あなたの抜け毛は大きな病気の前兆かも|脱毛を伴う病気一覧
加齢とともに増える抜け毛、ただの脱毛ではなくもしかすると大きな病気の前兆かもしれません。
少し怖い言い方をしましたが、おそらくこの記事をご覧になられている方は「もしかして何か悪い病気かもしれない」という不安をお持ちではないでしょうか?
確かにほとんどの場合、抜け毛はAGAなどの脱毛症によるものですが、時に大きな病気のサインであることも。
今回は髪の毛が抜ける可能性のある病気を紹介していきます。
※可能性のある病気を紹介しますが個人での正確な判断は困難です、抜け毛が気になる場合は必ず医療機関での診察を受けてください。
1日正常な抜け毛の数
そもそも髪の毛は生えて抜けてを繰り返していますので、ある程度の脱毛は問題ありません。
具体的には成人の1日に抜ける髪の毛の数は100~150本。結構多く感じますが人の毛髪は10万本ありますので1日単位で考えれば0.1%、そこまで大きい数字ではありませんね。
そして生えてくる数も毎日100~150本ですので、この程度の本数であれば毎日抜けてもその分生え変わり毛量の変化ないということです。
髪の毛が一番抜けるタイミング
髪の毛は毎時間平均的に抜けているわけではありません。
特に髪の毛が抜けるのがシャンプー時。
髪の毛を擦るシャンプー時は特に髪の毛が抜けやすく1日の抜け毛の4割はこのタイミングだと言われています。
ですので排水溝の掃除をしたときに「こんなに抜け毛が、、、」と不安になるかもしれませんが、特別多くなければそこまで心配にならなくても大丈夫です。
脱毛症一覧
ここから髪の毛が抜ける病気を紹介していきます。
この項目で紹介するのは脱毛症ですが、つぎの項目では脱毛を伴う可能性のある病気です。
AGA(男性型脱毛症)
AGAとは主に男性がなる最もメジャーな脱毛疾患。抜け毛は前頭部と頭頂部のどちらか又は両方から進行。
AGAはDHT(ジヒドロテストステロン)による毛周期の乱れが原因で発症し、加齢とともに発症率が上がります。しかし若く発症することも少ないわけではなく、20代でも10人に1人がAGAであるというデータも。
発症の原因は、ほとんどが遺伝によるものですが、飲み薬を使って簡単に治療を始めることができますので日々の抜け毛が気になってきた方はまずクリニックで診断をうけるとよいでしょう 。
円形脱毛症
円形脱毛症は、頭皮に脱毛斑が現れる疾患。一般的には頭皮に1箇所だけできるイメージが強いかもしれませんが、複数箇所できたり頭部全体に広がる円形脱毛症もあります。
実は円形脱毛症が起こる原因は解明されていません。
なぜ発症するのか心当たりがなく気がついたら発症し、一気に髪の毛が抜けるため予防をすることが難しく、不安になりやすい疾患です。
体調に大きな問題がないのに急激に髪の毛が抜けた場合は円形脱毛症である可能性が高いのではないかと思います。
その他の特徴としては、
- 思春期や小学生でも発症することがある
- 明確な治療方法がない
- 7割が1年以内に自然に治る
というものがあります。
粃糠(ひこう)性脱毛症
粃糠性脱毛症とは、頭全体に細かいフケが出て脱毛が起こる疾患。
粃糠性脱毛症が起こる原因は頭皮に起こる炎症です。炎症が生じた頭皮からは大量のフケが生じフケが毛穴を塞ぎ毛髪の成長を阻害。
初めのうちは抜け毛が増えるというより、毛髪の成長が悪いため細い髪の毛が多くなり、全体のボリュームが減少。そしてこの状態を放置すると徐々に抜け毛が増加。
炎症を起こす理由はさまざまな要因が考えられますが、ストレス・アレルギー・そもそも頭皮を清潔にできていないななどさまざまなことが考えられます。
治療方法は頭皮環境改善と炎症治療です。
頭皮環境の改善は正しいシャンプーや日常生活など行い、頭皮の炎症はステロイドや皮脂の分泌を抑える外用薬を使うのが一般的。
脂漏(しろう)性脱毛症
脂漏性脱毛症は、脂漏性皮膚炎により起こる脱毛疾患。
文字通り、過剰の皮脂の分泌により頭皮がベタつき頭皮が炎症する疾患で、脱毛までのアプローチは異なりますが粃糠(ひこう)性脱毛症と似たような症状を引き起こします。
脂漏性皮膚炎には真菌というカビが関係。
カビと言っても体には普段から常在菌という菌がありますので、真菌があることは問題ではありませんが、フケや皮脂を食べて増えることによって炎症に。
皮脂の過剰分泌は生活習慣によるものが大きく、脂っこいものを多く摂取する方は注意が必要です。また頭皮の痒みや脂が気になるからと言ってシャンプーを繰り返しすぎると余計に皮脂を分泌してしまいます。
カビが原因で脂漏性脱毛症を発症している場合、頭皮環境の改善とともにステロイドを利用した治療を。
このあたりも先ほど紹介した粃糠性脱毛症と似ていますね。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症は頭部全体の髪の毛が薄くなる疾患。
AGAは前頭部や頭頂部を中心として薄くなっていくので他の部位と比較して薄毛の進行に気がつくことがありますが、びまん性脱毛症は全体的にボリューム減ってゆくためなかなか気が付きにくい脱毛症です。
びまん性脱毛症が発症する理由は、ホルモンバランスの変化や栄養不足などによると言われており、AGAと違い女性でも発症することがあります。
- 髪が全体的に細くなった
- 髪の弾力(ボリューム)がなくなった
というのが当てはまる場合、びまん性脱毛症の可能性も。
びまん性脱毛症の治療はまず発毛効果のあるミノキシジルを直接塗布または服用するなどして治療を行います。
産後脱毛症
産後脱毛症とは、言葉の通り子供を出産した後に起こる疾患。
産後忙しく余裕のないタイミングで髪の毛が抜けてくると不安になる方は多いかもしれませんが、実は出産後に抜け毛が生えるのは一般的な現象です。
そもそも女性は男性と比べれば髪の毛が多い方が多いですよね?これは女性ホルモンに発毛効果があるので、女性ホルモンの多い女性は薄毛になりにくいんです。
しかし女性にも女性ホルモンが増減するタイミングがあります。その一つが妊娠。
女性は妊娠中に女性ホルモンが通常の100倍近くに増え、そして出産後その女性ホルモンは通常時の量に戻ります。
通常の量に戻ると言っても100分の1になるわけですから、女性ホルモンの減少とともに髪の毛がそれまでよりも多く抜けていきます。
しかし前述したようにこれはあくまで毛量が元に戻っていくだけですので、あまり気にする必要はありません。
多くの方は、産後2~4ヶ月で産後脱毛が始まり6~12ヶ月ほどで脱毛が治っていきます。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症は、髪の毛が引っ張られたり、頭皮が圧迫されることにより毛根にダメージが蓄積し髪の毛が抜けていく症状のこと。
今まで紹介した脱毛症と異なるのは、ホルモンの影響や皮脂といった体の内部からくる影響ではなく、引っ張られる圧迫されるという外的な要因によって起こるという点。
そのため頭皮に負担のかかる髪型やキツイ帽子の着用を控えるといった簡単な方法で症状の改善が見込めます。
脱毛症以外の髪の毛が抜ける有名な病気
さて、先ほどまでは脱毛症による抜け毛を説明させていただきました。
確かに脱毛症によって髪の毛が抜け落ちるのは非常に怖いことですが、脱毛症状が実は他の病気の影響ということもあるかもしれません。
ここからは抜け毛を伴う病気の一部を紹介。
※ここで紹介する以外にも、抜け毛を伴う病気の可能性はあります。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血とは、鉄分が欠乏することによっておこる貧血のこと。
血液を通って十分な酸素が供給されないため倦怠感・動悸・めまいなどの症状を引き起こす疾患で、発症は女性に多いです。
発症の原因はダイエット、出産、授乳、月経、鉄分の少ない食事などですが、他の病気による出血で血液が足りなくなり貧血症状が起こることがあります。
髪の毛は血液から栄養をつかって成長しますので、血液が少なくなったり血液中の栄養が減ると髪の毛の成長が阻害され抜け毛が多くなるというわけです。
鉄欠乏症貧血の治療は普段の食事を改め、鉄剤という鉄分の含まれる錠剤を服用することによって改善を目指します。
発症が多い年齢・性別 | 女性に多い |
脱毛以外の主な症状 | 倦怠感・動悸・めまい |
甲状腺の疾患
甲状腺疾患とは、甲状腺の働きが低下し甲状腺ホルモン減少することによってさまざまな症状を引き起こす疾患。
甲状腺ホルモンの主な働きは基礎代謝の調節や新陳代謝、細胞の活性化ですのでこのホルモンが分泌されなければ細胞がうまく作れなくなります。
細胞が作れなくなると言っても体の中には「細胞を作らなくてもよい、優先順位」のようなものがあり、髪の毛は生命活動に対する優先順位が低く判断されるため、脱毛症状が起こることがあるというわけです。
甲状腺機能の低下は加齢によって起こることが多く、女性の発症割合が少し高いですが男女ともに発症。AGAとは異なり、側頭部や後頭部も薄毛になります。側頭部の薄毛が気になるようであれば甲状腺疾患の可能性があります。
発症が多い年齢・性別 | 20~50代・女性に多い |
脱毛以外の主な症状 | 疲労感・微熱・甲状腺腫大・不眠症・無気力・食欲減退・貧血 |
膠原病(こうげんびょう)
膠原病は血管や皮膚、筋肉、関節などが炎症する疾患。脱毛以外には原因不明の発熱関節痛などの症状が起こります。
男女どちらかといえば女性に多い疾患で、脱毛は局所的であったり全体のボリュームダウンであったりとさまざま。
治療は一般的にステロイド治療と呼ばれているもので、症状に応じて使用量と使用方法を調整します。
発症が多い年齢・性別 | 20~50代・女性に多い |
脱毛以外の主な症状 | 血管、皮膚、筋肉、関節の炎症・発熱 |
梅毒
梅毒は粘膜の接触によってうつる感染病。感染後は経過とともにさまざまな症状が出ます。
感染初期には感染がおきた部位にしこりができたり、鼠蹊部(股あたり)のリンパ節が腫れますが、治療をしなくても症状がなくなることがあります。しかし体内から病原菌がなくなったわけではなく、放置すると病気は進行。
そして感染から数ヶ月すると、病原菌が全身に広がり手足にうっすらと赤い湿疹が出ます。この発疹はあまり痒みを伴わないうえに、放っておくと消えることもあるため放置してしまう方もいるかもしれません。
この湿疹が頭皮に広がった場合、頭皮の一部もしくは全体的に脱毛が起こります。
今回は脱毛に関することなので深く説明しませんが、無症状になった状態でも放置すると梅毒が進行し臓器に障害がおきるなど、最悪の場合は死に至るのでしっかり治療を行ってください。
梅毒は治療せずに放置すると重大な合併症を起こすことがありますが、早期の治療を行えば完治する疾患です。
症状が進行する上で一時的に無症状のようになることがありますが決して自然治癒したわけではないので完治するまで医療機関での治療を続けましょう。
発症が多い年齢・性別 | 20代以降 性別を問わず発症 |
脱毛以外の主な症状 | 潰瘍・発熱・腫れ・湿疹・脱毛・臓器へ障害 |
まとめ
今回は脱毛症の種類とその他に脱毛を伴う病気の一部を紹介させていただきました。とはいえ、一般の方が脱毛から自分の病気を特定するのは非常に難しいことです。
脱毛症状を感じた際には
- 医療機関に行く
- 自分でできる対処をする
- 放置する
の3択になると思いますが、私は断然医療機関にかかることをお勧めします。
脱毛症もしくは脱毛症を伴う疾患いづれの場合も放置しても症状が改善することはほとんどないからです。中には放置していたら症状が治ったように感じるものもありますが、「治った」という判断が正しいとは限りません。
脱毛症状に限ったことではありませんが、不調を感じた場合は自分で判断せず必ず医療機関に行くようにしてください。
参考文献
1) 梅毒に関するQ&A|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/qanda2.html
2) 日本皮膚科学会ガイドライン 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
3) 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2010
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913324_2.pdf