男性型脱毛症

食事や生活習慣で薄毛は改善できる?禿げたくないならやめるべき習慣とは

わかめ
藤井 麻美

「わかめを食べると髪の毛が生えるって教えてもらった。」
「油物を食べると抜け毛が増えるらしい。」
こんな話を耳にしたことはありませんか?

「食事が体を作る」とは言いますが、果たして毛髪や薄毛に関係するのでしょうか?

というわけで今回は

  • 食生活による薄毛の影響
  • 髪の毛に良い食事・悪い食事

についてお答えしていこうと思います。

薄毛の原因をおさらい

まず食生活を確認する前に、抜け毛の原因を軽く確認しましょう。

男性ホルモンDHT

男性の薄毛の症状(AGA)は主に男性ホルモンDHTの影響で発症し、ヘアサイクルが乱れることにより脱毛が増え、発毛が減り薄毛が進行します。

しかし全てが男性ホルモンの影響というわけではなく、それ以外にもなさまざまな原因が。

頭皮環境

頭皮・毛穴の汚れ

抜け毛が増える場合どのようなものが原因であっても、その数を増減させるのが頭皮環境の清潔さです。

頭皮から生える髪の毛は、いわば畑と作物のような関係。いくら栄養を与えても畑の土質がダメだったらなかなか作物は育ちませんよね。

特に気をつけないといけないのは、毛穴の汚れ。皮脂が溜まった毛穴は毛根に十分な栄養や酸素が行き届かなくなるため、抜け毛の原因になります。

栄養不足

毛髪は毛の根本にある毛母細胞が分裂し角質化して髪の毛になります。

毛髪の部位の名称

この毛母細胞(もうぼさいぼう)は毛細血管から栄養を受け取ることによって活動していますが、当然栄養が少なければ毛母細胞活動は少なくなります。

その結果髪質が悪化したり、髪の毛は途中で成長をやめ抜け毛が多くなることも。

睡眠不足

睡眠

髪の成長には成長ホルモンの分泌が必要です(先ほどのDHTとは異なるホルモン)。

この成長ホルモンは就寝後3時間に最も分泌され、深い眠りに入ることが重要と言われています。

睡眠不足によって成長ホルモンの分泌が減れば、髪の成長を阻害し抜け毛が増える原因に

ストレス

ストレスによって自律神経が乱れると、体の機能が低下し血流が悪くなることがあります。そのため毛細血管など体の隅々に血液が行き届かなくなり、毛母細胞による髪の発育に悪影響が。

ストレスを溜めるのは発毛以外にもいいことはひとつもないので、薄毛関係なく、できるだけストレスを溜めないように生活しましょう。

食生活は薄毛の原因になり得る

先ほどいくつかの要因を述べましたが、食生活はどのような理由で髪に悪い影響を及ぼすでしょうか?

それは「頭皮環境」と「栄養不足」です。

油分の多いものを摂取すると、皮脂の量が増え頭皮の毛穴に油が詰まりやすくなります。また、栄養不足も毛母細胞の活動を減退。

ただし、食事による影響はそこまで大きいとは言えないので、薄毛が既に気になり始めた方はクリニックに相談に行くことをおすすめします。

次から説明する食事はもちろん接種を推奨するものではありますが、影響はあくまで予防の域を超えないことを理解してください。

摂取を控えた方が良い食事

まずどのような食事が頭皮に悪い影響を与えるか説明します。

脂質が多い料理

揚げ物

これに関してはなんとなくイメージがつきますよね。揚げ物や脂がおおいラーメンなどはもちろん、お肉にも注意が必要です。

脂質が多い食事をすると、皮脂の分泌が増え頭皮のベタつきが増えます

痩せるのと、薄毛になるのはまた違う要素ではあるのですが、共通認識として脂質を控えた方が良いです。

世間的になんとなく、肉は痩せるという間違った認識が広がっていますが、それは肉の種類によります。カルビ・ハラミ・豚トロ・タンは意外と油が多いので、気をつけてください。

話は若干それますが、時折焼肉屋で「肉は痩せるから平気、お酒に気をつけないといけない」という間違った糖質制限ダイエットをしている方の声が聞こえてきますが、、、

それはお肉の種類によります。

栄養不足

ハンバーガー

先ほどの焼肉・ラーメンもそうですが、加えてファーストフードや甘いものばかりというのもあまりおすすめできません。

ビタミンが少なく脂質・糖質ばかりの食事では、血行不良に加えて必要な栄養素が足りないため毛母細胞の活動が低下します。

摂取を推奨する栄養素と食事

ではどんな食事が、薄毛対策に効果があるのでしょう。
成分とその役割をまとめました。

成分役割
タンパク質髪の毛の主成分
ビタミン細胞分裂と新陳代謝を促進
L-リジンケラチンの生成を促す
グルタミン酸髪の毛に潤いを与える
カプサイシン血行促進

基本的にはタンパク質とビタミンが豊富に含まれている食事をしっかり摂取することを意識してください。

残りのものに関しては必要なものではあるのですが、食事で摂取するのは少し面倒なのでサプリメントを使ってもいいかもしれません。

とはいえ食事の好みによっては十分に摂取できているもの、摂取が足りないものなどあると思いますので、これらの栄養素を含む食事を紹介します。

タンパク質

髪の毛は80~90%がタンパク質でできています。それ以外にもタンパク質は皮膚・爪・骨・内蔵人体のほとんどがタンパク質で構成されているため、タンパク質の摂取が十分でない場合髪の毛・皮膚のハリがなくなってしまいます。

タンパク質は肉・魚・チーズ・卵・大豆などに多く含まれています。

しかし、最近ではさまざまな種類のプロテインがコンビニでも売られていますので、足りないと思えば比較的簡単に摂取することができるでしょうし、ダイエットをする場合はタンパク質の摂取を意識するようにしてください。

ケラチン

髪の80~90%はタンパク質と伝えましたが、その中でも細かい成分があり、髪を構成するタンパク質の80%はケラチンという成分です。

ですので狙って摂取するならケラチンを取ると良いですが、当然タンパク質を摂取しようとすれば十分な量のケラチンを摂取することができます。

ビタミン

ビタミンはその種類によって、効果が異なります。特に重要なのがビタミンBとCです。

ビタミンBは細胞分裂を活性化させ、髪の成長を促進します。肌のシミなどが気になる方は肌のターンオーバーも促すので積極的に摂取しましょう。

ビタミンCは毛細血管の生成をサポートします。毛細血管は栄養をしっかり届けてくれるのでこちらも重要な成分です。

ビタミンBは豚肉・お刺身・バナナ・パプリカ、ビタミンCはアセロラ・レモン・ブロッコリー・パプリカなどの果物や野菜に多く含まれています。

グルタミン酸

グルタミン酸は毛髪に潤いを与えてくれる成分で、たんぱく質を構成する20種のアミノ酸の1つです。

グルタミン酸はチーズ・昆布・トマト・アスパラガス・ブロッコリーなどに多く含まれます。

カプサイシン

カプサイシンは辛味をもたらす成分で、血行を促進します。体がぽかぽかするのはこの効果です。

カプサイシンは主に唐辛子に多く含まれるため、食材で考えるのではなくカレーやキムチなどを食べるようにするといいと思います。

薄毛と食事に関する都市伝説

仕事柄、薄毛に関してさまざまな噂を耳にしますが、その噂は本当なのでしょうか?

結論からいいますが、本当ではありません。髪の毛が増えるという医学的根拠と関係は確認されていません。

わかめを食べたら髪の毛が生えるって本当?

しかし、タンパク質・ビタミンが含まれているため、全くの影響がないとは言い切れませんが、他の食事でも摂取でき、特別優秀な食材というわけでもありません。

しかも、わかめに含まれる水溶性ビタミンは熱に弱いので食事方法によっては摂取できない可能性も。

おそらくですが見た目が髪の毛っぽいので、そのような噂が広まったのだと思います。

辛いものをよく食べると薄毛になるって本当?

むしろ、先ほど栄養素の説明でお伝えした通り、カプサイシンには血行促進の効果があり、毛細血管から毛母細胞に栄養を届けやすくなるので発毛に効果があると言われています。

おそらく『激しく発汗するため、同時に皮脂分泌がおこり、毛穴に油や汚れがつまるため頭皮に良くない』という考えによるものだと思うのですが、その日中に頭皮をしっかり洗い流せば問題ありません。

納豆を食べると禿げないって本当?

というのも大豆自体はタンパク質が多く含まれるため、確かに摂取することに若干のプラスの影響はあるかもしれませんが、それがAGAを止めたり、発毛を促進するというものでありません。

大豆は体にいいですよね、ぐらいの効果です。

春雨を食べると髪の毛が生えるって本当?

こちらはフィリピンの迷信で、ソータンホンという春雨の炒め物を食べると髪の毛が生えると言われています。

ただし、これは日本でいう蕎麦を食べると長寿になる、というような昔の考えで、全く根拠がありません。

よくない食習慣

食事以外にも気をつけるべき食生活として、気をつけて欲しい点が2つあります。

アルコールの過度な摂取

過度な飲酒

アルコールは摂取すると肝臓で分解されアセトアルデヒドに変化します。これは少量では問題ないのですが、大量にアセトアルデヒドが発生すると、強い男性ホルモン(DHT)を増やす可能性が。

このDHTは頭皮の男性ホルモン受容体に取り込まれ、脱毛を促す信号を出します。

また、アルコールが肝臓の分解能力を超えた際に、分解にビタミンBを利用するため、体内のビタミンが欠乏する可能性が。ビタミンBは毛母細胞の細胞分裂を促しますので、発毛に悪影響を及ぼします。

つまり、アルコールを摂取することによって、脱毛のリスクが増し、発毛を阻害するわけです。

もちろん少量のお酒なら問題ありませんが、人によって許容度は異なるため毎日や時々であっても大量の摂取は控えるようにしましょう。

喫煙

喫煙

薄毛を改善したいなら、絶対にタバコはやめるべきです。

タバコに含まれるニコチンは毛細血管の収縮を起こし血行が悪くなります。血行が悪くなると、毛母細胞へ栄養を運ぶことが難しくなり、抜け毛も増加。

喫煙はビタミンC不足を引き起こすので薄毛以外にも、肌荒れやシミそばかす、シワの原因にもなります。

過度なダイエット

過度なダイエット

過度なダイエットを行うと、毛髪がパサパサになり、抜け毛が増えるといった現象が起こることがあります。

これは体内の栄養が欠乏し、血中の栄養が足りなくなったり、毛母細胞まで栄養を届けることができなくなるためです。

ダイエットは基本的に1日の摂取エネルギーを利用するエネルギーよりも減らすことによって痩せていくので、体内に必要なエネルギーが枯渇しがち。

タンパク質とビタミンを多めに摂取することを心がけ、また過度なダイエットは絶対に行わないでください。

薄毛は食事の影響ではない可能性も

ここまで長く薄毛と食事の関係性についてお話ししてきましたが、薄毛は必ずしも食事の影響で起こっているとは言えません。

最低限の考えとして健康的な食事を意識し、脂質とアルコールを減らし、野菜多めでタンパク質とビタミンを積極的に摂取するというぐらいで構いません。

それよりも薄毛というのは頭皮環境や遺伝による影響を強く受けます

クリニックであれば、診察や遺伝子検査によってあなたの薄毛の原因を解明して、対策を行ってくれます。

AGAは毛根が死滅する前に対策を行うことにより治る可能性の高い病気ですので、もし薄毛が気になるのであればお近くのクリニックで相談してください。

参照文献

1) Active digestion of sperm mitochondrial DNA in single living sperm revealed by optical tweezers:https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.0506911103

2) 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf

3) 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版):https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

4) Pathologic Dynamics of Human Hair Loss
I. Telogen Effluvium:https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/article-abstract/526620

記事URLをコピーしました