髪の毛が生える仕組みとメカニズム|抜け変わる理由が実は深かった

毎日生えて抜けている髪の毛。
もはや当たり前の現象ですが、なぜ髪の毛は抜けるのに生えてくるのでしょう?生えっぱなしだったらいいと思いませんか?
よくよく考えると不思議ですよね。
今日は髪の毛が生えるメカニズムや髪の毛を構成する要因などを説明します。
髪の毛はなにでできている?
髪の毛の80%はタンパク質で作られています。ただし、髪の毛に限らず、体のほとんどのもの、爪・肌・内蔵・骨全てタンパク質が主です。
タンパク質は英語で「Protein(プロテイン)」といいます。
日本だと「プロテインは筋肉系の人が飲む物」というイメージになっていますが、あの語源はタンパク質が入っている→タンパク質→プロテイン、です。
巷ではプロテインは「筋トレ後に摂取するもの」「筋肉を大きくするもの」というイメージがありますよね?
これは少し間違っていて、筋トレをした後にはよりたくさん必要ですが、体を構成する全てにタンパク質が必要なので、日常から少し多めにタンパク質を取る必要があります。
一般の方がダイエットをすると、肌が荒れたり毛髪がパサパサになるという影響が出る方がいますが、これは食べないダイエットをすることによるタンパク質の欠乏が及ぼすものです。
ダイエットする際にはしっかりタンパク質の摂取も心がけましょう。
毛髪が生えるメカニズム
皆さんは毛根ってわかりますか?
「抜いた時の白っぽいのがついてる根元ですか?」
という方が多いのですが、実は違うのです。あの部分は毛球で、白いのは毛根鞘(もうこんしょう)。
毛髪は皮膚の外に出ている部分と皮膚の中に隠れている部分で名前が代わり、皮膚の外にある毛が「毛幹(もうかん)」、皮膚の中にある毛が「毛根」です。

この毛根の中にもさまざまな部位があるのですが、一番根本の部分を毛球部といい、その窪んだ部分にあるのが毛乳頭、それを覆う毛母細胞というものがあります。
この毛母細胞は毛細血管と繋がっており、この血管で送られてくる血液から栄養をもらい、そのエネルギーをつかって細胞分裂し角化したものが毛髪です。
髪は死んだ細胞のあつまり
髪の毛自体は、そもそも死んだ細胞のあつまりです。
死んだ細胞の集まりで構成、という仕組みをとっている細胞は他にもいろいろあるのですが、先に「細胞はなぜ生まれ変わるのか?」を説明させてください。
全ての細胞は寿命がある
髪に限らず動物の体を作る細胞には、命と同じように寿命があります。
体を作る細胞はの数は60兆。これらの細胞は死んでは生まれてというサイクルを繰り返しています。これが、新陳代謝といわれるものです。
一番イメージしやすいのは肌のターンオーバーでしょう。肌は日焼けしたり、傷を負っても下から新しい皮膚が生まれ、現在の皮膚が剥がれていきますよね?
このように細胞は常に生まれ変わっていくものなのです。
髪の毛が生えるメカニズム
実はこの死んだ細胞が集まっているというのが髪の毛が伸びる(生える)メカニズムでもあるのです。
生きている細胞から生み出されたものは、繋がり、押し出されるように伸びていき、髪の毛が皮膚と違うのは、剥けずに繋がっているので1年間に10cm以上、2年から6年という期間伸び続けること。

その後髪の毛はヘアサイクルによって、抜けてお休みしますが、2~4ヶ月で再び活動し新しい髪の毛が生えてきます。
髪の毛が生えるのも、髪の毛が生え変わるのも細胞の新陳代謝によるものだということですね。
髪のダメージを治すことはできない
よくテレビCMで『傷ついた髪のダメージをゼロに』というセリフを聞きますが、あれは真実ではありません。
修復しようとしてる本体(髪)が死んでますから。傷ついた髪のダメージを回復させているわけではなく、ダメージを受けた表面を整えて綺麗に見せているだけなのです。
やってることは治療ではなく、あくまでエンバーミング(遺体衛生保全)。市販で売られているようなものに細胞を復活させる効果はありません。
毛髪をケアすべき理由
先ほど「髪のダメージは戻らない」と言いましたが、それでもヘアケアはしっかり行うべきです。
それは「髪のダメージは戻らない」から。
市販のヘアケア商品に意味がないのかというとそうでもなく、事前にケアしておくことにより、髪の毛の劣化を防いでくれます。
「毛髪のケアって普段してないけど、そんなに大切なの?」という方も男性の中には多いかもしれませんね。
では、傷みやすいものを渡されて「1年間も使いつづけてください」と言われたらどうでしょう?
女性の場合は20~50cm、男性だと髪の毛は5~10cmぐらいの長さの方が多いですよね。髪の毛は1ヶ月に1cmほど伸びます。それはつまり髪の毛が頭皮から生えてそれだけの月数、同じ毛を使用していることに。
つまり、女性は2年から4年、男性は半年から1年近く同じ髪を使いつづけ、状態が悪くなっても同じ毛を使い続ける必要があります。であれば、できるだけ綺麗な状態を保った方がいいと思いませんか?
髪はなるべく傷めず、傷んでしまった場合はケアをして、ダメージを深く進めないというお手入れは男性にも必要なことなのです。
ヘアケア商品やトリートメントはダメージの修復ではなく予防、だということを覚えておいてくださいね。
毛髪はなぜ10万本も必要なのか
髪の毛が生える理由を説明してきましたが、そもそもなぜ頭にはこんなにたくさん髪の毛が生えているのでしょうか。
生えるメカニズムは先ほどの通りですが、「なぜこんなに毛が密集しているの?」という疑問にお答えしていきます。
毛髪は多い方で15万本、少ない方で5万本程度とかなりの差がありますが、平均的には10万本程度です。
他の部位と比べると明らかに量が多いですが、ここまで髪の毛の本数が多い理由は、
- 衝撃から脳を守るため
- 男女の見た目の差を出すため
といわれています。
衝撃から脳を守る
毛髪の1つ目の役割が、衝撃から脳を守るためです。
脳というのは、体の中で最も重要な部位と言っても過言ではありません。しかし心臓などと違い比較的ダメージを受けやすい部位に存在しています。
きっとみなさんも誰でも高いところに頭をぶつけたりという経験があるのではないでしょうか?頭の重量が重いこともありますし、意外と怪我しやす部位です。
そういった衝撃から脳を守るため、頭蓋骨という硬い骨で覆われていますが骨自体が硬いため強い衝撃をうけると脳震盪を起こしたり、大きな衝撃だと頭蓋骨が割れてしまうこともあります。
そのため衝撃から頭を守るためクッションとしての役割として髪の毛が生えているのです。
男女の見た目の差を出すため
毛髪の2つ目の役割が、男女の見た目の差を出すためです。
AGAというのは男性ホルモンによって起こる症状ですので、基本的には女性には起こりません(女性にはFAGAという症状がありますが原因は別)。
またAGAというのは優勢遺伝(強い遺伝子)であり、「AGAの遺伝子を持っている人」と「AGAの遺伝子を持っていない人」が結婚しても高い確率でAGAの遺伝子は次世代に引き継がれます。
つまり、本人が治療をしなければ数千年後・数万年後には、男性全員が大人になったら薄毛になる、ということです。
神様がそうされたのかたまたまなのかはわかりませんが、生物学的には見た目の差を出すために髪の毛があり、男性は薄くなるのではないかと考えられています。
現在では薄毛を治療する方は多いですが、様々な髪型や色を選ぶことができますのでそういった意味でも毛髪は男女の差・個性を表す重要な要素となっているのです。
まとめ
髪の毛が生えるメカニズムは毛周期によるもので、生え変わりの理由は毛細胞の新陳代謝によるものです。
おそらくこの記事たどり着いた方は「髪の毛を増やしたい・生やしたい」、と検索された方もいらっしゃると思います。
髪の毛を生やすためにご自身でできることといえば、健全な食生活・運動・頭皮ケア・禁煙・飲酒などですが、それが問題で髪の毛が少ないかは判断することができません。
AGAの主な原因は男性ホルモンによるものであって、それらを実施しても改善されるかどうかがわからないためです。
もしかすると生活習慣によって毛髪量が増えるかもしれませんが、その判断はクリニックで診察をしてもらう方が確実です。
もし薄毛でお悩みの場合は近くのクリニックで診察を受けてください。
参考文献
1) 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
2) 男性型脱毛症治療薬の研究動向https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/133/2/133_2_73/_pdf/-char/ja