへと下がっていき、額の面積が物理的に広がっていく現象が起きます。

これは非常に分かりやすいサインであり、AGAの典型的な初期症状と言えます。

生え際と頭皮の症状比較

観察ポイント男性の症状女性の症状
生え際のライン明確に後退し、額が広がる位置は変わらず維持されることが多い
分け目の状態意識されないことが多い徐々に広がり、地肌が目立つ
毛髪の太さ産毛化して消失する全体的に細くなり、ハリが失われる
進行のスピード比較的早く、変化が目に見えやすい緩やかで、気づきにくい場合がある

女性に見られる「クリスマスツリー型」や「びまん性」の薄毛

対照的に、女性の薄毛では生え際の最前列の髪は残ることがほとんどです。

これは、前頭部の生え際付近には、女性ホルモンを男性ホルモンに変える酵素の一種(アロマターゼ)が多く分布しており、これが毛包を保護する役割を果たしているためと考えられています。

その代わり、生え際から少し後ろの頭頂部に向かって、分け目が広がるように薄くなるパターンが多く見られます。

これを上から見ると、クリスマスツリーの枝振りのように見えることから「クリスマスツリー型」と呼ばれることもあります。

また、特定の部分だけでなく、髪全体の密度が均一に低下し、頭皮が透けて見える状態を「びまん性脱毛症」と呼びます。

髪一本一本が細くなり、コシがなくなることで全体のボリュームがダウンします。

生え際が後退しない理由と前頭部の特徴

女性の生え際が後退しにくい理由は、解剖学的な違いとホルモンの作用機序の違いにあります。

女性の前頭部の毛包は、男性ホルモンの攻撃に対して比較的強い抵抗力を持っています。したがって、AGAのような劇的なラインの後退は起こりにくいのです。

しかし、後退しないからといって安心はできません。生え際の髪自体が細く弱々しくなることで、地肌が透けて見え、「おでこが広くなった」と錯覚することがあります。

また、ポニーテールなどで日常的に髪を強く引っ張っている場合は、牽引性脱毛症によって物理的に生え際が後退することはありますが、これはホルモン性のFAGAとは別の原因によるものです。

自分の生え際の状態を観察する際は、ラインの位置よりも、髪の「質」や「密度」に注目することが大切です。

ホルモンバランスと加齢が及ぼす影響のメカニズム

髪の成長と維持にはホルモンが重要な役割を果たしており、その作用は男女で正反対とも言える違いがあります。

男性にとっては男性ホルモンが薄毛のトリガーとなりますが、女性にとっては女性ホルモンの減少が薄毛の直接的な引き金となります。

エストロゲンの減少とヘアサイクルの変化

女性の髪の美しさを支えているのは、卵胞ホルモンである「エストロゲン」です。エストロゲンには、髪の成長期を延長させ、髪の毛にハリやコシを与える働きがあります。

通常、髪の成長期は2年から6年程度続きますが、エストロゲンが十分に分泌されている間は、この成長期が長く保たれ、太く健康な髪が維持されます。

しかし、30代後半から40代に入ると、卵巣機能の低下とともにエストロゲンの分泌量は徐々に減少します。さらに閉経前後になると急激に低下します。

成長期を維持する力が弱まると、髪は十分に太く育つ前に成長を止めてしまい、休止期に入る髪の割合が増えます。

その結果、新しい髪が生えてくるスピードよりも抜けるスピードや成長が止まるスピードが上回り、全体的なボリュームダウンを招きます。

ホルモンと髪の関係性まとめ

ホルモン名称女性の髪への主な作用加齢による変化
エストロゲン(卵胞ホルモン)髪の成長期を延ばし、成長を促す更年期に向けて急激に減少する
プロゲステロン(黄体ホルモン)ヘアサイクルの維持に関与エストロゲンと同様に減少する
テストステロン(男性ホルモン)相対的に優位になると脱毛を促す可能性分泌量は緩やかに低下するが比率は高まる

男性ホルモンの相対的な優位性

女性の体内にも、微量ながら男性ホルモン(テストステロン)が存在し、筋肉や骨格の維持などに役立っています。

若い頃は豊富な女性ホルモンが男性ホルモンの働きを抑えているため、髪への悪影響は表面化しません。

ところが、加齢によって女性ホルモンが減少すると、体内のホルモンバランスが崩れ、相対的に男性ホルモンの影響力が強まる状態になります。

そのため、男性のAGAと同じようなメカニズムが弱く働き、毛母細胞の活動が阻害されることがあります。

とはいえ、男性ほどの強力な影響はないため、完全なハゲになることは稀ですが、頭頂部を中心に薄毛が進行する要因の一つとなります。

ライフステージごとのホルモン変動

女性の体は一生を通じてホルモンバランスが大きく変動します。思春期、妊娠・出産期、更年期、老年期と、それぞれのステージで髪の状態も変化します。

特に産後は、妊娠中に増加していた女性ホルモンが一気に通常値に戻るため、一時的に大量の抜け毛が発生する「分娩後脱毛症」が起こります。

これは生理的な現象であり、通常は半年から1年程度で自然に回復します。

しかし、高齢出産や育児ストレス、栄養不足などが重なると、そのままFAGAへと移行してしまうケースもあります。

ピルの服用中止などもホルモンバランスの変化を引き起こし、一時的な抜け毛の原因となることがあります。

自分のライフステージと髪の変化を関連付けて理解することが、不要な不安を取り除くために役立ちます。

進行スピードと自覚症状の現れ方

薄毛の進行速度や自覚症状の現れ方も、男女で大きく異なります。

男性の薄毛は自覚してから進行が早いケースが多い一方、女性の場合は違和感から始まり、数年かけてゆっくりと進行するため、初期段階での発見が難しい傾向にあります。

男性は急速かつ顕著に進行する傾向

男性のAGAは、スイッチが入ったように進行が加速することがあります。

特に20代や30代で発症する若年性脱毛症の場合、数年で外見が大きく変わるほどの変化を見せることが珍しくありません。

生え際の後退や頭頂部の地肌露出は、鏡を見れば一目瞭然であり、周囲の人からも気づかれやすい特徴があります。

この急速な進行は、DHT(ジヒドロテストステロン)による毛包への攻撃が強力かつ継続的であるためです。

治療を行わない限り、自然に回復することはほとんどなく、確実に進行していくのがAGAの怖いところです。

女性は緩やかで周期的な変化をする

女性のFAGAは、進行が非常に緩やかです。数ヶ月単位で劇的に変わることは少なく、数年、あるいは10年単位で徐々にボリュームが減っていきます。

季節の変わり目(特に秋)に抜け毛が増え、その後少し落ち着くといった周期的な変動を繰り返すことも特徴です。

初期段階では「髪のセットが決まらなくなった」「分け目が目立つようになった」といった些細な変化として現れます。

痛みやかゆみなどの自覚症状がないため、単なる加齢や季節のせいにして見過ごしてしまいがちです。

しかし、この「緩やかな変化」の間に適切なケアを行うことで、進行を食い止め、改善できる可能性が高いのも女性の薄毛の特徴です。

初期段階で見逃しやすいサイン

女性の薄毛は「抜け毛の本数」よりも「髪の質」の変化にサインが現れます。床に落ちている髪の毛を見て、以前よりも細く短い髪が増えていないか確認することが大切です。

これは成長しきれずに抜けてしまった髪であり、ヘアサイクルが短くなっている証拠です。

注意すべき初期の自覚症状リスト

  • 以前と同じ髪型なのに、分け目がパックリと割れてしまう
  • 髪の根元の立ち上がりが悪く、ボリュームが出にくい
  • 髪を結んだ時のゴムが以前より緩く感じるようになった
  • 床や枕元の抜け毛の中に、細くて短い毛が多く混ざっている
  • 頭皮が透けて見える範囲が以前より広がった気がする
  • 髪の毛のツヤがなくなり、パサつきが目立つようになった

また、頭皮の硬さや色の変化も重要なサインです。血行が悪くなると頭皮は硬くなり、青白い健康な色から赤茶けた色に変化することがあります。

これらのサインは、薄毛が本格化する前の「予兆」です。

日々のブラッシングやシャンプーの時に、自分の髪と頭皮の状態を意識的に観察する習慣を持つことが、早期発見の鍵となります。

治療法や対策における性別による制限と選択肢

性別によって使用できる薬剤や治療アプローチには明確な制限があります。

特に男性用の治療薬を女性が使用することは、重大な健康被害を招く恐れがあるため、絶対避けなければなりません。

安全かつ効果的な治療選択のためには、男女の治療法の違いを正しく理解する必要があります。

男性用治療薬(フィナステリド等)の女性への禁忌

AGA治療のスタンダードである「フィナステリド」や「デュタステリド」といった内服薬は、女性、特に妊娠中や妊娠の可能性がある女性の使用が禁忌とされています。

これらの薬剤は男性ホルモンの働きを抑制する作用がありますが、もし妊娠中の女性が服用したり、割れた錠剤の粉末に触れて成分を吸収したりすると、胎児(男児)の生殖器の形成に異常をきたす恐れがあるからです。

経皮吸収されるリスクもあるため、パートナーがこれらの薬を服用している場合は、管理場所に注意が必要です。

女性の薄毛治療においては、ホルモンそのものを操作するのではなく、栄養補給や発毛因子の活性化、頭皮環境の改善といったアプローチが中心となります。

安易に個人輸入などで薬を入手せず、必ず医師の指導のもとで安全な治療を選択することが重要です。

ミノキシジルの濃度と使用方法の違い

発毛成分として世界的に認められている「ミノキシジル」は、男女ともに使用可能です。しかし、推奨される濃度に違いがあります。

一般的に、男性用の外用薬は濃度5%が標準ですが、女性用は1%から高くても5%未満の設定が一般的です。

これは、女性が高濃度のミノキシジルを使用すると、頭皮のかぶれや、顔の産毛が濃くなるといった副作用が出やすいためです。

内服のミノキシジル(ミノタブ)についても、高い発毛効果が期待できる反面、循環器系への負担や体毛の増加といった副作用のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

女性のデリケートな体質に合わせ、低濃度から開始し、経過を見ながら調整していくことが望ましい使用法です。

女性に特化したサプリメントやメソセラピー

女性の薄毛は栄養不足が原因であることも多いため、サプリメントによる内側からのケアが非常に有効です。

髪の材料となるタンパク質(ケラチン)、亜鉛、鉄分、ビタミン類に加え、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンやエクオールなどをバランスよく摂取することが推奨されます。

主な治療成分と男女の適用比較

成分・治療法男性への適用女性への適用
フィナステリド・デュタステリド第一選択薬として推奨使用禁止(特に妊婦は禁忌)
ミノキシジル外用薬濃度5%以上が一般的濃度1%〜2%程度が推奨
パントガール(内服サプリ)使用可能だが一般的ではない女性のびまん性脱毛症に有効
ホルモン補充療法行わない更年期障害の治療と兼ねて行う場合あり

また、クリニックで行われる「メソセラピー(注入治療)」も選択肢の一つです。

これは、成長因子やビタミンなどを頭皮に直接注入する方法で、副作用のリスクを抑えつつ、毛根に直接栄養を届けることができます。

内服薬に抵抗がある女性や、即効性を求める場合に適した治療法です。ホームケアとクリニックでの専門治療を組み合わせることで、より高い改善効果が期待できます。

生活習慣が薄毛に与える影響の度合い

遺伝的要素が強い男性のAGAに対し、女性のFAGAは日々の生活習慣が発症や進行に深く関わっています。

生活習慣を見直すだけで、症状の改善や予防ができる余地が大きいのが女性の薄毛の特徴です。

過度なダイエットと栄養不足のリスク

女性特有の薄毛原因として最も多いのが、無理なダイエットによる栄養失調です。

体は生命維持に関わる臓器へ優先的に栄養を送るため、髪や爪といった末端の組織への栄養供給は後回しにされます。

極端な食事制限、特に糖質や脂質を完全にカットするようなダイエットを行うと、原料不足で健康な髪が作れなくなります。

また、月経による鉄分不足(貧血)も、毛母細胞への酸素供給を低下させ、抜け毛の原因となります。

「食べていないから痩せた」のではなく「やつれた」状態になると、髪も同様に痩せ細ってしまいます。

髪の健康は、バランスの取れた食事の延長線上にあることを認識することが大切です。

ストレスと睡眠の質が髪に及ぼす影響

ストレスは自律神経を乱し、血管を収縮させます。頭皮の毛細血管は非常に細いため、血流が悪くなると真っ先に影響を受け、毛根に栄養が届かなくなります。

現代社会で働く女性や、育児・介護に追われる女性は、常にストレスにさらされており、これが薄毛の隠れた大きな要因となっています。

さらに、髪の成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。睡眠不足や質の悪い睡眠は、髪の修復・成長タイムを奪うことと同じです。

寝る前のスマートフォンの使用を控える、リラックスできる入浴時間を確保するなど、副交感神経を優位にして質の高い睡眠をとることが、高価な育毛剤を使うこと以上に重要な場合があります。

見直すべき生活習慣チェックリスト

  • 短期間で体重を減らす急激なダイエットを繰り返している
  • タンパク質不足で、お菓子やパンだけで食事を済ませることが多い
  • 慢性的な睡眠不足で、朝起きても疲れが取れていない
  • 仕事や家庭のストレスで、常にイライラや不安を感じている
  • 毎日同じ髪型で、きつく結ぶことが多い
  • シャンプーの際、爪を立てたりすすぎが不十分だったりする
  • 喫煙習慣がある(喫煙は血管を収縮させ、ビタミンを破壊します)

ヘアケア習慣と牽引性脱毛症

毎日同じ場所で髪を結び続けたり、エクステを長時間つけたりすることで起こる「牽引性脱毛症」も女性に多く見られます。

これは物理的な負担によって毛根がダメージを受け、髪が生えなくなる症状です。

分け目を定期的に変える、髪を強く引っ張りすぎないヘアスタイルにするなどの工夫が必要です。

また、過度な洗髪や洗浄力の強すぎるシャンプーの使用は、頭皮の乾燥を招き、バリア機能を低下させます。逆に、洗髪不足による皮脂詰まりも炎症の原因となります。

自分の頭皮タイプに合ったシャンプーを選び、正しい方法で洗うことが、土壌である頭皮環境を整える基本となります。

専門機関への受診タイミングと選び方

女性の薄毛は早期に対処すればするほど、回復の可能性が高まります。

「まだ病院に行くほどではない」と迷っている間に進行してしまうケースが多いため、専門家の助けを借りるべきタイミングと、信頼できるクリニックの選び方を把握しておくことが重要です。

セルフケアと医療ケアの境界線

生活習慣の改善や市販の育毛剤を使用しても、半年以上抜け毛が減らない、あるいは薄毛が進行していると感じる場合は、セルフケアの限界を超えている可能性があります。

また、急激に大量の髪が抜ける場合や、頭皮に湿疹や痛みがある場合は、円形脱毛症や皮膚疾患の可能性もあるため、早急な受診が必要です。

医療機関では、血液検査やマイクロスコープによる頭皮診断を行い、薄毛の原因を客観的に特定できます。甲状腺の病気など、内科的な疾患が隠れている場合も見逃しません。

「気になり始めた時」が、相談に行くベストなタイミングです。

カウンセリングだけであれば無料で行っているクリニックも多いため、まずは専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。

皮膚科と薄毛治療専門クリニックの違い

受診先としては、一般の「皮膚科」と「薄毛治療専門クリニック(FAGAクリニック)」の2つがあります。

一般の皮膚科は、頭皮の炎症や円形脱毛症などの「疾患」を治すことが主目的であり、薄毛治療に関しては保険適用の範囲内での対応となることが多く、治療の選択肢が限られる場合があります。

クリニック選びのポイント比較

要素一般皮膚科薄毛治療専門クリニック
主な目的皮膚疾患の治療・炎症止め発毛・育毛・美容的改善
治療内容内服薬・外用薬(種類は限定的)内服・外用・注入・植毛など多彩
検査体制視診が中心血液検査・遺伝子検査・詳細な画像診断
プライバシー一般患者と同じ待合室が多い個室対応・完全予約制が多い

一方、専門クリニックは「髪を生やすこと」「見た目を美しくすること」に特化しています。

自由診療が中心となるため費用は高くなりますが、最新の治療法や豊富な薬剤、サプリメントの中から、一人ひとりの症状や予算に合わせたオーダーメイドの治療を受けることができます。

また、プライバシーへの配慮が行き届いている点も、女性にとっては大きなメリットです。

早期発見・早期治療のメリット

毛包には寿命があります。ヘアサイクルが尽きてしまい、毛包が完全に萎縮して消失してしまうと、どんなに優れた治療を行っても髪を再生させることは困難になります。

FAGAの初期段階、つまり毛包がまだ生きている状態で治療を開始できれば、休止している毛包を再び活性化させ、元の太い髪に戻せる確率が格段に上がります。

また、早期であれば弱い薬やサプリメントだけで改善する場合もあり、結果的に治療費や期間を抑えることにもつながります。

悩み続けるストレス自体が薄毛を悪化させる要因にもなるため、早めに専門家と繋がり、安心感を得ることは精神衛生的にも非常に大きな意義があります。

Q&A

Q
女性でも生え際が後退してしまうケースはありますか?
A
基本的には女性の薄毛は頭頂部から全体に広がることが多いですが、例外もあります。

例えば、長期間強く髪を引っ張る髪型を続けることで起こる「牽引性脱毛症」では、生え際のラインが後退することがあります。

また、海外で報告されている「前頭部線維性脱毛症」という稀な疾患では、生え際が帯状に後退することがあります。

もし生え際が急速に後退していると感じる場合は、通常のFAGAとは異なる原因の可能性があるため、早めに皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
Q
夫が使っている育毛剤を一緒に使っても大丈夫ですか?
A
基本的に、男性用の育毛剤を女性が使用することは避けてください。

男性用製品には、女性の使用が推奨されない成分や、女性の頭皮には刺激が強すぎる成分(高濃度のエタノールやミノキシジルなど)が含まれている場合があります。

逆に効果がないばかりか、頭皮トラブルの原因になることもあります。

「男女兼用」と明記されているものか、女性の頭皮環境に合わせて作られた「女性用育毛剤」を選ぶことが大切です。
Q
閉経後に薄くなった髪は、もう元には戻らないのでしょうか?
A
閉経によって女性ホルモンが減少することは避けられませんが、決して諦める必要はありません。

適切な治療やケアを行うことで、髪のハリやコシを取り戻し、ボリュームを改善することは十分可能です。

減少したエストロゲンの働きを補うサプリメントの活用や、頭皮の血流改善、発毛シグナルを促す外用薬などを組み合わせることで、70代や80代でも改善効果を実感されている方は多くいらっしゃいます。
Q
母親が薄毛だと、娘の私も将来必ず薄毛になりますか?
A
薄毛には遺伝的な要因も関与していますが、男性のAGAほど単純な遺伝形式ではありません。

母親が薄毛だからといって、必ずしも娘が同じようになるとは限りません。女性の薄毛は遺伝だけでなく、食事、睡眠、ストレス、ヘアケア習慣などの環境要因が大きく影響します。

遺伝的素因を心配するよりも、今の生活習慣を整え、予防的なケアを早めに始めることで、発症リスクを大幅に下げることができます。
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執筆・監修医師

藤井麻美
藤井麻美
あさ美皮フ科亀戸駅前 院長

あさ美皮フ科亀戸駅前 院長
皮膚科専門医/医学博士
略歴:愛媛大学医学部を卒業後に大阪大学医学部皮膚科へ入局。退役軍人病院(米国ロサンゼルス州)皮膚科、岐阜大学医学部付属病院皮膚科を経て当院を開業。

所属:日本皮膚科学会/日本レーザー医学会/日本乾癬学会/日本アレルギー学会/江東区医師会