男性型脱毛症

あなたの薄毛は5αリダクターゼが関係している?減らす方法を紹介します

男性の薄毛
藤井 麻美

薄毛の治療をしていると「5αリダクターゼ」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。

この5αリダクターゼとはAGA(男性型脱毛症)に関係のある酵素です。

AGAを治療するにあたって、この5αリダクターゼをどのように減らしていくかが重要となります。

今回は

  • 5αリダクターゼが体に与える影響
  • 5αリダクターゼを減らす方法
  • どのような人に5αリダクターゼが多いのか

になどについて説明していきますので、薄毛治療に取り組む前にぜひ理解を深めいただければと思います。

5αリダクターゼとは

5αリダクターゼとは還元酵素の一種です。還元酵素には

  • 食べた物の消化を助ける「消化酵素」
  • 栄養を体の細胞に届ける新陳代謝「代謝酵素」
  • 発酵食品に多く含まれ消化を促進する「食物酵素」

の3種類がありますが、5αリダクターゼは代謝酵素にあたります。

この代謝酵素は体や筋肉の成長・髭や体毛を濃くする作用があり、男性らしい身体をつくってくれるという働きがあります。

5αリダクターゼが体の成長を促すだけであればよかったのですが、残念ならAGAの原因になってしまうことが。

5αリダクターゼとAGAの関係性

5αリダクターゼは男性ホルモンのテストステロン結びつくと、ジヒドロテストステロンになります。

このジヒドロテストステロンが頭皮に存在する男性ホルモンレセプターと結びつくことで抜け毛を増加させる脱毛因子(TGF-β)を生成。

脱毛因子とは言葉の通り髪の毛が抜けてしまう因子なのですが、厳密には抜けるというより髪の毛の成長が短くなります。

AGAはヘアサイクルが乱れる病気

そもそも髪の毛は生えたり抜けたりを繰り返していますがこの周期のことをヘアサイクルと言います。

ヘアサイクルを細かくみてみると

毛周期 ヘアサイクル
  • 髪の毛が生えて育つ「成長期」
  • 成長が止まり抜ける「後退期」
  • 髪の毛が抜けた状態で休んでいる「休止期」

の3つの期間があります。

本来ですと成長期は2~6年かけて髪の毛が伸び、後退期になると2~3週間で髪が抜け、その後の休止期になると2~4ヶ月生えずに休みます。このサイクルが安定していれば脱毛と発毛のバランスが釣り合い髪の毛が増減することがありません。

しかし、AGAになると成長期が短くなり髪が十分に育たず、短い期間スパンで後退期がやってくるため抜け毛が増えてしまいます。

ヘアサイクルとAGAの関係

5αリダクターゼの種類

5αリダクターゼにはI型とII型の2種類があります。

5αリダクターゼI型

5αリダクターゼI型は側頭部や後頭部を中心に全身の毛乳頭細胞に存在します。

毛乳頭細胞は髪の毛の細胞分裂(発毛)を促す役割をあるため、AGA治療に関して重要な細胞です。

「I型は脱毛症状とは関係ない」というネットの記事を見ることがありますが、これもその根拠を示すデータは見つかりません。おそらくI型の多い側頭部や後頭部が薄毛になりにくいということからそう思われているようです。

5αリダクターゼII型

5αリダクターゼⅡ型は前頭部や頭頂部に多く存在します。

頭皮以外にも脇・髭・陰毛に多く存在し、不思議なことにⅡ型が多い方は頭皮以外の部位が濃くなるという特徴が。

5αリダクターゼを抑制する治療薬

5αリダクターゼを抑制するためには「フィナステリド」もしくは「デュタステリド」を使った治療を行います。

これらの薬は医療機関での処方でしか手に入れることができません。

フィナステリド

フィナステリドは5αリダクターゼのⅡ型を阻害することによってAGAを治療する薬

日本皮膚科学会のガイドラインではフィナステリドの治療の推奨度は最も高いA[行うよう強く勧める]となっており、AGAになった時にまず行うべき治療の一つです。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf

薬には0.2mgと1mgのものがありますが、副作用の程度にあまり差がないため1mgを利用するのが一般的です。

副作用

副作用としては5%以下の確率で性欲減退し、1%以下の確率で勃起機能不全や射精障害などの性機能障害が出る場合が。

しかし、フィナステリドを継続摂取した場合でもフィナステリドの成分が精液溶け出すのは0.00076%と胎児に影響を与える量ではありませんので、性機能に問題がなければ子作りを行うことができます。

男性型脱毛症治療の現状と今後の展望
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/133/2/133_2_78/_pdf

また肝機能障害を引き起こす例も確認されていますが、非常に頻度は少なくその確率は不明です。

Efficacy and safety of 3% minoxidil versus combined 3% minoxidil / 0.1% finasteride in male pattern hair loss: a randomized, double-blind, comparative study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23193746/

デュタステリド

デュタステリドは、フィナステリドと異なりⅡ型だけでなく5αリダクターゼI型Ⅱ型を両方阻害

そのためデュタステリドの方がフィナステリドよりもAGAに対する治療効果が1.6倍あるとされています。

こちらも治療の推奨度は最も高いA[行うよう強く勧める]となっており、AGAになった時にまず行うべき治療の一つとなっています。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf

副作用

効果が高くなる分、副作用が発症する確率が高くなります。主な副作用は、フィナステリドと同じ性機能の減退

ザガーロ(デュタステリドと同成分の薬)の臨床試験データでは、患者数557名に対して95名の副作用の症状発症率は17.1%。

ザガーロ 男性型脱毛症治療薬
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065940.pdf

内訳は、

  • 勃起不全4.3%(24/557例)
  • リビドー減退3.9%(22/557例)
  • 精液量減少1.3%(7/557例)

となっています。デュタステリドも服用中にできた胎児の発達に及ぼす影響は無視できる割合ではありますが、フィナステリドよりも副作用の割合が高いため子作り中の服用は中止した方が良いと考えます。

ノコギリヤシエキスが薄毛治療に効果がある?

近年、シャンプーや育毛剤で「ノコギリヤシエキス配合」という文言を目にすることがあるでしょう(どの育毛剤かは明言しませんが、気になる方は検索してみてください)。

ノコギリヤシとはヤシ科のハーブの一種でサプリメントや漢方などに使用。

このノコギリヤシエキスに含まれる抗エストロゲン作用が良性前立腺肥大症に効果があるとされています。

その効果の一つとして5αリダクターゼ抑制があるようなのです。[fn]健康・栄養フォーラム – 健康影響評価:ノコギリヤシ
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/hn/modules/pico/index.phpcontent_id=284&page=print.html[/fn]

確かにデュタステリドはもともと前立腺肥大症治療薬がきっかけで作られている薬ですのでその可能性がないとは言えませんが、研究に使われているデータの質が低く、あまり信憑性がありません。

サプリメントを売るために比較的誰でも掲載可能な研究機関に論文を載せ、その論文をあたかも証拠のように新成分を配合したサプリメントを売るのは良くある販売手法です。

データが少ないものを信じて使うよりもしっかりと国に認められている治療薬を使った方が効果を見込めると思います。

5αリダクターゼが多い人とは

5αリダクターゼの活性度は先天的に決まるとされており、そのほとんどが遺伝によって決定します。

両親が5αリダクターゼの活性度が高い場合は子も5αリダクターゼの活性度が高い可能性が。両親・祖父母に薄毛の方がいればその遺伝情報を受け継ぐ可能性が高いため、特に母型に薄毛の親族がいる場合は注意が必要です。

薄毛に関する遺伝子検査は医療機関やネットの検査キットで行うことも可能で、将来的に薄毛が始まってから治療を行うよりも、あらかじめ薄毛に対する予防を行うことで髪のボリューム感を維持しやすくなるというメリットがあります。

5αリダクターゼのよくある質問

5αリダクターゼに関するよくある質問を紹介します。

Q
生活習慣で気をつけるべきことは?
A
飲酒と喫煙を控えるようにしてください

喫煙・飲酒などによって5αリダクターゼを抑制する「亜鉛」を大量に消費してしまうため5αリダクターゼの活性化が増すと考えられています。

ちなみに喫煙はそれ以外にも、血管を細くする作用やビタミンを欠乏させ肌や髪の毛の新陳代謝(ターンオーバー)を弱くさせますので、薄毛になりたくない方は本数を減らすのではなく禁煙しましょう。

Q
サプリメントに5αリダクターゼを減らす効果はある?
A
サプリメントには症状を改善する効果はないと考えてください。

5αリダクターゼに限らずですが、サプリメントはあくまで健康な人が予防として使うことを想定されており、症状を改善する効果は認められません。

薬とサプリメントの違いは非常に明確で、厚生労働省の審査を通り、効果が科学的に認められたものを薬と呼びます。

厚生労働省 健康食品やサプリメントの名称についてhttps://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/pamph_healthfood_d.pdf

もちろんサプリメントの中にもある程度、効果効能が確認されているものもあるかもしれませんが、あくまで体調を補うために使うものと考えてサプリメントを使用してください。

Q
ウーロン茶が5αリダクターゼを減らすって本当ですか?
A
データの信頼性は不明ですが、そのようなデータはあるようです。

毛髪クリニックリーブ21が2016年に発表した研究結果に「ウーロン茶に男性ホルモン抑制作用薄毛の原因「5α-リダクターゼ」を阻害し育毛を促進する作用を確認」というものがありました。

発毛クリニックリーブ21 ウーロン茶に男性ホルモン抑制作用https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102111/201603239109/_prw_PR1fl_R2hnlT74.pdf

この発表によるとウーロン茶エキスが「5α-リダクターゼⅠ型・Ⅱ型」の両方を阻害することを確認したとあるのですが、その実証方法や細かい研究結果を確認できなかったのであまり信頼できる内容ではななさそうです。

Q
5αリダクターゼは女性の薄毛にも関係ある?
A
女性の薄毛とは関係はほとんどありません。

5αリダクターゼは女性にもあり、頭皮全体に存在します。

しかし男性型脱毛症(AGA)と女性型脱毛症(FAGA)は理由が異なるため、5αリダクターゼが女性の薄毛に影響を与えることはほとんどありません。

まとめ

今回は5αリダクターゼと薄毛・脱毛の関係について説明させていただきました。

基本的には5αリダクターゼが増えた場合は、医療機関による処方薬による治療しか効果がないと考えてください。

サプリメントやシャンプーでは改善することはできませんので、薄毛が気になった場合は医療機関にて診察を受けてください。

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