【初期脱毛?】薄毛(AGA)の治療をすると抜け毛が増える驚きの理由とは
「AGA治療をすると逆に抜け毛が増える」
薄毛治療について調べた方ならこんな噂を聞いたことがあるかもしれません。実はこの噂、本当なのです。
「少なくなってきた髪の毛を増やしたいのに、さらに抜けてしまったら意味がないのでは?」と思ってしまった皆さま、安心してください。実はAGA治療における“初期脱毛”は、よくあることですので気にする必要はありません。
今回は、AGA治療で起こる初期脱毛について
- なぜ薄毛治療で初期脱毛が起こるのか?
- どの程度で脱毛症状が治るか
などについて説明していきます。
これからAGAの治療を始めようと思っている方、AGA治療による脱毛症状が不安な方はぜひ参考にしてください。
AGA(男性型脱毛症)の原因をざっくり説明
AGA治療で起こる初期脱毛を説明するためには、AGAで髪の毛が少なくなる理屈とヘアサイクル(毛周期)について理解する必要があります。
人の毛は「生えて伸び」「抜けて」「休む」というサイクルを繰り返しているのをご存じでしょうか?
生えて伸びる期間を「成長期」
抜ける期間を「退行期」
休んでいる期間を「休止期」
と言い、このサイクルのことをヘアサイクルもしくは毛周期と呼びます。
部位によってこのヘアサイクルの期間は異なりますが、髪の毛の場合2年〜6年伸び続け、2〜3週間かけて抜けてゆき、3ヶ月休むという期間で生え変わるのです。
この「生えるペース」と「抜けるペース」が通常のペースであれば毛量が減ることはありません。
しかし、AGAになるとこのヘアサイクルが乱れ成長期が短くなるため、早いペースで髪の毛が抜けてしまい、髪の毛が生えるペースより抜けるペースが早くなるため徐々に薄毛が進行します。
AGAになると生える毛もコシがなくなり細くなりますが、これも成長期が短くなることが原因。
成長期が短いということは生えてくる毛は成長が途中で止まるので、通常の髪の毛は成人まで育つのに、AGAで生えてくる毛は成長期が半分で終わる小学生で成長が終わってしまうわけです。
AGAになると全体が弱い毛になるのはこのため。
さらに成長期が短くなると当然ヘアサイクルが早く回転、ハイスピードでヘアサイクルを繰り返すことによって、生え変わりの上限に達してしまうとその毛穴からは二度と髪の毛が生えてこなくなります。
「初期脱毛」の原因
ヘアサイクルとAGAの仕組みを理解していただけたのではないでしょうか。ただ、「結局それとAGA治療の初期脱毛はどう関係あるの?」と思いますよね。
AGAの治療の目的は、弱い毛を強い毛(正常に成長する毛)にすること、治療によって生えてくる強い毛が弱い毛を押し出すように生え変わります。
これがAGA治療をすることにより脱毛が起こるメカニズムです。
その後、弱い毛が抜ければその後は治療を続ける限り強い毛が生えてきて、抜け変わりによる脱毛は収束するので安心してください。
この初期脱毛のことを「休止期脱毛」ということもあります。
初期脱毛が起こる治療
薄毛治療で一般的に使われるのは主に3種類。発毛を促す「ミノキシジル」抜け毛を抑える「デュタステリド」または「フィナステリド」という薬です。
全ての薬が初期脱毛を起こすわけではありませんので、それぞれの薬の特徴を確認してみましょう。
ミノキシジル
ミノキシジルは髪の毛を生やす薬。髪の毛を生やす効果がある薬ですので、AGA治療においては攻めの薬と呼ばれることもあります。
毛母細胞に発毛を促し、休止期中の髪の毛を成長期に移行させ、より長い成長期間や発毛力を高めることによって太く強い髪の毛を生やす効果が。
ミノキシジルは、弱い髪の毛は強い髪の毛によって押し出されるように抜けることがあります。これがミノキシジルによる初期脱毛です。
デュタステリド
デュタステリドは抜け毛を増やす5αリダクターゼという酵素を抑制し、抜け毛を減らす薬。
抜け毛を減らすというアプローチで薄毛を解決するアプローチをしますので、AGA治療においては守りの薬と呼ばれることもあります。
ただし、先ほど紹介したミノキシジルとは異なり、毛母細胞を活性化させるわけではないので、デュタステリドで初期脱毛が起こることは少ないです。
フィナステリド
フィナステリドもデュタステリドと同じく、5αリダクターゼを抑制し、抜け毛を減らす守りの薬です。
毛母細胞を活性化させるわけではなく、フィナステリドで初期脱毛が起こることは稀です。
つまり医薬品における脱毛は基本的にはミノキシジルのみと考えてください。日本皮膚科学会ガイドラインにも以下のような記述があります。
男女ともにミノキシジル外用初期に休止期脱毛がみられることがあり,これが外用中止につながる恐れがあるため,患者への説明が必要である
日本皮膚科学会ガイドライン 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
初期脱毛の期間
初期脱毛が起こるのは仕方ないと理解いただけたと思いますが、気になるのは抜け毛が増える期間。
症状は個人差がありますが、初期脱毛は大体1ヶ月程度で抜け毛が増え起こり、そこから3ヶ月ほどで収まるのです。長いようにも思えますが、ヘアサイクルを正常に戻すためには時間がかかります。
心構えとして「3ヶ月ぐらいは脱毛症状が続くものなのだな」と、初期脱毛がきた際にあまり考えすぎないようにしましょう。
初期脱毛は起こらないことも
初期脱毛が起こると構えていても、脱毛症状が起こらないケースも。
前述したように、デュタステリドとフィナステリドには脱毛を起こす原因はありませんが、ミノキシジルを使った治療でも初期脱毛が起こらないこともあります。
必ずしも初期脱毛が起こらなければAGAが改善しないというわけではなく、効き目と初期脱毛の量に関係性はありません。
特にもともとの脱毛症状が軽い方、若い方などはなどは髪の毛が初期脱毛も軽い傾向にありますので、脱毛症状が起こっても脱毛症状が起こらなくても不安に感じないでください。
初期脱毛は2回起こることも
貴重な髪の毛が抜ける初期脱毛ですが、残念ながら人によっては2回目の初期脱毛が起こることもあります。
研究機関の数字は見つけられなかったのですが、メンズ美容サイトの調査によると
1回目の初期脱毛発現から1ヶ月以内日:11.3%(6名)
PRtimes 初期脱毛には2回目がある?薄毛治療中に感じた抜け毛の変化を調査
1回目の初期脱毛発現から1ヶ月目以降〜3ヶ月まで:9.4%(5名)
1回目の初期脱毛発現から3ヶ月目以降〜6ヶ月まで:3.8%(2名)
2回目の初期脱毛はなかった:75.5%(40名)
大体25%、4人に1人の確率で2回目の脱毛症状が起こるようです。
2回目の初期脱毛が起こる理由としては、1回目の脱毛後に生えた髪の毛があまり強い毛ではない(ヘアサイクルが整っていない)場合に、もう一度毛が抜け生え変わろうとする、これがいわゆる「2回目の初期脱毛」というもの。
2回目の脱毛期間は大体1〜2ヶ月で終わり、1回目より短い期間です。2回目の初期脱毛が起こっても治療方針は変わりません。
初期脱毛で注意すべき点
初期脱毛は、AGAの医薬品によって起こる適切な反応ですので抜け毛を気にする必要はありません。
気をつけないといけないのは初期脱毛が始まったからといって治療をやめないこと。
初期脱毛が怖くてそこで薬を飲むのをやめてしまう方もいらっしゃいますが、そうするとただ髪の毛が減ってしまうだけなので、治療を継続してください。
また治療に関してではありませんが、巷では個人輸入サイトから医薬品を手に入れる方もいらっしゃり、リスクが高いにもかかわらず皆さま理解が浅いため少し説明させていただきたいと思います。
個人輸入サイトの怖さ
ネットの中には個人輸入という、海外からインターネットを利用して取り寄せたり、自分で持ち帰るという方法で医薬品を販売しているサイトを見かけます。
これらの個人輸入サイトでは「安く購入ができる」「診察を受けることなく・クリニックに出かけることなく薬を手に入れることができる」というメリットがありますが、それ以上に非常に大きいデメリットが。
安全性の保証がない
海外で作られた薬は、工場の衛生管理がどのようになっているかを把握することができません。一度個人輸入の薬を見せてもらったことがあるのですが、薬の印刷がずれており、箱も汚かったです。
偽造品の可能性がある
個人輸入品はその経路が不明なため、商品が偽造品である可能性があります。さらに、記載されている成分表が正しいかわかりませんし、その成分表が正しいという保証もありません。
実際、私がみた商品は日本語が間違って印字されていましたし、パッケージすら精査されていない商品を信頼するのは難しいと判断しました。
健康被害が起こった場合に保証がない
国内で医療機関が使用している医薬品には、重大な健康被害が生じた場合に、その救済措置を図る公的制度があります。
しかし個人輸入医薬品にはそのような制度がなく、重大な被害を被ったとしても泣き寝入りしかできません。
商品が定期的に届かないリスクも
特殊なケースではあると思いますが、とろサーモンの久保田さんが「コロナ前に個人輸入サイトで、髪の毛が生える薬(おそらくミノキシジル)を買った」という話を聞きました。
しかし、コロナ禍になり「定期的に商品を手に入れることができず、初期脱毛だけ起こってしまった。それが2回ありただ髪の毛が2回抜けて終わった」、と。
お笑い芸人さんなので話を面白くしているかもしれませんが、定期的に商品を手に入れられないというリスクもあります。
サプリと違って、継続しないとデメリットだけを享受する可能性がある薬なのでそういった面からも信頼できる医療機関で処方してもらう方が良いですね。
女性の薄毛治療でも初期脱毛は起こるのか
AGAは男性ホルモンによる影響であるため、女性が発症することは少なく治療方法も異なります。
具体的には女性の薄毛には「パントガール」という医薬品を使うのが一般的ですが、パントガールには毛母細胞の活性化を促す成分は入っていないため、初期症状が起こることはありません。
しかしながら、女性にも男性ホルモンはありますので少ないとはいえAGAを発症することもあり、その場合には初期脱毛が起こるミノキシジルを使う可能性がないとは言えません。
まとめ
薄毛の治療をすると髪の毛が抜けてしまうこともある、という可能性に不安を感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは新しい強い毛が生えるための準備ですので特に気にする必要はありません。
「初期脱毛が終われば強い髪の毛が生えてくるんだな」、とポジティブに考えましょう。
しかしながら初期脱毛が続いて不安な方に関しては、すでにかかっている医療機関に相談してください。
また、個人輸入サイトで購入した薬による初期脱毛が起こっている場合はリスクが大きいため、すぐに使用をやめることをおすすめします。
参考文献
1) 厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html
2) PRtimes 初期脱毛には2回目がある?薄毛治療中に感じた抜け毛の変化を調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000048304.html
3) 日本皮膚科学会ガイドライン 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf