男性型脱毛症

産後は抜け毛増えるのが当たり前 その理由と自分でできる対策方法

産後の脱毛症状
藤井 麻美

「産後は抜け毛が増えるって聞いたけど心配、、、」

「子供を産んでから明らかに抜け毛が増えた」

こんなお悩みを抱えているママさんがたくさんいらっしゃいます。

子供を産むだけでも命懸けなのに、その後も抜け毛で悩むなんて嫌ですよね。でも産後に抜け毛が増えるのはある意味当然な現象なんです。

では、抜け毛が増える方とそうでない方の違いは何でしょうか?

今回は、

  • 産後に抜け毛が増えるメカニズム
  • その対策方法

などを紹介していきたいと思います。

産後脱毛とはどんな現象?

出産後に抜け毛が生えるのは一般的な現象であり、この現象には「出産後脱毛症」や「分娩後脱毛症」などと呼ばれています。出産した女性の大半が経験する症状です。

抜け毛の量

出産後脱毛症で抜ける量は、人によって異なりますが大量に抜ける方もいらっしゃいます。

手クシで髪を整えようとしただけで髪の毛がぬけたり、枕元に大量の髪が抜けていたり、人によっては部分的に髪の毛がなくなる円形脱毛症を併発する方も。

枕元の抜け毛

しかし、産後脱毛は男性のAGAと異なり一時的な脱毛症状であることが多く、時間と共に症状が改善していきます。

症状の期間

発症時期は産後2~4ヶ月後からはじまることが多く、前髪あたりから脱毛が始まり全体に広がり、人によっては体毛が減少する方も。

そして早い方は2ヶ月で症状が落ち着き、大半の方が6ヶ月~1年で症状がおさまります

抜け毛が多いと不安になると思いますが、産後抜け毛は少し時間をかけて回復。多少の抜け毛増加は正常な反応です。妊娠前と比べて明らかに毛量が減っているわけでなければ経過を見守っても良いでしょう。

ただし中には出産後脱毛症が治らず薄毛の状態が続く方もいらっしゃるので、明らかに異常な量が抜ける場合はすぐに医療機関で診察を受けてください。

産後に抜け毛が増える理由

出産後脱毛症を引き起こす主な理由は、妊娠から出産による女性ホルモンの変化よる影響だとされています。

女性ホルモンの増減

そもそも薄毛は男性に多く女性に少ない疾患です。その理由は「女性ホルモン」。

女性ホルモンには発毛効果があるため、女性ホルモンの多い女性は薄毛になりにくいのです。ですがその女性ホルモンが減るライフイベントもいくつかあります。その1つが「出産」。

妊娠中の女性は女性ホルモンが通常の100倍近くに増えます。そのため妊娠中は髪の毛が抜けにくい他、中には体毛が濃くなったと感じる人も。しかし、出産が終わると通常時の量に戻ります。

100倍になった女性ホルモンが1倍になるので、通常に戻ると言っても100分の1に激減するわけです。

この急激に女性ホルモンが減少するタイミングで抜け毛が増えることがあります。

本来髪の毛は、生えて→伸びて→抜けて→休む というサイクルを繰り返し成長。このサイクルのことをヘアサイクルもしくは毛周期と言い、それぞれの期間のことを

毛周期とヘアサイクルの説明
  • 生えて伸びる期間を「成長期」
  • 抜ける期間を「退行期」
  • 休む期間を「休止期」

と呼びます。

女性ホルモンの増加により、成長期が長くなり増えた毛髪が本来のヘアサイクルに戻り、本来抜けているはずの髪の毛が抜けるのである意味正常な反応です。

頭皮環境の変化

ホルモンバランスが乱れることによって、体にはさまざまな影響が出ることがあります。

体の反応で頭皮が必要以上に皮脂を出したりすることによって、頭皮環境が悪化し間接的に抜け毛が増えることも。

子育てストレス

出産後は、夜泣きで睡眠時間を確保できなかったり、慣れない育児が始まります。

子育てで寝不足

女性ホルモンの減少と合わせて、精神的に不安定になりストレスから抜け毛が増える方も。

産後ダイエット

妊娠中は栄養を蓄え、運動できなくなるため太りやすいですが、出産後に早く元の体型に戻りたいと急激なダイエットを行う方がいます。

ダイエット

必要な栄養素が足りなくなると、肌のターンオーバーや毛髪の成長に悪い影響が。

毛髪は毛母細胞(もうぼさいぼう)は毛細血管から栄養を受け取ることによって活動していますが、当然栄養が少なければ毛母細胞活動は少なくなります。

毛髪の部位の名称

その結果髪質が悪化したり、髪の毛は途中で成長をやめ抜け毛が多くなることがあるのです。

実は出産後脱毛症とは違う理由の可能性も

現在産後の脱毛症状に悩んでいる方は、産後というタイミングが合っているだけで、違う理由での脱毛の可能性も。

脱毛症状は病気の症状として引き起こされるものもあり、膠原病・鉄欠乏性貧血・びまん性脱毛症など、さまざまな理由が考えられます。

産後のある程度の脱毛は経過観察しても良いと思いますが、明らかに異常な量の脱毛がある場合(もしくは軽度でも気になる場合)は医療機関での診察を。

出産後脱毛症時の自宅でできる対策

産後に抜け毛が増えた際に、ご自身でできることにはどのようなことがあるか紹介します。

睡眠時間の確保

一番気をつけて欲しいのが睡眠時間の確保です。

どうしても生まれたばかりの子供は目も離せない上に、夜泣きも多くママは十分な睡眠時間を取ることができません。睡眠が取れずにふらふらのまま過ごしているママは多いことでしょう。

しかし、睡眠が少ないと髪の毛に必要な成長ホルモンが十分に分泌されない上に、ストレスや疲労も溜まっていきます。

髪だけでなく健康のためにできるだけしっかりまとまった睡眠を摂るようにしてください。

育児のストレスを溜め込まない

子育ては理不尽の連続。

育児を協力してくれないパパの場合、ママさんに負担が集中してストレスが増してしまいます。

夜泣き ワンオペ育児

家族の協力・理解を得て負担やストレスを溜めないようにしましょう。

頭皮環境を清潔に保つ

急激な体の変化で、使っているシャンプーが合わないと感じる方もいらっしゃいます。

皮脂が増える方は少ないようですがフケの量が増えたと感じる方は多いようです。フケの量が増えるのは頭皮が乾燥しすぎるためですので、洗浄力が少し弱いシャンプーをお試ししてみてください。

気にしすぎない

もともと出産後脱毛症は多かれ少なかれあるものです。多少抜け毛が増えるのは受け入れて、半年から1年は気にせず過ごしてみるのも良いと思います。

ただし、あまりにも抜け毛の量が多い場合は早い段階で医療機関に行った方が治療方法を選べることが多いので、気になるなら少量の抜け毛であっても一度医療機関に行くとよいでしょう。

何もなくても、先生に診察してもらい「気にしなくてよいです」「経過を見ましょう」と言われるだけで少し気が楽になるもの。精神的なストレスも軽減できるという意味でも効果があります。

まとめ

出産後脱毛症については、出産後のホルモンバランスの変化から大半の女性に訪れる脱毛症状で、1年以内に症状が落ち着くので気にしすぎないで大丈夫です。

また、産後は体に変化が起こりやすいタイミングですのでシャンプーを低刺激なものを試すなどしてもよいでしょう。

しかし、その症状が酷すぎる場合・気になる場合は不安を解消する意味でも、放置せずに医療機関にて診察を受けることをおすすめします。

参考文献

1) 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

2) 日本化粧品技術者会
https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/1018

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