医療レーザー脱毛後に肌荒れしたときの改善方法は?なかなか治らないときはどうする?
ムダ毛のお手入れがラクになる、コンプレックスが解消できる、価格帯が下がってきているなどの理由から、年々医療レーザー脱毛を行う方は増加しています。
ただ、脱毛ではレーザーを直接肌に当てて施術していくため、刺激により肌荒れが起きる場合があります。
医療レーザー脱毛後の肌荒れでよくある質問
- 脱毛後の肌荒れは何日で治る?
- 脱毛後の肌荒れが治らないけどどうしたら良い?
- 自分でできるケア方法は?市販の薬を使っても良い?
- 肌荒れ中は脱毛ができない?
当ページでは、医療レーザー脱毛で起きる肌荒れと原因や、肌荒れへの正しい対処法を解説します。
脱毛後の肌荒れで跡が残ってしまったり、次の脱毛照射が受けられない事態を避けるためにも、ぜひ参考にしていただけると幸いです。
医療レーザー脱毛後に起きる肌荒れと原因
医療レーザー脱毛後に起きる可能性がある肌荒れの症状と、その原因をまとめました。
かゆみ・赤み
美容皮膚科などのクリニックで脱毛に使用される医療レーザー脱毛機は、安全性を重視して作られていますが、医療レーザー脱毛を受けたあとはかゆみ・赤みなど軽度の肌荒れが起きることがあります。
医療レーザー脱毛後に起きるかゆみ・赤みの症状
- 脱毛直後~数日間赤いブツブツができる
- 赤い斑点ができ、かゆいと感じる
- 毛穴の盛り上がりが起こる
- 見た目の異常はないがかゆみだけ感じる
- 肌がボコボコとしてしまう(むくんでいる状態)
医療レーザー脱毛後のかゆみ・赤みの原因は、レーザーの刺激によるものです。
そもそも脱毛というものは、身体の細胞に変化を与えるような処置(発毛組織を破壊する施術)を行っているため、かゆみや赤みの症状が起きても不思議ではありません。
赤みの症状では毛穴に沿って赤いブツブツができるので、内出血しているように見えることもあります。
基本的には2~3日で治まりますが、4日・5日と続くようであったり、赤みの範囲が広かったり、かゆみが強かったりする場合には早めに医療機関を受診してください。
毛嚢炎・ニキビ
毛嚢炎は「毛包炎」とも呼ばれ、毛穴に炎症がおきている状態のこと。※1
医療レーザー脱毛を受けた直後~数日後に、毛嚢炎(もうのうえん)やニキビができる可能性があります。
毛嚢炎・ニキビができやすい部位
- 顔
- 髭が生えている部位
- VIO
- 脇
- 背中
毛嚢炎やニキビは、皮脂分泌の多い顔や背中、デリケートなVIO、蒸れやすい脇などにできやすいです。
毛嚢炎とニキビの違い
毛嚢炎 | ニキビ | |
---|---|---|
原因菌 | 表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌※ | アクネ菌 |
状態 | 毛穴の細かな傷から原因菌に感染して炎症が起きている | 毛穴内部で原因菌が増殖し、炎症が起きている |
症状 | ・毛穴部分の赤いプツプツ ・赤み+膿 ニキビのような症状ですが、複数の毛穴に炎症が広がる(毛嚢炎が大きくなる)場合がある | ・赤ニキビ ・白ニキビ ・黄ニキビ ・黒ニキビ 炎症のみのものから膿を持ったものまであり、まれにかゆみを伴う場合がある |
毛嚢炎とニキビは原因菌が異なりますが、見た目が非常に似ているため一般の方が毛嚢炎・ニキビのどちらに当てはまるかを判断するのは難しいです。
毛嚢炎・ニキビが自然治癒するまでの期間は、1~2週間程度ですが、毛嚢炎は悪化すると複数個がくっつき大きくなる場合があります。
引っ掻いたりして潰してしまうとクレーター状の跡が残ってしまうケースもあるので、毛嚢炎の炎症が広い(毛嚢炎が大きくなる)場合には、医療機関を受診しましょう。
肌の乾燥
医療レーザー脱毛の照射後は、ふだん肌が乾燥しない部位、肌が乾燥しにくい方であっても乾燥のリスクがあります。
脱毛を受けたあとは、いつも以上に保湿ケアを心がけましょう。
脱毛後に保湿しないとどうなる?
- 炎症・赤み・かゆみなどのトラブルにつながる
- 小じわができる原因になる
- 埋没毛(うもれ毛)が起こりやすくなる
- 次回照射の効果が減る、痛みが強くなる
肌が乾燥する原因は、レーザーが毛のメラニンに反応して発する「熱」による肌内部の水分蒸発です。
肌が乾燥していると肌バリア機能が低下するため、少しの刺激でも炎症・赤みなどが起きやすくなりますし、乾燥からかゆみにつながるケースもあります。
さらに乾燥が続くと小じわができるようになり、角質が厚くなると成長した毛が皮膚表面に出てこれずに埋没毛(埋もれ毛)が起こる可能性も。
次回の脱毛効果が減って痛みが強くなるばかりか、最悪の場合は来院しても脱毛が受けられないこともあるので脱毛中の乾燥対策は必須です。
どのクリニックでも必ず脱毛後は保湿をするように案内があるはずで、こまめに保湿を行っていれば1~2週間ほどで改善します。
脱毛後の肌荒れの対処法
きれいになるためにスタートした脱毛で肌荒れが起きてしまったら、とてもショックですよね。
脱毛の肌荒れに対する正しいケア方法は下記の4つ。適切なケアを続けていれば、徐々に改善していきます。
自分でできる肌荒れへの対処法
- 刺激を与えない
- 赤み・かゆみは適度に冷やす
- 朝晩の保湿を欠かさない
- クリニックからもらった薬を塗布する
なかなか治らないときは
脱毛後の赤みや肌の火照った感じはとてもポピュラーな症状で、アフタークリームを塗って保湿をすれば2~3日で良くなることがほとんど。
ただし、4日、5日と時間が経っても肌荒れがなかなか治らないときや、余計に症状がひどくなるような場合には、脱毛を受けたクリニックや皮膚科などの医療機関を受診しましょう。
脱毛直後の肌荒れは「そのうち治まるだろう」と様子を見る方が多いのですが、問題なのは、範囲が広い場合や4日・5日と赤みが治まらないケース、1週間以上経っても良くなる気配がない毛嚢炎・ニキビです。
医療レーザー脱毛を行っているクリニックでは、どの院でも脱毛後の肌荒れへの対処ができます。
なかには、診察・治療・薬の処方が無料で行えるところもあるため、まずは脱毛したクリニックへ相談してみましょう。
施術時に嫌な思いをした、脱毛したクリニックに相談するのは気が引ける、診察の予約がなかなか取れないのでほかの医療機関に行きたい、などご自身で探して受診する場合、診療科は皮膚科です。
なかなか治らない肌トラブルは、待っていても改善しない場合や跡が残ってしまう場合が多いです。
面倒だと感じても、お肌のために早めに医療機関を受診しましょう。
市販の薬は悪化リスクがある
医療機関に行かなくても肌荒れが治る市販薬は手軽で嬉しいものですが、市販薬の使用は悪化リスクがあることは理解しておいていただきたいです。
たとえば、市販でも購入できるステロイド薬は赤みやかゆみなどの炎症に有効ですが、強さのランクがあり、強い薬ですと顔やVIOなどの皮膚の薄い部位には不向きです。
また、細菌感染した毛嚢炎への使用はNG。ステロイド薬の副作用の一つに毛嚢炎があり、細菌感染に対する防御力の減退がステロイド薬の弱点です。※2 ※3
分かりやすくいえば、毛嚢炎にステロイド薬を使用した場合、悪化するリスクや他の肌トラブルを招く恐れがある、ということです。
毛嚢炎への治療は抗菌薬を使用しますが、かつては有効だった抗菌薬に対して耐性を示すブドウ球菌(今までの薬が効かないブドウ球菌)が増えていることも分かっています。※4
手軽に購入できる市販薬はときには心強い味方となりますが、脱毛後の肌トラブルに安易に市販薬を使用してしまうと、症状が悪化することも。ご自身で市販薬の使用を判断する前に、まずは医療機関へ相談されることをおすすめします。
代表的な治療薬
赤み・かゆみ・炎症 | ステロイド薬 |
毛嚢炎・ニキビ | 抗菌薬 |
肌の乾燥 | ヘパリン類似物質・ワセリン |
医療機関ではそれぞれの症状に合った適切な薬を処方し、必要であれば飲み薬なども併用します。
手軽に購入できる市販の薬は便利ですが、なかなか治らない肌荒れや重症化してしまった患部には医師の診断による薬の処方が有効です。
脱毛クリームやワックス脱毛での自己処理で肌荒れが起きるケースも
脱毛後の肌荒れは、医療レーザー脱毛やサロン脱毛に限ったことではありません。
最近は手軽に使用できる「脱毛クリーム」や「ワックス脱毛」などのムダ毛ケア商品が多くあり、これらの使用で肌荒れが起きるケースが増えています。
脱毛(除毛)クリームで起きる肌荒れ
- 薬剤によるかぶれ・炎症・腫れ
- ヒリヒリした痛み
- ニキビや毛嚢炎
脱毛クリームとして販売されている商品は、お肌にクリームを塗り、毛をやわらかくして取り除く仕組みです。
刺激が強くお肌を痛める可能性のある自己処理方法なので、購入する際は慎重に検討しなくてはなりません。
PIO-NET(国民生活センター)には、2014年度~2019年10月までの約4年半の間に「除毛剤(脱毛クリーム)の使用で肌トラブルが起きた」といった相談が738件寄せられています。※5
インターネットで販売されている脱毛クリームには「医療脱毛級」「永久脱毛状態」「強力脱毛」などの魅力的な言葉が並ぶものがありますが、その脱毛クリームは本当に肌のことを考えて作られているのか、一度立ち止まって考えてみてくださいね。
脱毛クリームの主成分は毛のたんぱく質を分解して溶かしますが、同時に肌への刺激になります。
保湿成分がたくさん含まれている商品であっても、敏感肌の方や肌が弱い方ですと毛を溶かす成分の刺激で肌荒れが起きてしまう可能性もあるのです。
脱毛・除毛クリームは肌が強い方であっても、皮膚がデリケートな顏への使用は厳禁です。使用上の注意に沿った使い方でなければ、肌荒れの危険性があります。
ワックス脱毛で起きる肌荒れ
- 肌や毛穴を傷つけて起こる炎症
- 肌の角質を引き剥がしたことによる乾燥
- 毛穴からの出血
- 肌刺激によるかゆみ
- ニキビや毛嚢炎
ワックス脱毛は毛を根元から引き抜くお手入れで、毛抜きよりも広い範囲を一気に処理できる、剃るよりも毛がない状態が長持ちする、といったメリットがありますが、肌荒れリスクはとても高いです。
ワックス脱毛は肌の強い弱いにかかわらず、誰でも肌荒れを起こす可能性があります。
ワックス脱毛は、ワックスを肌に塗って毛とともに引き剥がすので、毛穴への負担はもちろん、皮膚への負担も大きいお手入れ方法です。
カミソリや毛抜きも肌荒れのリスクがある
脱毛クリームやワックス脱毛だけでなく、カミソリや毛抜きを使用した自己処理でも肌荒れのリスクがあります。
具体的には、赤み、かゆみ、毛嚢炎、ニキビ、肌の乾燥、埋没毛などが挙げられますが、繰り返すお手入れで色素沈着したり、毛穴が目立つようになったりする可能性があります。
頻繁にお手入れしている方も多いですが、カミソリは清潔なものを使用する、毛の流れに沿って刃を動かす、自己処理後は保湿を行う、などの注意点を守らなければ肌荒れが起こりやすくなります。
毛抜きによる自己処理は毛穴への負担が大きく、毛嚢炎やニキビの発生、毛穴からの出血リスクがあります。デメリットが多いので、避けていただきたいお手入れ方法です。
肌荒れしているときに次回の脱毛は受けられる?
脱毛後に肌荒れが起きてしまった場合に「次回の脱毛が受けられるの?」「次の脱毛する日までに治したい」と心配になってしまいますね。
正しく対処すれば症状が長引くことはないためほとんどの場合には問題になりませんが、脱毛する日になってもひどい肌荒れが起きている場合は、脱毛照射は受けられません。
次回の脱毛が受けられない肌荒れ
治りかけのニキビや少しの乾燥程度でしたら問題なく脱毛できる場合が多いですが、明らかに炎症している、化膿している、肌がガサガサになるほど乾燥している場合は脱毛NGとなります。
脱毛が受けられないケース
- 毛嚢炎やニキビが炎症・化膿している
- 肌の乾燥がひどい
- 肌荒れの範囲が広い
顔脱毛の場合、他の部位よりも短い1~2カ月周期で脱毛を行っていきます。肌荒れが起きた場合は診察・治療をすぐに始めて次回の脱毛日のために肌のコンディションを整えましょう。
もしも次回の脱毛ができないと診断されたら
脱毛が難しいと診断されたら、「症状が治まってから脱毛を受ける」「症状がある部位を避けて照射する」どちらかの対応になります。
一番避けたいのは予約当日に「脱毛できない」と診断されて帰宅するパターンです。
症状が治まってから改めて脱毛を受ける場合は当日キャンセル扱いになり、コース1回分が消化となってしまうことがあります(脱毛を受けるクリニックにより規定が異なります)。
また、帰宅せず症状がある部位を避けて照射を受けた場合でも、照射できなかった部位は1回分の照射として扱われることがほとんどです。
(たとえば、顔脱毛で肌荒れした頬・アゴを避けてほかのパーツのみ照射した場合でも、顔脱毛1回分が消化されたものとして扱われます。)
予約変更は、早めに申告すれば料金がかかったり、コース1回分消化されたりする心配がありません。
肌荒れが起きていて次の脱毛予約日が迫っているような場合、早めにクリニックに相談してみましょう。
ただし予約変更を行う場合は毛周期からずれてしまうデメリットがあり、脱毛の効果を最大限に引き出す適切な間隔での照射ができなくなります。
肌荒れが起きている時の対応 | デメリット |
---|---|
予約当日に脱毛不可と診断 | コース1回分の消化になるケースが多い |
患部を避けて照射 | 肌荒れ部分のみ照射回数が1回減る |
早めに相談・予約変更 | 毛周期からずれる可能性がある |
脱毛中に肌荒れがひどくなってしまった場合、どのような対応であってもデメリットがあります。症状が長引くような場合は、早めに医療機関を受診してくださいね。
参考文献
※1 毛包炎(毛嚢炎)|ひふ研/第一三共ヘルスケア株式会社 https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hifuken/symptom/mounouen/
※2 相馬 良直(平成19年)ステロイド外用剤の使い方/第58回東京皮膚科医会学術集会 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jocd/24/3/24_3_233/_pdf/-char/ja
※3 掛屋 弘〔日内会誌 108:2268~2274,2019〕ステロイド薬と感染症/日本内科学会雑誌台108巻第11号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/11/108_2268/_pdf
※4 A. Damian Dhar , MD, JD, North Atlanta Dermatology(2019)毛包炎と皮膚膿瘍 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/17-%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%B4%B0%E8%8F%8C%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/%E6%AF%9B%E5%8C%85%E7%82%8E%E3%81%A8%E7%9A%AE%E8%86%9A%E8%86%BF%E7%98%8D
※5 除毛剤の使用による肌などの皮膚障害に注意!―使用箇所を確認し、1回分を購入して肌に合うか試してから使いましょうー/国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20191219_2.html