残念ですが薄毛は遺伝します|将来が怖いならAGA遺伝子検査を受けよう
「薄毛家系だから将来が心配。」
「うちに薄毛の人はいないから安心。」
親戚が集まるとこんな会話を聞いたことはありませんか?
薄毛は遺伝するという考えからこのような会話になるのですが、この考えは本当に正しいのでしょうか?
結論を言うと、AGAは高い確率で遺伝します。しかし、見た目から遺伝しているかどうかを判断することは難しいです。
そこで今回は
- AGAのメカニズム
- 遺伝による影響の可能性
- 遺伝子検査方法
についてお話ししたいとおもいます。
AGAと薄毛のメカニズム
まず薄毛とAGAどうはどうちがうの?ということですが、AGAは髪の毛が抜けていくという原因のことを、薄毛とはその結果で状態のことを指しています。
AGAが発症する理由は、「なぜ薄毛という状態になるか」を理解してからの方がわかりやすいので、まずは薄毛になるプロセスを説明しましょう。
“薄毛”という状態ができるまでのプロセス
薄毛になる理由は、抜ける本数が生える本数を上回るためです。
そもそも全ての毛は、(生えて→伸びて→抜けて→休む)→(生えて→伸びて、、、、、、というサイクルを繰り返しています。
このサイクルのことを毛周期もしくはヘアサイクルなどと呼びます。
それぞれの期に名前があり
- 生えて伸びる期間を「成長期」
- 抜ける期間を「退行期」
- 休む期間を「休止期」
では、1日どれくらいの髪の毛が抜けているの?ということなのですが、髪の毛は1日100本抜けています。
「そんなに抜けるの?」と思うかもしれませんが、毛髪は約10万本あり、抜ける数と同じ100本が毎日生えてくるのです。
全体の抜ける本数と生える本数が同じであれば髪の量は変わらないのですが、抜ける本数が増えていくことによって徐々に薄毛が進行していきます。
とはいえ、抜ける本数が1.2倍の120本になっても全体0.02%の影響しかなく、数日では変化に気が付く事は難しいでしょう。
ですがAGAを発症すれば、自然に抜け毛が改善することはありませんから、毎日毛が少しずつ減っていき、最終的には薄毛に。
仮に5%の毛がなくなった場合、5000本の毛が失われているわけですから、それを元通りにするのはいかに大変かわかっていただけると思います。
AGAが発症する理由
AGAを発症する理由はDHT(ジヒドロテストステロン)による毛周期の乱れが原因です。
AGA は遺伝的背景および男性ホルモンによって主に男性に生ずる.男性ホルモンは,筋肉や骨を発達させ,髭や体毛を濃くするが,
男性型脱毛症治療薬の研究動向 https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/133/2/133_2_73/_pdf/-char/ja
頭頂部や前頭部においては男性ホルモン感受性毛包が局在し,男性ホルモンの影響によって,直径 40μm 以下の軟毛(うぶ毛)化を呈する.特に testosterone(TES)の活性体であるdihydrotestosterone(DHT)が男性型脱毛症の発症に大きく関与している。
テストステロンは男性ホルモンですが、DHT(ジヒドロテストステロン)はさらに強い男性ホルモンだと思ってください。
生え際が後退する場合も頭頂部が薄くなる場合も、根本的にはDHT(ジヒドロテストステロン)が原因です。
DHTは「テストステロン」と「5αリダクターゼ」が結合して生まれ、男性ホルモンの受容体である「アンドロゲンレセプター」がこのDHTを受け取ることによりAGAが発症します。
薄毛(AGA)は遺伝するのか?
ようやく冒頭のテーマ「薄毛(AGA)は遺伝するのか?」ということですが、冒頭でお伝えしたように薄毛が遺伝する可能性は大きくあります。
具体的には
- 5αリダクターゼの量
- アンドロゲンレセプターの反応率
などを引き継ぐことにより、親子に渡り薄毛に。
しかし、絶対ではありません。大きな親の子供は背が高いとか、二重の親の子供は二重、という可能性は大きいですが、絶対そうなるというわけではありませんよね?
身長がそこまで大きくない親から将180cm近い子供が生まれる可能性はゼロではありませんし、二重の親から一重の子供が生まれる可能性もあります。
AGAも遺伝する可能性は高いですが、絶対ではありません。
遺伝にはいくつかの伝わり方がありますが、今回はAGAに関係している優性遺伝と隔世遺伝について詳しく説明したいと思います。
優勢遺伝(5αリダクターゼ活性度)
遺伝子のうち、相手方よりも特徴がでやすい遺伝子があれば、それは優性遺伝子と呼ばれています。特徴が出にくい遺伝子が劣性遺伝子です。
遺伝子医療センターゲノム診療科:遺伝の詳細 http://www.twmu.ac.jp/IMG/about-gene/details-gene.html
5αリダクターゼは優勢遺伝子ですので、5αリダクターゼの活性遺伝子を持っている場合ほとんどの確率でその情報を引き継ぎます。
どういうことか、同じ優勢遺伝子である二重を用いて説明します。
例えば、二重の父と一重の母が。この時二重の父は二重の遺伝子しか持たないAAであり、一重の母は一重の遺伝子しか持たないaaだとします。
二重父 (AA)と一重母(aa)が子供を4人授かったとすると、子供は全てAaになりそのうち7割の確率で二重になると言われています。
「二重と一重の遺伝子が入るんだから、確率は半々じゃないの?」と思うかもしれません。
これが優勢遺伝ということで、二重という遺伝子の方が強いため、aという一重の遺伝子を持っていたとしても見た目として現れるのは多くの場合がAという二重の遺伝子なのです。
では、二重に見えるが一重の遺伝子も持つ、Aa同士が結婚するとどうなるでしょう?
もう一度図をお見せします。
Aa同士が結婚した場合は、以下の3つの可能性があり得ます。
- AA(95%二重)
- Aa(70%二重)
- aa(5%二重)
親がAaという遺伝子を持っていて両方とも二重にもかかわらず、子供がaaとなり一重となる可能性がある、ということ。
5αリダクターゼは優勢遺伝子なので、親から薄毛の遺伝を引き継ぐ可能性が高いです。
しかし、運が良くAa同士もしくは母親がaaであれば、活性度の高い5αリダクターゼの情報を持っていたとしても、それを引き継がない可能性もあります。
隔世遺伝(アンドロゲンレセプターの感受性)
もう一方のAGAの要因であるアンドロゲンレセプターの感受性。こちらに関しては隔世遺伝すると考えられています。
隔世遺伝というと、おじいちゃん・おばあちゃんの世代つまり、親を飛ばした一つ上の世代から遺伝するというイメージを持たれる方が多いのですが、正確には数世代前であっても遺伝子を受け継ぐ可能性が。
ちなみに、アンドロゲンレセプターに関しては母方の家系から遺伝することが多いです。
家族の見た目からAGAの可能性を判断するのは難しい
優勢遺伝であっても、隔世遺伝であっても、家族を確認しただけでは、AGAの可能性があることはわかっても、AGAの可能性がないことは見た目では判断できません。
というのも、前の項目で伝えたように、AGAである人は見た目でわかっても、AGAの遺伝子を持っているのに薄毛でない人がいるためです。
特に、肉体の遺伝情報は母方から強く影響を受けるため、母が薄毛でなくても、母方の祖父が薄毛の場合は自分も薄毛の遺伝子を持つ可能性が高いといえます。
AGA遺伝子検査のすすめ
そこでお勧めしたいのがAGA遺伝子検査。
遺伝子を検査することにより、現在AGAを発症していなくても、将来的なAGAの発症リスクを把握することができ、薄毛の要因を把握することにより、その方にに合った薄毛治療も提案することができます。
将来の予防という意味でも、薄毛が怖い方は事前に受けておくと良いでしょう。
具体的な検査方法
クリニックでのAGA遺伝子検査方法は血液による診断が一般的ですが、そのほかにも粘膜や髪の毛を利用する場合もあります。
最近では、ネットでの診断キットもでており髪の毛を数本送るだけで診断してくれるものもあります。
検査基準
現在国内で行われている多くの検査は、アンドロゲンレセプターの感受性を判断するもので、遺伝子配列の「CAG」と「GGC」という塩基配列がどれくらい繰り返されているかを調べるというものです。
この「CAG」と「GGC」の回数が少なければAGAの可能性(将来的になる可能性)が、回数が少なければAGAにかかるリスクが少ないと言われています。
検査の費用
検査キットは5000円ぐらいからネットでありますが、その検査結果が正しいか?またその検査結果に対して適切な治療を個人ができるのか?という疑問があるためあまりお勧めしておりません。
やはり、できるならクリニックでの検査がおすすめ。AGA遺伝子検査は、保険適用外の自由診療ですのでクリニックによって料金の差がありますが、クリニックの相場は15,000円〜30,000円程度です。
簡単な検査なら無料でも
遺伝子検査ではありませんが、まず簡単な診察を受けたいという場合、以下のペルソナ育毛剤の診断ページもおすすめです。
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AGAは遺伝で決まるわけではない
ここまで長いことAGAの遺伝の可能性について述べてきましたが、AGAは遺伝だけで決まるわけではありません。
もちろん遺伝情報が大きな要因ではありますが、そのほかにも、ストレス・乱れた食生活・タバコ・お酒・運動不足・逃避トラブル・毛母細胞不活性といった様々な要因が挙げられます。
あなた自身の要因を理解し、その要因に対してアプローチするのが効果的なAGA対策です。
やっぱり、クリニックでの診察おすすめ
AGA遺伝子を検査することによってより効果的な治療を行うことが可能です。しかし、AGAが全て遺伝子によるものではありませんから、
遺伝子検査だけでなく、外的要因や頭皮環境のチェックをしてもらうためにもクリニックに行くことをおすすめします。
参考文献
1) アンドロゲン受容体遺伝子解析用フライマー技術分野の特許協力条約に基 づいて公開された国際出願
https://patentimages.storage.googleapis.com/f8/08/8d/216255b0ce2eac/WO2009154259A1.pdf
2) Active digestion of sperm mitochondrial DNA in single living sperm revealed by optical tweezers
https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.0506911103
3) 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf