男性型脱毛症

ミノキシジルってどんな薬?フィナステリドやデュタステリドとは一味違うAGA治療薬

ミノキシジル
藤井 麻美

薄毛でお悩みの方がインターネットなどでいろいろ調べてみると、さまざまな治療法を目にすることと思います。

「ミノキシジル」は、薄毛治療の中でも有名な薬の一つで、皆さんも一度は聞いたことがあるでしょう。テレビCMでもミノキシジルの塗り薬が放送されています。

では、ミノキシジルとはどのような薬なのでしょうか。また、ミノキシジルには飲む薬(内服薬)と塗る薬(外用薬)があり、どのような違いがあるのか、副作用はどのようなものがあるのかなどいろいろ気になる点があるかと思います。

薄毛の治療はいろいろな情報があり、ミノキシジルについても例外でなく、たくさんのことが。わかりにくかったり、情報源によって内容が異なることがあるため、混乱してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、ミノキシジルの話題を深く掘り下げていきたいと思います。ミノキシジルについて詳しく知っておくことで、薄毛の治療を自身で納得して選択する手助けになるでしょう。

目次
  1. ミノキシジルとは
  2. ミノキシジルの外用方法:過剰塗布は避けましょう
  3. ミノキシジルの内服方法:必ず医師に相談して効果的な使い方を
  4. 外用薬と内服薬で異なるミノキシジルの副作用
  5. ミノキシジルの費用相場は、おおよそ月々1万円前後
  6. Q:内服して1カ月経過しますが効果がみられません。
  7. フィナステリドやデュタステリドを同時に内服した方が良いですか?
  8. Q:ミノキシジル外用薬を使う場合の、オススメのヘアケア方法を教えてください。
  9. ネットで安い商品を見つけましたが、効果はありますか?
  10. Q:ミノキシジルを開始したら脱毛が進んだのですが、心配ありませんか? 
  11. ミノキシジルの使用は、健康診断に影響はありますか?
  12. Q:女性も使うことができますか?
  13. Q:ミノキシジル外用薬と内服薬はどちらのほうが効果ありますか? 
  14. Q:ミノキシジル治療をするのに気をつけたほうがいい人とは、どのような人ですか? 
  15. まとめ
  16. 参考文献

ミノキシジルとは

ミノキシジル

もともと高血圧の薬であるミノキシジルは、脱毛治療にも効果が認められた

ミノキシジルは、1950年代に血圧低下作用がある降圧薬として開発が進められ、1979年にアメリカで降圧薬の飲み薬として承認。高血圧の方に使用されるようになりました。

降圧薬として用いられたミノキシジルですが、ミノキシジルを飲んでいる人の中に毛が濃くなるといった多毛症が多く見られることが。そのため、ミノキシジルが脱毛症の治療として有効ではないかと注目を浴び、脱毛症の治療薬として開発が進められました。

1988年にミノキシジルの外用薬が男性型脱毛症(AGA; androgenetic alopecia)の治療薬としてFDAに認可され、販売が開始。

日本ではアメリカに数年遅れて臨床試験が行われ、日本人においてもミノキシジル外用薬の有効性が認められました1) 。そして、1999年にミノキシジル外用薬が発毛薬として一般用医薬品承認されています。

ミノキシジルには外用薬と内服薬の2種類がある

ミノキシジルは外用薬内服薬の2種類があります。詳しい違いは後ほど詳しくお話しますが、主な違いは以下のようになります。

  1. 外用薬:日本でも一般用医薬品として承認されている。1%と5%濃度の商品があり、医療機関での販売もあるが、ドラッグストア等でも購入できる。
  2. 内服薬:日本では承認されていない未認可の薬であるが、発毛効果を実感することが多く、AGA専門の医療機関で処方されている。
育毛剤 発毛剤

AGA治療におけるミノキシジルの位置づけとは

AGAの治療について、日本皮膚科学会が2017年に発表した男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインがあります2) 。ガイドラインではAGA治療法を推奨度別に以下のように分類。

治療法推奨度
フィナステリド内服A (男性型脱毛症)D (女性型脱毛症)
デュタステリド内服A (男性型脱毛症)D (女性型脱毛症)
ミノキシジル外用A
植毛術自家植毛:B (男性)、C1 (女性)人工毛植毛は男女ともD
LEDおよび低出力レーザー照射B
アデノシン外用B   (男性型脱毛症)C1 (女性型脱毛症)
カルプロニウム塩化物外用C1
t- フラバノン外用C1
サイトプリンおよびペンタデカン外用C1
かつらの着用C1
ピマトロストおよびラタノプロスト外用C2
成長因子導入および細胞移植療法C2
ミノキシジル内服D
それぞれの治療法での推奨度

(文献2を一部改変して引用)

※推奨度のA~Dは以下の通りとなります。

  • A: 行うよう強く勧める
  • B: 行うよう勧める
  • C1: 行ってもよい
  • C2: 行わないほうがよい
  • D: 行うべきではない

表にもあるように、ガイドラインではミノキシジルの推奨度は外用薬がA(行うよう強く勧める)、内服薬はD(行うべきでない)とされています。

なぜ内服薬だけ推奨度が低いのでしょうか。ガイドラインでその理由は以下のように述べられています。

  • AGAにおいてミノキシジル内服の臨床試験が行われていない。
  • ミノキシジルは日本では認可されていない薬である。
  • 多毛症以外のミノキシジル内服薬の副作用の報告は少ないが、添付文書に胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、むくみなどの副作用の記載がある。
  • 総合的にみて利益と危険性が十分に検証されていない。

ここで一つ、注意が必要なことがあります。ガイドラインはルールブックではありません。ガイドラインは専門家でなくても標準的な治療を行うことができるようにするための手引きともいえます。ガイドラインで勧めていないものを絶対やってはいけないというわけではありません。

また、ガイドラインは定期的に見直しがされますが、毎年のように頻繁には変更されないので、最新の治療や研究結果が反映されていないことが。内服の効果については後でお話いたします。

ミノキシジルには毛の成長を促す作用機序が認められています

ミノキシジルがどのようにAGAに効果があるのかを説明する前に、通常のヘアサイクルについて軽くおさらいしましょう。

髪の毛は、髪の毛が伸びる→抜ける→また新しく生えることを繰り返し、これをヘアサイクルといいます。

ヘアサイクルは、成長期→退行期→休止期→脱毛という段階があり、通常成長期が一番長く、2-6年。

図 毛周期

AGAになると成長期が短くなってしまいます。成長期が短くなると、髪の毛が十分に太く伸びる前に抜け落ちてしまいます。

毛周期 短縮

ここで本題のミノキシジルの作用に戻ります。実は、ミノキシジルのAGAへの効果のメカニズムは完全には解明されていません。これまでにわかっている機序は以下の通りとなります。

  • 血管拡張作用による頭皮の血流改善。
  • 毛包に直接作用し、細胞の増殖や成長因子の合成を促進する。

ミノキシジルがヘアサイクルに具体的にどのように働きかけるかというと、以下の2つの作用があると言われています。

① 休止期から初期成長期への移行を誘導する。

休止期の毛根を活性化し、新たな毛髪の発生を促進します。

② 初期成長期から後期成長期への移行を促進し、維持する。

小さい毛包を増大させて毛髪の成長を促進します。

ミノキシジルのヘアサイクルへの作用のイメージは以下のようになります。

ミノキシジル

ミノキシジルのポイントは、AGAの発症に関与する男性ホルモンをブロックする治療薬、フィナステリドやデュタステリドとは作用機序が異なるということです。

ミノキシジルは、外用薬も内服薬もどちらも効果があります

ミノキシジルの薄毛に対する効果はどれくらいでしょうか。外用薬と内服薬それぞれについて見ていきましょう。

①ミノキシジル外用薬

ミノキシジル外用薬は、AGAのガイドラインでも推奨度はA(行うよう強く勧める)です。推奨度が高い理由には、いくつかの研究でAGAに対するミノキシジル外用薬の効果があったことがあげられます。ガイドラインで挙げられた研究結果をご紹介。

1つ目は、AGA患者さんにミノキシジル外用薬(この研究でのミノキシジル濃度は2%)とプラセボ(有効成分を含まない偽薬)を使用した2つのグループによる効果の比較研究です。

ミノキシジルを使用したグループはプラセボのミノキシジルを使用しないグループと比べて、使用前後で脱毛部の毛髪数が平均で 20.9 本増加しました3)

2つ目は、ミノキシジル外用薬の濃度による違いの研究です。現在ミノキシジルは濃度が1%と5%のものが主に販売されています。日本人男性のAGAを対象にして、1%と5%のミノキシジル外用薬を使用して24週後を比較した研究では、両者とも発毛が4)

そして、5%濃度のミノキシジルは1%濃度と比較して、より多くの発毛がみられました(脱毛部の1cm2の発毛数が1%濃度ミノキシジルは平均21.2本に対し、5%のほうは26.4本)。

②ミノキシジル内服薬

ミノキシジル外用薬とは対照的に、内服薬は2017年のAGAのガイドラインでは推奨度がD(行うべきではない)と推奨されていない治療法です。その理由として、総合的にみてミノキシジル内服薬の利益と危険性が十分に検証されていないからとされています。

では実際にミノキシジル内服薬は効果が不明で、副作用の頻度が高い治療法なのかと言うと、そんなことはありません。

最近発表された研究結果では、ミノキシジル内服薬はAGAに対する効果があり、副作用は少ないものとされています。

1つ目は、脱毛症治療におけるミノキシジル内服薬の有効性と安全性をまとめた研究です5) 。2020年4月までに発表された論文をまとめて比較したもので、634名の患者を対象とした合計17件の研究について検討されました。

AGAや女性のAGA (FAGA)における論文では、ミノキシジル内服薬は薄毛改善に有効であったという結果で。具体的にAGAでは1日5mg、FAGAでは1日0.25-1.25mgのミノキシジル内服が、薄毛改善に有効という報告が多くみられました。

ミノキシジル内服薬の副作用は多毛症が20%に認めましたが、重篤な副作用とされる浮腫、低血圧や心電図の変化は0.9-2.2%と低い割合。また、いずれも副作用の程度として軽症でした。

2つ目は、ミノキシジル外用薬の代替療法として脱毛症におけるミノキシジル内服薬の有効性が認められる内服量はどれくらいなのかということについて検討された研究です6)

さまざまな研究を調査し、ミノキシジル内服薬は1日0.25~5mgとさまざまな投与法が利用されていました。男女別での治療量では、女性は1日0.25から2.5mgと低用量で効果が。一方、男性は効果を得るために1日1.25から5mgと高用量が必要であることが示唆されました。

ミノキシジルの外用方法:過剰塗布は避けましょう

発毛

●用量

ミノキシジル外用薬は、AGAのガイドラインでも推奨されている治療で、ガイドラインでは男女別に以下の用量が推奨されています。

男性型脱毛症:5%ミノキシジル濃度

女性型脱毛症:1%ミノキシジル濃度

●用法

1日2回(朝と晩)、1回1mlを使用するのが一般的です。

●使い方のポイントと注意点

  • できる限り(1日1回は)洗髪後に使用するようにしましょう。

頭皮の汚れを落としてからのほうがミノキシジルの浸透がいいからです。

  • ミノキシジルの外用は髪や頭皮を乾かしてから行ってください。

濡れたままだとミノキシジルが薄まり、薬の吸収が悪くなるからです。

  • 医師の指示や薬の添付文書に従って使用しましょう。

回数や量を増やしたら効果がより大きくなるのではないかと自己判断で増量すると、副作用が出現しやすくなる恐れがありますので控えましょう。特に外用薬の過剰塗布は、かゆみやかぶれの原因となります。

ミノキシジルの内服方法:必ず医師に相談して効果的な使い方を

内服 男性

●用量

ミノキシジル内服薬はAGAのガイドラインでは推奨されていない治療ですが、AGA専門クリニックで処方されている治療法です。

ミノキシジルの錠剤は、2.5mg、5mg、10mgの3種類があります。クリニックに異なりますが通常開始されれる量は男女別に以下のようになります。

男性型脱毛症:1日5mg 

女性型脱毛症:1日2.5mg 

●用法

1日1-2回、水かぬるま湯で内服するのが一般的です。

●ミノキシジルを内服する上での注意点

ミノキシジルは通常の風邪薬や花粉症などの薬を一緒に内服する分には問題はありません。しかし、一部一緒に飲んではいけない薬があります。以下の薬は一緒に飲まないようにしましょう。

  • 勃起不全(ED)改善薬
  • 一部の偏頭痛の治療薬(イミグラン)
  • イブプロフェン

また、アルコールは血管を拡張させる作用があるのでミノキシジルと一緒に飲むと血圧が低下しすぎるおそれがあります。一緒に飲むのは控えましょう。

外用薬と内服薬で異なるミノキシジルの副作用

ばつ 男性

ミノキシジルは外用薬と内服薬で副作用が異なります。それぞれの副作用について説明します。大切なことは自己判断で勝手に用量を増やすと思わぬ副作用が発現することもあるので控えるということです。

①ミノキシジル外用薬

ミノキシジル外用薬の主な副作用は以下の通りです。

  • 発疹
  • 頭皮のかゆみやかぶれ
  • 頭痛
  • 浮動性めまい(ふわふわとするようなめまい)
  • 動悸
  • むくみ

厚生労働省の調査では、軽い副作用も含めて全体の副作用の発生率は8.82%で、重篤な副作用の報告はありませんでした7) 。頭皮における副作用が多く、まれに頭痛やめまいが生じることがありますが、重篤なものはなく安全に使用できるかと思います。

②ミノキシジル内服薬

ミノキシジル内服薬は、血圧を下げる薬として開発され、その副作用として多毛症があったことからAGAにも使用されるようになりました。

主な副作用は以下の通りです。

  • 多毛症:頭髪以外の体毛が濃くなる現象。
  • 動悸:ミノキシジルの作用で血管が広がって心臓への血流が増えることが原因。
  • 頭痛:ミノキシジルの作用で血管が広がって神経に触れることによって生じる。
  • 血圧低下:もともとミノキシジルは血圧を下げる働き。
  • むくみ:細胞に水分や塩分が貯まりやすくなることで生じる。
  • 皮膚が赤くみえる(紅潮):ミノキシジル内服により、血管が拡張することで生じる

ミノキシジル内服薬の副作用の頻度について研究された論文では、多毛症が20.6%、浮腫が2.2%、低血圧が1.8%という結果5) 。この研究ではミノキシジル内服薬における副作用の頻度は少ないという結論でした。

ミノキシジルの副作用は、外用薬と内服薬ではそれぞれ異なります。外用薬では頭皮に関する症状が主で、内服薬は多毛症が多く、頻度は少なめですが心臓に関する副作用があります。ミノキシジルの治療に外用薬か内用薬かを検討する際の参考にしてください。

ミノキシジルの費用相場は、おおよそ月々1万円前後

財布 中身

ミノキシジルの費用は一体どれくらいにかかるのか、見ていきましょう。外用薬、内服薬ともに保険診療が適応されない自由診療となります。そのため、クリニックによって値段が異なります。これから紹介する値段は、あくまで目安となりますのでご了承ください。

①ミノキシジル外用薬

ミノキシジル外用薬は、ドラッグストアなどでも購入が可能な第1類医薬品です。AGA専門のクリニックでも販売されています。

※第1類医薬品:副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要する医薬品のことで、購入前に薬剤師による説明を受ける必要がある薬。

値段は5%濃度で、1本5000~8000円くらいです。1本で60ml入っていて、使用量は1回1ml 1日2回なのでちょうど1本で1か月分となります。女性用のものなど濃度が低いものは費用が少し安くなります。

濃度が5%を越えるものは費用が高くなります。

②ミノキシジル内服薬

ミノキシジル内服薬は、ドラッグストアでは購入できず、AGAを扱うクリニックで処方されることがほとんどです。

クリニックによって値段は異なるのですが、概ね1か月あたり6,000〜12,000円程度になります。7000円台が比較的多い印象です。最近オンライン診療を行っているクリニックもあり、その場合もう少し費用が抑えられることも。

※ミノキシジルなどAGAの治療薬の値段を調べると、薬を海外から個人輸入という形で取り寄せることができる通販サイトがあることに気がつくと思います。以下で詳しくお話しますが、通販での購入は、有効性や安全性に不安な点があり、控えましょう。

Q&A

Q:内服して1カ月経過しますが効果がみられません。

ミノキシジルによるAGAの治療は、ヘアサイクルに作用し、乱れたヘアサイクルを改善することで脱毛を抑制し、発毛を促します。通常ミノキシジルの治療効果が見られるのは、治療開始6か月後から。ヘアサイクルは治療することで徐々に改善し、すぐに正常になるわけではありません。

また、効果が出てくるまでの期間は個人差があるので、少なくとも6か月~1年は治療を継続しておくことをおすすめします。1年経っても効果がないようであれば、ミノキシジルの効果はないと判断し、治療の中止や量の変更を検討してもいいでしょう

フィナステリドやデュタステリドを同時に内服した方が良いですか?

AGAの代表的な治療方法は、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルで、この治療方法は同時に併用しても問題ありません

フィナステリド、デュタステリドはともに5αリダクターゼ阻害薬と呼ばれる薬で、脱毛因子であるジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの産生を抑制して脱毛を防ぐ効果があります。AGA治療にとっては「守りの治療」といえます。

ミノキシジルはヘアサイクルに作用し、乱れたヘアサイクルを改善することで脱毛を抑制し、発毛・育毛を促す「攻めの治療」です。

両者はその働きが異なるので、併用が可能なだけでなく、むしろ併用することでAGAの治療において攻守のバランスがうまくとれ、よりよい発毛効果が期待できます。

Q:ミノキシジル外用薬を使う場合の、オススメのヘアケア方法を教えてください。

ミノキシジル外用薬は頭皮に塗ってその部分の血流を改善することで効果を得る薬です。そのため、頭皮環境を良い状態に保つことが非常に大切です。

ここでは、頭皮環境を保つヘアケアと生活習慣についても解説します。

  • 紫外線から頭皮を守りましょう

髪への刺激は最小限にしましょう。頭は日焼け止めを塗るのは難しいため、日中帽子もかぶらないような状態で長時間頭皮を紫外線にさらすのは避けましょう。

  • 正しいシャンプーの方法で洗髪し、フケやかゆみを防ぎましょう

正しいシャンプーの方法は以下の通りです。

  1. まず髪をとかしてからまった髪をほどきます。
  2. 湯シャンプー(お湯だけで髪を洗う)で予洗いをします。
  3. シャンプーを泡立てて髪につけましょう。(シャンプーを泡立てないと髪を傷める原因になります。)具体的には手のひらにシャンプーをとって10回くらいこすれば十分です。
  4. 髪の毛は指の腹でやさしく洗うようにして爪の先で洗わないようにします。
  5. 頭皮をマッサージします。(指の腹で頭皮をほぐすように数分間行います)
  6. シャンプーをよくすすぎ、しっかり洗い流します。
  7. コンディショナーを使用し、コンディショナーもしっかり洗い流します。
  8. タオルでよく髪の毛を拭いてからドライヤーを使用し、ドライヤーの時間は極力短くします。
  • シャンプーは自分の頭の状態にあったものを選びましょう

頭皮の環境は人それぞれです。例えば乾燥してフケが出やすい人、頭皮が赤く炎症を起こしやすい人、頭がかゆい人などがあります。それぞれのタイプによって以下の成分が含まれているシャンプーを使用してみるといいかもしれません。

頭皮が乾燥しやすい、フケが気になる人:保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン)が含まれるシャンプー。

頭皮が赤く炎症を起こしやすい、頭がかゆい人:グリチルリチン酸2カリウムなど抗炎症成分が含まれるシャンプー。

  • ミノキシジル外用薬を塗る前に頭皮マッサージをしましょう。

ミノキシジル外用薬を塗る前に頭皮をマッサージしておくことで血流をよくしておくといいでしょう。

  • 食生活を見直しましょう

肉など脂肪分の取りすぎは控えて、髪の毛をつくるのに大切なミネラル(ビタミン、亜鉛、鉄など)をしっかり摂取するようにしましょう。

  • 十分な睡眠時間をとりましょう

夜の就寝中は成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは頭皮や髪の毛のダメージを修復する働きがあります。極力規則正しい生活を送るようにしましょう。

育毛剤 発毛剤

ネットで安い商品を見つけましたが、効果はありますか?

ミノキシジルの外用薬、内用薬ともに保険診療適応外の薬で自由診療のため、保険による補助がありません。継続していくとなると費用の面が気になりますよね。

「クリニックで処方してもらうと費用が高いな」「定期的に病院へ通院するのは恥ずかしいし、めんどくさいな」と思い、インターネットで購入できれば楽だし、費用も抑えることができるのにと思う方もいらっしゃることでしょう。

近年ミノキシジルだけでなく、個人輸入や業者を通じて海外の医薬品を購入する方がいらっしゃいますが、結論から申し上げると海外からの医薬品を個人輸入するのはリスクが高いので控えてください

  • 自己判断による治療の危険性

医師の診察なしに自己流で治療すると、用法、用量を間違えてしまう、副作用があっても自己判断で経過をみてしまうなど思わぬ健康被害にあってしまうことがあります。

具体的な例を挙げると、適切な用量がどれくらいなのかを把握しないまま治療し効果がでない、もしくは少ない量で効果があるかもしれないのに多くの量で治療し、副作用のリスクが高くなるといったことが。

ミノキシジルは外用薬、内用薬ともにさまざまな濃度のものが存在します。他の薬と比較してより治療薬の濃度に気をつけるべき薬です。

  • 薬そのものの安全性に対する懸念

日本で正規に流通している薬は、法律(医薬品医療機器等法)に基づいて品質、有効性や安全性の確認がされています。

一方、海外の医薬品には日本の法律に基づいている保証はありません。仮に海外の法律に基づいていても日本の法律とは異なりますので日本と同じ品質とは限らないのです。

これまで指摘された問題点として、有効成分が少ない(もしくは入っていない)、有効成分が過剰、日本で未認可の成分が入っている、中身が全く異なるものであった、などがあります。

これらの点以外にも個人輸入で購入した薬で重篤な症状が起こっても、自己責任となり、医薬品副作用被害救済制度を利用することができません。

少しでも費用の少ない薬を希望する気持ちはわかりますが、個人輸入による自己判断の治療はリスクが高く、ミノキシジルは必ず医療機関で処方してもらいましょう。

オンラインショップ 買い物

Q:ミノキシジルを開始したら脱毛が進んだのですが、心配ありませんか? 

ミノキシジルを開始してしばらくすると一時的に抜け毛が増えることがあり、これを「初期脱毛」といいます。最初薄毛を心配されて治療を開始した段階から、さらに抜け毛が増えると心配になりますよね。このままミノキシジルを使い続けていいのだろうかと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

初期脱毛は新しく毛が生まれ変わる前のサインであり、抜け毛の増加は一時的なものですので心配しすぎる必要はありません。

ミノキシジルの作用機序についてすでに触れましたが、髪の毛は伸びて、抜けて、また新しく生えるサイクルを繰り返します(ヘアサイクル)。ヘアサイクルは、成長期→退行期→休止期→脱毛という段階があり、ミノキシジルはヘアサイクルの作用点は以下です。

ミノキシジル

黄色い四角に注目してください。 ミノキシジルの作用の一つにヘアサイクルの休止期から初期成長期への移行を誘導する、つまり休止期の毛根を活性化し、新たな毛髪の発生を促進するという効果があります。

その結果、一時的に髪の毛が生える前の段階である休止期から脱毛の段階が促進され、脱毛が起こることになります。つまり、初期脱毛は新しく毛が生まれ変わる前のサインです。

初期脱毛の症状や出現時期は、ヘアサイクルと同様に個人差があります。通常はミノキシジルを開始してから2-3週間前後で始まることが多く、数か月で初期脱毛が落ち着くことが多いです。初期脱毛で不安になる気持ちはわかりますが、決して使用を中断せず継続してください。

もし抜け毛がとても多かったり、数か月以上にわたって抜け毛が多い状態が続いている場合は、ミノキシジルによる初期脱毛以外の可能性も考えられますので主治医へ相談することをお勧めします。

ミノキシジルの使用は、健康診断に影響はありますか?

AGAの治療薬で健康診断に影響が出ることを心配される方もいらっしゃるかと思います。ミノキシジルと並んで代表的なAGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは、内服していると前立腺がんの検査で測定するPSAの数値が約半分に低下するので注意が必要です。

では、ミノキシジルの場合はどうかというと、外用薬は塗った場所のみに作用するので健康診断に影響はないと考えていいでしょう。

一方、ミノキシジル内服の場合は全身に作用するので頻度は少ないのですが、以下の可能性があります。

  • 血圧が低くなる
  • 心電図の結果に影響がでる
  • 肝臓の数値(ALTやγ-GTP)が高くなる

しかし、頻度や影響は小さく、健康診断の結果に影響を与えることを恐れる、という理由で中止する必要はないかと思います。

Q:女性も使うことができますか?

女性 赤ちゃん

女性における男性型脱毛症(FAGA: female androgenetic alopeciaの略です)の治療選択肢は男性と異なります。女性は、5αリダクターゼ阻害薬と呼ばれるフィナステリドやデュタステリドは使用できません。

一方、ミノキシジル外用薬はAGAのガイドラインで女性に対しても推奨度A(行うよう強く勧める)とされています。また、内服薬は男女ともガイドラインで推奨はされていませんが、AGAクリニックでは処方されているところも。

つまり、ミノキシジルは女性でも使用することができます。しかしいくつか注意点が必要ですから、解説していきます。

  • 女性は男性と比べて濃度(用量)が少ない

ミノキシジル外用薬は、男性に濃度が5%の製品が推奨されているのに対して、女性は1%です。

理由は海外の研究結果にあります。研究では、ミノキシジル外用薬の濃度が1%、2%、5%の使用で、濃度が高いほど有効性が高い傾向でした。しかし、その差はわずかで、濃度が高いほど副作用の頻度が高いという結果8) 。この結果より、AGAのガイドラインでは1%の濃度が推奨されています。

また、内服薬においても海外の研究で、女性は1日0.25mgから2.5mgまでの低用量が、男性は1日1.25mgから5mgと高用量が望ましいという結果が6)

女性の方がミノキシジルを使用する場合は、外用薬の濃度や内服薬の量に注意してください。

  • 妊娠中(または妊娠を考えている人)や授乳中の女性は控えたほうが良い

ミノキシジルは血管に作用して血圧を下げる薬です。そのため、妊婦さんだけでなく、お腹の中の赤ちゃんの心臓に負担をかけてしまう恐れがあります。

Q:ミノキシジル外用薬と内服薬はどちらのほうが効果ありますか? 

よく聞かれる質問として「ミノキシジルの外用薬と内服薬はどちらのほうがより効き目がありますか、どちらがおすすめですか」という疑問があります。

答えとしては、ミノキシジル内服薬は全身に成分が行き渡りますが、外用薬は塗った部分の局所にしか作用しません。そのため、内服薬のほうがより効果がある一方、全身に作用するという点から副作用は出やすいということになります。

海外の研究では、1日5mgのミノキシジル内服薬は、2%濃度と5%濃度のミノキシジル外用薬よりもAGAの治療効果が高かったという結果が9)

では、どちらがおすすめかということに関しては、患者さんご自身の気持ちによるというのが答えになるかと思います。薄毛治療の効果をどこまで期待するか、副作用に対する不安は人それぞれで異なってくるため、どちらの気持ちを優先するかで内服薬か外用薬を使用するのを決めるといいでしょう。

いずれにせよ医療機関で相談してみましょう。

Q:ミノキシジル治療をするのに気をつけたほうがいい人とは、どのような人ですか? 

ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発された薬です。頻度は少ないのですが胸痛、動悸、息切れ、むくみ、めまいなど心臓に関わる副作用の報告が。

そのため、日本で市販されているミノキシジル外用薬は、心臓の病気などがある方など副作用に注意が必要な場合や、AGA以外の可能性がある場合は使用前に医師または薬剤師に相談するよう注意喚起がされています。

具体的な注意喚起は、以下のものとなります(大正製薬リアップX5プラスネオ添付文書より一部改変)。下記に当てはまっている方は治療前に相談してください。

  • 今まで薬や化粧品などで発疹、発赤、かぶれなどのアレルギー症状があった人
  • 高血圧や低血圧の人
  • 心臓や腎臓の持病がある人
  • むくみのある人
  • 家族や兄弟姉妹にAGAがいない人
  • 65歳以上の高齢者の人
  • 甲状腺機能異常のある人

まとめ

ミノキシジルの使用方法の種類、副作用、注意点について解説しました。

ミノキシジルは外用薬のみがガイドラインで推奨。一方、内服薬については副作用がやや多い傾向にありますが、効果は外用薬より強いとされています。

薄毛治療の効果をどこまで期待するか、副作用への不安は人それぞれで異なってくるでしょう。ミノキシジルについて外用薬と内服薬の違いをしっかりと把握し、ご自身の状況や効果への期待に応じて治療を選択していただければと思います。

適切な治療法の選択、副作用への対応などを行うためにも、自己判断で治療せずに専門の医療機関を受診してください。

参考文献

  1. 武円克之ら.ミノキシジル外用剤の男性型脱毛症に対する臨床的有用性の検討. 西日本皮膚科54(5):1009-1024, 1992.
  2. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版. 2017年. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf.
  3. Gupta AK, et al. Topical Minoxidil: Systematic Review and Meta-Analysis of Its Efficacy in Androgenetic Alopecia. Skinmed 13(3): 185-189, 2015.
  4. Tsuboi R, et al. Randomized clinical trial comparing 5% and 1% topical minoxidil for the treatment of androgenetic alopecia in Japanese men. J Dermatol 36:437-446, 2009. doi: 10.1111/j.1346-8138.2009.00673.x.
  5. Randolph M, et al. Oral minoxidil treatment for hair loss: A review of efficacy and safety. J Am Acad Dermatol 84(3):737-746, 2021. doi: 10.1016/j.jaad.2020.06.1009.Epub 2020 Jul 2.
  6. Villani A,et al. Review of oral minoxidil as treatment of hair disorders: in search of the perfect dose. J Eur Acad Dermatol Venereol 35(7):1485-1492, 2021. doi: 10.1111/jdv.17216.Epub 2021 Mar 23.
  7. 厚生労働省:ミノキシジルのリスク区分について. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000023431_1.pdf.
  8. van Zuuren EJ, et al. Interventions for female pattern hair loss. Cochrane Database Syst Rev 2016 May 26;2016(5):CD007628. doi: 10.1002/14651858.CD007628.pub4.
  9. Gupta AK, et al. Minoxidil: a comprehensive review. J Dermatolog Treat 20:1-11, 2021. doi: 10.1080/09546634.2021.1945527.Online ahead of print.
記事URLをコピーしました