鏡を見るたびに額の広さが気になり、これが生まれつきのものなのか、それとも進行性の脱毛症なのか不安を感じていませんか。
M字型に進行するAGAは、初期段階での気付きが将来の髪の量を左右します。
本記事では、専門的な知識がなくとも自宅で簡単かつ正確に行えるセルフチェック方法を網羅しました。
生え際の角度や毛質の変化、頭皮環境のサインを見逃さず、今すぐ必要な対策を取ることで、進行を食い止めるための具体的な指針が得られます。
あなたの髪を守るための第一歩として、このチェックリストを活用してください。
M字型AGAの基本的特徴と進行パターンの理解
M字型AGAは額の左右から剃り込みが入るように髪が薄くなるのが特徴であり、早期発見には一般的な抜け毛との違いを明確に理解することが重要です。
多くの男性が抱える薄毛の悩みの中でも、特に生え際から進行するタイプは「M字型」と呼ばれ、男性ホルモンの影響を色濃く受ける部位であることが知られています。
単なるおでこの広さとの違いを見極めることが、対策のスタートラインとなります。
男性型脱毛症におけるM字パターンの定義
男性型脱毛症(AGA)にはいくつかの進行パターンが存在しますが、その中でも日本人に多く見られるのが、額の両サイド、いわゆる「剃り込み部分」から後退していくM字型です。
このパターンは、前頭部の毛包に存在する還元酵素が活性化し、ヘアサイクルを乱すことで発生します。
初期段階では中央の生え際は残ったまま、左右だけが深く後退していくため、正面から鏡を見たときにアルファベットの「M」の字に見えることからこの名がついています。
生え際の毛根は他の部位に比べて男性ホルモンの受容体が多く分布している傾向にあり、遺伝的な要因や生活習慣の影響を受けやすい場所でもあります。
そのため、つむじ周辺の薄毛(O字型)と比較しても、一度進行が始まると目立ちやすく、スタイリングでのカバーが難しくなる傾向があります。
自分がどのタイプに当てはまるのかを冷静に分析し、M字特有の兆候が出ていないかを確認することが大切です。
正常な生え際とAGAによる後退の違い
生まれつき額が広い人と、AGAによって広くなった人とでは、決定的な違いがあります。
以下の比較表を参考に、現在の状態がどちらに近いかを確認してください。
| 比較項目 | 正常な生え際・額の広さ | M字型AGAによる後退 |
|---|---|---|
| 生え際のライン | はっきりとしており、産毛との境界が明確 | 境界がぼやけ、細い毛がまばらに残る |
| 左右の角度 | なだらかなカーブや直線に近い | 鋭角に切れ込んでおり、M字が深い |
| 進行の有無 | 数年前と位置が変わらない | 年々、眉毛との距離が離れている |
| 毛の太さ | 最前列まで太くしっかりしている | 生え際付近だけ細く短い毛が多い |
この表にあるように、最も注視すべきは「変化の有無」と「毛質の変化」です。境界線が不明瞭になり、細い毛が増えている場合は、単なる加齢現象以上の対策が必要になります。
生まれつきの額の広さと後退の区別
「昔からおでこが広いから」といって安心していると、実はAGAが進行していたというケースは珍しくありません。
生まれつき額が広い場合、それは骨格や皮膚の付き方によるものであり、成人してからもその広さは一定に保たれます。
一方で、AGAによる後退は「変化」を伴います。高校生や大学生の頃の写真と比較して、明らかに額の面積が広がっている場合は注意が必要です。
また、生え際の形状にも注目してください。
生まれつき額が広い人は、生え際全体のラインが丸みを帯びていることが多いのに対し、AGAの場合は左右の入り込みが鋭くなる特徴があります。
特に、M字の頂点部分(剃り込みの奥)に、弱々しい毛が残っている場合は、そこがかつて通常の生え際だった証拠であり、進行のサインと捉えるべきです。
早期発見が改善の鍵を握る理由
M字型AGAにおいて早期発見が重要である最大の理由は、生え際の毛根が一度死滅してしまうと、そこから再び髪を生やすことが極めて困難になるからです。
頭頂部などの他の部位に比べ、前頭部の血流は比較的少なく、改善の効果が現れにくいと言われています。
毛根が完全に機能を停止し、皮膚が硬くツルツルになってしまう前の段階、つまり「産毛はあるが細くなっている」段階で手を打つことが、改善率を大幅に高めます。
進行が進んでからの治療は、時間も費用もかさむ上に、望むような密度まで回復しない可能性も高まります。
そのため、日々のセルフチェックを通じて些細な変化に気づき、ヘアサイクルが完全に止まってしまう前に対策を開始することが、将来のヘアスタイルを守るための最大の防御策となるのです。
鏡を使って視覚的に確認する生え際のセルフチェック
指の本数や具体的な形状の変化など、誰でもすぐに実践できる視覚的なチェック手法を用いることで、客観的な事実に基づいた生え際の状態を把握できます。
感覚だけに頼ると、「気のせいかもしれない」というバイアスがかかり、発見が遅れる原因となります。
正確な自己診断を行うための具体的な手順を確認しましょう。
眉上から生え際までの距離を測定する
最もシンプルで分かりやすい指標として、眉毛の上端から生え際までの距離を指の本数で測る方法があります。
一般的に、片手の中指、薬指、小指の3本を生え際に当てた際、余裕を持って額が隠れる程度であれば正常範囲内とされることが多いです。
しかし、もし指を4本(人差し指まで含める)置いても生え際に届かない、あるいは以前は3本で収まっていたのに現在は4本必要になっている場合は、生え際が後退している可能性が高いと判断します。
測定を行う際は、鏡の前で眉毛を上げたりせず、リラックスした表情で行うことが大切です。
また、毎回同じ条件で測定することで、経時的な変化を正確に追うことができます。指の太さは個人差があるため、メジャーを使って具体的なセンチメートルを記録しておくのも有効な手段です。
一般的に眉上から生え際までが7センチメートルを超えると、薄毛の印象が強くなると言われています。
M字部分の角度と深さの判定基準
M字の進行度合いを測るには、単に広さを見るだけでなく、剃り込み部分の「角度」と「深さ」をチェックすることが重要です。
以下の基準を参考に、鏡で自分の生え際を詳細に観察してください。
| チェック項目 | 警戒すべき状態 | 詳細な観察ポイント |
|---|---|---|
| 剃り込みの角度 | 鋭角になっている | M字の入り込みが丸みを帯びず、鋭いV字やU字を描いている場合は進行性が疑われます。 |
| 左右差の有無 | 左右非対称に進行 | 片方だけ深く入り込んでいる場合もAGAの初期症状の可能性があります。均等とは限りません。 |
| 中央との段差 | 2cm以上の差がある | 耳の延長線上にある側頭部の生え際と、M字の最も深い部分の差が2cm以上ある場合、医学的にもAGAの指標となります。 |
上記の基準に一つでも当てはまる場合は、楽観視せずに専門的なケアを検討する段階にあります。
過去の写真と比較する際のポイント
現在の自分の姿だけを見ていても、毎日の変化は微々たるものであるため、進行に気づきにくいものです。
そこで有効なのが、1年前、3年前、5年前の写真との比較です。
特に、前髪を上げている写真や、風で髪がなびいている写真、あるいは水泳や入浴後の写真などは、生え際のラインが明確に写っているため比較対象として優れています。
比較する際は、額の面積だけでなく、顔全体のバランスに対するおでこの比率を確認してください。
顔の輪郭が変わっていないのに、おでこの占める割合が増えているようであれば、生え際が後退している証拠です。
スマートフォンで定期的に同じ角度、同じ照明でおでこの写真を撮りためておくことも、客観的な自己診断を行う上で非常に役立ちます。
産毛の境界線が不明瞭になっていないか
健康な生え際は、太く長い髪から産毛への移行がスムーズでありながらも、その境界線(ヘアライン)はある程度はっきりとしています。
しかし、M字型AGAが進行している場合、この境界線が曖昧になります。
本来であれば太い髪が生えているべき場所に、細く短い毛がいつまでも留まり、どこからがおでこで、どこからが髪の毛なのか判別しにくい状態になります。
照明を当てて鏡に近づき、生え際をよく観察してみてください。
もし、M字の部分に、成長しきらないままの細い毛がパラパラと散らばっているようであれば、それはヘアサイクルが短縮し、毛根が弱っているサインです。
この「不明瞭な境界線」こそが、M字型AGAの典型的な初期症状であり、見逃してはならない警告信号です。
髪質とボリュームの変化から読み取る危険信号
触感やスタイリング時の違和感といった感覚的な変化は、見た目には現れない初期段階のAGAを察知する重要な手がかりとなります。
髪が細くなったり、セットが決まらなくなったりするのは、毛根が栄養不足に陥り、正常な成長ができなくなっている証拠です。
髪質から読み取れるサインを見逃さないようにしましょう。
細く短い抜け毛の増加とその意味
抜け毛は誰にでも毎日起こる生理現象ですが、その「質」に注目することが大切です。
健康なヘアサイクルを終えて抜ける髪は、太く長く、毛根部分がマッチ棒のように膨らんでいます。
一方で、AGAの影響を受けて抜けた髪は、十分に成長する前に抜け落ちてしまうため、細く、短く、毛根の膨らみが小さい、あるいは歪な形をしているのが特徴です。
特に、枕元やシャンプー時の排水溝に残った抜け毛を確認してみてください。
もし、産毛のような弱々しい毛が多く含まれているなら、それはヘアサイクルが極端に短くなっている「軟毛化」現象です。
生え際周辺の毛が軟毛化することで、M字部分の地肌が透けて見えるようになり、結果として後退したように見えるのです。
抜け毛の量よりも、この「短く細い毛の割合」が増えることの方が、深刻なサインだと言えます。
軟毛化の進行レベルを確認する指標
髪の軟毛化は徐々に進行します。以下の表を用いて、現在の自分の髪質がどの段階にあるのかをチェックし、危険度を判定してください。
| レベル | 髪の状態・自覚症状 | 危険度判定 |
|---|---|---|
| 初期 | 以前より髪が柔らかくなった気がする。セットが崩れやすい。 | 要注意(ケアの見直しが必要) |
| 中期 | 生え際の毛が明らかに細い。地肌が透けて見える頻度が増えた。 | 危険(AGA進行の可能性大) |
| 後期 | 産毛状の毛しか生えない。遠目で見てもM字がはっきりわかる。 | 深刻(専門的な対策が急務) |
「まだ初期だから大丈夫」と放置せず、初期の段階でケアを始めることが、将来的なボリューム維持に直結します。
前髪のセットが決まらなくなる現象
「最近、前髪がうまく立ち上がらない」「ワックスをつけてもすぐにペタンとしてしまう」といった悩みは、M字型AGAの初期によく見られる兆候です。
生え際の髪が細く腰がなくなると、重力に逆らって髪を支える力が弱まります。その結果、ヘアスタイルを維持することが難しくなり、ボリュームダウンを感じるようになります。
また、無意識のうちに前髪を下ろして額を隠すような髪型を選びがちになっている場合も、深層心理で生え際の変化を感じ取っている可能性があります。
雨の日や汗をかいた日に、前髪が束になって額に張り付き、隙間から頭皮が目立つようになった場合も、髪の本数減少と1本1本の痩せ細りが同時に起きていると考えられます。
触った時の感触における左右差と前後差
自分の髪を手で触れてチェックする際、後頭部や側頭部の髪と、前頭部(生え際)の髪の感触を比べてみてください。
AGAの影響を受けにくい後頭部の髪は太く硬いのが一般的ですが、もし生え際の髪だけが柔らかく、コシがないように感じるならば、それは局所的にAGAが進行している証左です。
指で髪を挟んで少し擦ってみると、健康な髪は反発力がありますが、弱った髪は頼りなく、すぐに折れ曲がってしまいます。
この「部位による髪質の差」が大きければ大きいほど、M字型AGAの特徴に合致します。
全体的に髪が細くなるのではなく、特定の場所(この場合は生え際)だけが変化するという点が、加齢による自然な変化とAGAを区別する重要なポイントです。
頭皮環境の悪化が示すM字ハゲの前兆
M字型AGAの直接的な原因はホルモンバランスや遺伝ですが、頭皮環境の悪化は脱毛を加速させる大きな要因となります。
生え際の皮膚の状態を観察することで、将来的な脱毛のリスクや現在進行中のトラブルを予見することが可能です。
以下のリストを用いて、頭皮からのSOSサインを見逃さないようにしましょう。
生え際特有の皮脂過剰とベタつき
- 夕方になると額がテカり、生え際の毛穴が詰まりやすい状態になっていないか確認します。
- シャンプー直後でもベタつくのは、洗いすぎによる乾燥で皮脂が過剰分泌されている可能性があります。
- 指で頭皮を触ると脂っぽい場合、男性ホルモンの影響で皮脂分泌が増加しているサインです。
これらは単なる肌質の問題ではなく、毛根へのダメージが蓄積している状態を示しています。皮脂コントロールを適切に行うことが、抜け毛予防の第一歩です。
赤みや炎症の有無を確認する重要性
- 健康な頭皮は青白い色をしていますが、生え際がピンク色や赤色になっている場合は炎症の証拠です。
- ニキビのような吹き出物は毛包炎などのトラブルであり、毛根破壊につながる恐れがあります。
- 紫外線ダメージによる変色は、M字部分の頭皮を硬化させ、血流不足を招く要因となります。
頭皮の赤みは、髪の成長に必要なエネルギーが炎症の修復に使われてしまっている状態を意味します。
フケやかゆみと脱毛の関係性
- 生え際周辺のかゆみは炎症反応であり、無意識にかきむしることで新生毛を傷つけるリスクがあります。
- 細かいフケは頭皮の乾燥や真菌の繁殖を示唆し、どちらも毛髪の成長を妨げる要因となります。
- 洗髪時にしみるような刺激感は、頭皮のバリア機能が崩壊している深刻なサインです。
こうした頭皮トラブルを放置すると、健康な髪が育つ土壌が失われ、AGAの進行を早めてしまいます。
M字進行を加速させる生活習慣リスクの点検
日々の生活習慣がAGAの発症時期を早めたり、進行スピードを加速させたりすることが分かっています。
特にM字部分は血流が悪くなりやすい場所であるため、全身の健康状態がダイレクトに影響を及ぼします。
自身のライフスタイルを見直し、髪にとってマイナスとなる要因を排除することが大切です。
食生活の乱れと栄養不足の影響
髪の毛はケラチンというタンパク質で構成されており、その合成には亜鉛やビタミン類が必要です。
偏った食事や過度なダイエットは、髪を作るための材料不足を招き、真っ先に生命維持に関係のない「髪」への栄養供給が遮断されます。
特に、脂質の多い食事は皮脂分泌を促し、頭皮環境を悪化させるため、M字部分の脱毛リスクを高めます。
髪の成長に必要な栄養素と不足のサイン
具体的にどのような栄養素が不足すると髪に悪影響が出るのか、またそれを補うために意識すべき食材を整理しました。
| 栄養素 | 役割と重要性 | 多く含む食材例 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分となる基礎材料。不足すると髪が細く脆くなる。 | 鶏肉、魚、卵、大豆製品 |
| 亜鉛 | ケラチンの合成を助け、抜け毛の原因となる酵素の働きを抑制する。 | 牡蠣、レバー、ナッツ類 |
| ビタミンB群 | 頭皮の皮脂代謝を促し、毛母細胞の分裂を活性化させる。 | 豚肉、レバー、マグロ、ほうれん草 |
| ビタミンE | 血行を促進し、毛根へ栄養を届ける手助けをする。抗酸化作用も。 | アーモンド、アボカド、うなぎ |
サプリメントも有効ですが、基本は日々の食事からバランスよく摂取することが、吸収率の面でも有利です。
睡眠の質と成長ホルモンの分泌
髪の成長に欠かせない成長ホルモンは、深い眠りについている間に最も多く分泌されます。
慢性的な睡眠不足や、昼夜逆転の生活、質の悪い睡眠は、この成長ホルモンの分泌を妨げ、毛髪の修復や成長の時間を奪ってしまいます。
特に、入眠直後の90分間に質の高い睡眠をとることが重要とされています。
さらに、睡眠不足は自律神経の乱れを招き、血管を収縮させます。
前頭部はもともと毛細血管が細く血流が滞りやすい部位であるため、睡眠不足による血行不良の影響を強く受け、M字ハゲの進行を早める一因となります。
朝起きたときに疲れが取れていない、日中に強い眠気があるといった場合は、睡眠環境の改善が必要です。
ストレスと眼精疲労による血行不良
現代人にとって避けられないストレスも、M字型AGAの大敵です。強いストレスを感じると、交感神経が優位になり、全身の血管が収縮します。
その結果、頭皮への血流が低下し、髪に必要な栄養素が届かなくなります。
パソコンやスマートフォンの長時間使用による眼精疲労は、目の周りから前頭部にかけての筋肉を凝り固まらせます。
M字部分の近くにある前頭筋や側頭筋が凝り固まると、物理的に血管が圧迫され、生え際への血流が阻害されます。
「目が疲れると頭が重くなる」という人は、頭皮の血行も悪化している可能性が高いです。定期的に目を休めたり、頭皮のマッサージを行ったりすることで、凝りをほぐし、血流を確保することが予防につながります。
他の脱毛症との見分け方と誤解の解消
生え際の後退=AGAと決めつける前に、他の脱毛症の可能性も考慮する必要があります。
原因が異なれば対策も全く異なるため、誤った対処法を続けて時間を無駄にしないよう、それぞれの特徴を理解し、自分の症状と照らし合わせることが大切です。
牽引性脱毛症との違い
牽引性脱毛症は、髪を強く引っ張るヘアスタイル(ポニーテールやきついオールバックなど)を長期間続けることで、毛根に負担がかかり、髪が抜けてしまう症状です。
M字部分だけでなく、分け目や結び目周辺にも発生します。AGAとの大きな違いは、原因となっている物理的な負担を取り除けば、再び髪が生えてくる可能性が高い点です。
もし、普段から髪を強く結ぶ習慣があるなら、まずは髪型を変えて様子を見ることで判別できます。
一方、AGAの場合は物理的な刺激に関係なく、ホルモンの作用で進行します。
髪型を変えても抜け毛が減らない、あるいは髪を結ぶ習慣がないのに生え際が後退している場合は、牽引性脱毛症ではなくAGAである可能性が濃厚です。
症状別の特徴比較表
M字型AGAと混同しやすい脱毛症の特徴を比較し、見分けるためのポイントをまとめました。
| 脱毛症の種類 | 主な原因 | 特徴的な症状 |
|---|---|---|
| M字型AGA | 男性ホルモン、遺伝 | 生え際から徐々に後退。細い毛が増える。進行性である。 |
| 牽引性脱毛症 | 髪を引っ張る物理的負荷 | 特定の部位(結び目や生え際)の髪が抜ける。原因を止めれば改善する。 |
| 脂漏性脱毛症 | 皮脂過多、真菌の繁殖 | 頭皮のベタつき、強いかゆみ、赤みを伴う。フケが多い。 |
| 円形脱毛症 | 自己免疫疾患、ストレス | 突発的に円形の脱毛斑ができる。境界がはっきりしている。 |
このように脱毛症には種類があり、自己判断が難しいケースも存在します。迷った場合は専門家の意見を聞くことが解決への近道です。
脂漏性脱毛症や円形脱毛症の可能性
脂漏性脱毛症は、過剰な皮脂によってマラセチア菌という常在菌が異常繁殖し、頭皮に炎症を起こして抜け毛を招く疾患です。
生え際が後退するというよりは、頭皮全体や生え際周辺が赤くただれ、湿ったフケを伴うのが特徴です。清潔に保ち、皮膚科での治療を行えば改善が見込めます。
円形脱毛症は、ある日突然、コインのように円形または楕円形に髪が抜け落ちる病気です。M字型AGAのように徐々に薄くなるのではなく、急速に局所的な脱毛が起こります。
生え際に発生することもありますが、その境界は非常に明確で、周囲の髪を引っ張ると簡単に抜けることがあります。
これらはAGAとは発症の仕組みが根本的に異なるため、専門医による診断が必要です。
季節性の抜け毛との判別
人間も動物の一種であり、換毛期のように季節によって抜け毛が増える時期があります。特に秋口は、夏の紫外線ダメージや自律神経の影響で抜け毛が増加する傾向にあります。
一時的に抜け毛が増えたからといって、すぐにAGAと断定する必要はありません。
判別のポイントは「期間」と「部位」です。季節性の抜け毛であれば、1〜2ヶ月程度で自然に治まり、新しい髪が生えてきます。また、全体的に満遍なく抜けることが多いです。
しかし、数ヶ月経っても抜け毛が減らない、生え際ばかりが気になる、新しく生えてくる毛が細いといった場合は、季節性の要因ではなくAGAの進行を疑うべきです。
セルフチェックで陽性だった場合の初期対応
進行を遅らせ、改善へと導くためには、生活習慣の見直しや適切なヘアケアといった具体的なアクションプランを直ちに実行することが求められます。
チェックの結果、M字型AGAの可能性が高いと判断した場合でも、悲観せずに適切なタイミングで行動を起こせば、未来は変えられます。
生活習慣の即時見直しリスト
- 最低でも6時間、できれば7時間の睡眠を心がけ、就寝前のスマホ操作を控えて成長ホルモンの分泌を促します。
- 毎日の食事に卵、大豆製品、海藻類を取り入れ、外食が多い場合は亜鉛やビタミンのサプリメントを活用します。
- ウォーキングやジョギングを習慣化して全身の血流を改善し、代謝を高めることで頭皮環境を整えます。
これらの習慣は一朝一夕に効果が出るものではありませんが、継続することで身体の内側から髪を育てる力を養います。
シャンプーと頭皮ケアの適正化
- 洗浄力が強すぎる高級アルコール系シャンプーを避け、頭皮に必要な皮脂を残せるアミノ酸系シャンプーへ切り替えます。
- 爪を立てずに指の腹で優しく洗い、炎症の原因となるすすぎ残しがないよう丁寧に洗い流します。
- 入浴中や就寝前に生え際から頭頂部へマッサージを行い、硬くなった前頭部の緊張をほぐして血流を促します。
日々のケアを丁寧に行うことは、将来の髪に対する投資と言えます。
専門家への相談タイミングの見極め
- 生活習慣を改善しても抜け毛が減らず、M字の進行が止まらない場合はセルフケアの限界を超えています。
- 地肌がはっきりと透けて見える、前髪がスカスカになっている状態なら、医学的なアプローチが急務です。
- 薄毛の悩みが深く日常生活に支障をきたしているなら、カウンセリングを受けることで正しい道筋が見えます。
一人で悩み続ける時間はストレスとなり、さらに進行を早める原因になりかねません。早めの相談が、解決への近道となります。
Q&A
M字型AGAのセルフチェックや初期症状に関して多くの方が抱く疑問に対し、医学的根拠に基づいた正しい知識を持つことで、不要な不安を解消できます。
確かに母方の祖父が薄毛である場合などは遺伝リスクが高いと言われていますが、隔世遺伝の可能性や、複数の遺伝子が複雑に関与しているため、両親がフサフサでも発症するケースは十分にあり得ます。
遺伝的素因を持っていたとしても、生活習慣やストレスなどの環境要因が引き金となって発症することもあります。
親族の頭髪状況にかかわらず、自身の生え際に変化を感じたら注意が必要です。
マッサージはあくまで「今ある髪を健康に保つための土壌作り」や「予防的なケア」として位置づけるべきです。
進行を食い止めるためには、マッサージと併用して、内側からのケアや適切な育毛習慣を取り入れることが大切です。
しかし、近年では食生活の変化やストレス社会の影響もあり、10代後半や20代前半から進行が始まる若年性脱毛症も増えています。
「まだ若いから大丈夫」という油断は禁物です。年齢に関係なく、抜け毛の増加や髪質の変化を感じた時点が、気にし始めるべきタイミングです。
育毛シャンプーは、頭皮を健康に保ち、髪が育ちやすい環境を整えるためのサポート役です。
したがって、シャンプーを変えるだけでM字の剃り込みが元通りになるということは考えにくいです。
ただし、頭皮環境が悪化して抜け毛が増えている場合には、シャンプーを変えることで抜け毛が減り、結果としてボリューム感が戻ることはあります。
しかし、その産毛が太く長く成長せずに抜け落ちてしまっているなら、それは回復ではなく、AGAによる軟毛化の症状である可能性が高いです。
重要なのは「産毛が生えていること」ではなく、「その産毛が太い髪に育つかどうか」です。
産毛のまま成長が止まっている場合は、ヘアサイクルを正常に戻すための対策を強化する必要があります。
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