抜け毛対策はシャンプーでできるの?毛穴まで清潔にする方法教えます
「最近排水溝に落ちる髪の毛が気になる、、、」
そんなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。実際、抜け毛が気になるタイミングの多いのが洗髪時(シャンプー)です。
最近は、いかにも「髪の毛が生えてきますよ」というようなシャンプーのテレビCMが多いですが、本当に生えてくるのでしょうか?
今回は
- 抜け毛を減らす正しいシャンプーの仕方
- シャンプーの種類で抜け毛は改善するか?
についてお答えしていこうと思います。
シャンプーは最も髪の毛が抜ける行為
正常な成人の「1日に抜ける髪の毛の本数」はどのくらいだと思いますか?
実は平均1日100本もの髪の毛が抜けているんです。
しかし、人は平均10万本の髪があり、正常なヘアサイクル(毛周期)であれば毎日新しい髪が100本生えてきます。ですので、抜ける本数と生える本数が釣り合うため、薄毛は進行しません。
結構な数が抜けているな、という印象を持つ方も多いと思いますが、髪の毛は新陳代謝により、成長し、生え変わるため髪の毛が抜けること自体は自然なことなのです。
では、その100本は平均的に毎時間抜けているかというとそんなわけもなく、大半は特定のタイミングで抜けます。それが洗髪時(シャンプー)。
髪の毛を直接擦る洗髪時は髪の毛が抜けやすく、1日抜け毛の4割はこのタイミングで抜けると言われています。
排水溝の髪の量で脱毛症状を把握できるか?
気になるのが、今の抜け毛の本数は一般的な抜け毛の本数なのか、それとも脱毛症状による抜け毛の本数なのかということですよね。これを排水溝の髪の量で判断することはできるでしょうか?
個人的な見解としては、判断するのは難しいと思います。
私も患者様から「シャンプーしていると抜け毛が気になる」という声をいただいて「シャンプー時の抜け毛が40本程度なら問題ありませんよ」と答えたものの、ではそれをどうやって数えるの?という話になるのです。
シャンプー前に排水ネットを変えてシャンプー後に数えることによって、把握することはできると思いますが、現実的にいちいち数えるのは困難。
シャンプーで期待できる薄毛の予防の理由
この記事を見にきた方は「シャンプーの仕方や種類によって薄毛は予防できるか?」という疑問をお持ちだと思います。
結論としては、シャンプーで薄毛(AGA)になってしまった状態を治すことは難しいですが、頭皮環境改善により抜け毛を減らすことはできます。
頭皮から生える髪の毛は、いわば畑と作物のような関係。いくら栄養を与えても畑の土質がダメだったらなかなか作物は育ちませんよね。
特に気をつけないといけないのは、毛穴の汚れ。皮脂が溜まった毛穴は毛根に十分な栄養や酸素が行き届かなくなるため、抜け毛の原因に。
シャンプーを頑張ったからといって、発毛効果はありませんが、抜け毛の量を減らす効果は多少あると思います。
「なんだ多少か」と油断しないでください。毎日数本の差であっても、10年20年経てば大きな差です。
次の項目で正しいシャンプーの仕方をお伝えするので、ぜひ習慣として今日から毎日続けてみてください。
正しいシャンプーの仕方
「シャンプーをすることによって髪の毛が抜けるなら、あまりゴシゴシしないほうがいいの?」と思いますよね。
ごしごししなければ良いというわけではなく、抜けかけている髪の毛であればシャンプーで抜けても問題はありません。
シャンプーで大切なのは頭皮をいかに清潔にできるか、です。
抜け毛が増える場合どのようなものが原因であっても、その数を増減させるのが頭皮環境の清潔さ。
シャンプー前に湯洗い
シャンプー前に髪の毛を濡らすと思いますが、この時髪の毛を濡らすだけで終わりにしていませんか?
まずはお湯だけで髪を洗う「湯洗い」をしっかり行ってください。髪を濡らすだけでなく、しっかり頭皮まで。
1分以上かけてしっかり湯洗いを行い、その時点で大まかな皮脂や汚れを落とすことができるのが一番です。
シャンプーは泡立ててから髪に乗せる
シャンプーは薄めた状態で洗浄力が増すように作られています。原液を髪の毛につけているのは、汚れた食器に洗剤をそのままかけて洗っているようなもの。
これでは汚れが落ちないどころか、洗い流せないシャンプーまで頭皮に残ってしまいます。
髪の負担を減らすためには、一度シャンプーを泡立ててから使うようにしてください。
うまく泡立てられない場合は、洗顔ネットなどを使って泡立てるのが良いですが、手で水と合わせて軽く薄め、少し泡立てるぐらいでも十分かと思います。
重要なのは原液をそのまま髪の毛で泡立てないことです。
「髪の毛で泡立てるのはどうなの?」という声が聞こえてきそうですが、シャンプーを薄めずに髪の毛につけてゴシゴシしている時点で毛髪に良い行為とは言えないのであまりお勧めはできません。
シャンプーは指の腹で
シャンプーの目的はさまざまありますが、抜け毛に関して言えば「いかに頭皮を綺麗にできるか、」これだけといっても過言ではありません。
まず、髪の毛を洗うときは髪の毛ではなく、頭皮を触るようにし、指の腹でマッサージするように洗うのが正しいシャンプーの方法です。頭が痒いからといって間違っても爪で頭皮を掻くようには洗わないでください。
頭皮が痒い、という方はこの後で紹介する頭皮ブラシなどがオススメです。
しっかりとシャンプーを洗い流す
頭皮を綺麗にした後はしっかりとシャンプーを洗い流しましょう。
シャンプーのすすぎ残しは頭皮の汚れとなります。汚れがたまることによって髪の成長を阻害したり、抜け毛の原因なりますので、すすぎ残しがないようにしっかりと洗い流してください。
目安はシャンプーの約2倍の時間をかけてください。
できるだけすぐに髪を乾かす
最後はシャンプーが終わったら10分以内に髪を乾かすということ。
なぜ髪の毛をすぐに乾かすべきかというと、髪の毛を濡れたままにしておくと雑菌が繁殖してしまうからです。
例えば、生乾きの服はすごく臭いですよね。
服の中の水分が乾き切らず雑菌が繁殖することにより匂いを放っているのです。実は髪の毛も同じ。
さすがに服のように2時間も3時間も濡れっぱなしということはないと思いますが、それでも早く水分を乾かさないと雑菌が増え、かゆみやにおい、炎症を引き起こす可能性が。
頭皮の炎症が起こると抜け毛の原因になりえます。それよりも、頭が臭くなるのを防ぐためにも、できるだけ早めに髪は乾かすことを意識しましょう。
ちなみに、頭皮に限らず人体には常在菌と呼ばれる細菌がたくさんあるため、菌があること自体は悪いことではありません。
問題は必要のない雑菌が増えることです。
シャンプーの種類で抜け毛対策はできるか?
続いてはシャンプーの種類による育毛効果は期待できるか?ということについてお答えしていきます。
巷では、いかにも髪の毛が生えてきそうなシャンプーが多いですよね。
最近だと、霜降り明星の粗品さんがCMをやっている「ブラックウルフ」、ルー大柴さんがCMをやっている「チャップアップ」などを思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、テレビCMをしているシャンプーに発毛に関しての医学的根拠は認められていません。
チャップアップの成分を確認
私自身「ブラックウルフはダメだろう」と思っていたのですが「チャップアップは薬用成分が入っているのかなあ」と思っていました。
しかし、成分表を見てみると
チャップアップの主な成分:水、コカミドプロピルベタイン、ラウロイルメチルアラニンNa、コカミドメチルMEA、グリセリン、コカミドMEA、香料、ポリクオタニウム-6、PEG-32、PEG-6、ココイルグルタミン酸Na、トリイソステアリン酸PEG-120メチルグルコース、リンゴ酸ジイソステアリル、フェノキシエタノール、BG、トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、ポリクオタニウム-53、安息香酸Na、クエン酸、ペンテト酸5Na、エタノール、カンゾウ根エキス、オウレン根エキス、グリチルリチン酸2K、メチルグルセス-20、ラウリン酸ポリグリセリル-10、グルコシルルチン、グルコシルヘスペリジン、PPG-3カプリリルエーテル、ショウガ根茎エキス、セバシン酸ジエチル、グリシン、フィチン酸、酸化銀、PPG-7、クエン酸Na、塩化Na、ユキノシタエキス、ゴボウ根エキス、ウメ果実エキス、アルテア根エキス、トウキンセンカ花エキス、セイヨウサンザシ果実エキス、セージ葉エキス、カミツレ花エキス、ラベンダー花エキス、ローズマリー葉エキス、タチジャコウソウ花/葉エキス、サトザクラ花エキス、サガラメエキス、ドクダミエキス、レモン果実エキス、マタタビ果実エキス、γ-ドコサラクトン、キュウリ果実エキス、アスコルビン酸、リンゴ酸
シリコン:無
とのことで、ショウガエキスの2倍の発毛効果のある「ジンゲルシックス」が入ってるそうです。しかもこのジンゲルシックス商標登録されていました。
成分に対して商標登録はできないので、成分ではなく開発した商品名に対しての商標登録だと思います。
論文も探してみたのですが全く見つかりませんでした。
たぶんショウガエキスの発毛効果が0.00000001なので、ジンゲルシックスは2倍かか100倍の効果がある、ということなのでしょうか。
ただ、頭皮を清潔にしたり、髪の毛のコシを出す成分は入ってるらしいので、そういう効果はもしかすると若干ある、と言えるかもしれませんが、よくわかりません。
私の結論としては、頭皮が綺麗になればシャンプーはなんでもいいと思います。
そもそも薄毛対策に効果のある成分を洗い流すシャンプーに入れるのは無駄が多いので、効率はさほどないでしょう。
それなら、シャンプーの後に頭皮に使った方がいいですよね。
界面活性剤は薄毛に関係はある?
よく言われるのが「界面活性剤」が入っていないものの方が刺激が少なくて良い、という誤った認識です。
そもそも「界面活性剤」とは油と水になじむ性質を持った成分のこと。
髪の毛の汚れにはほこりや汗など水に溶ける水溶性の汚れだけでなく、皮脂や整髪料の水では落ちにくい油溶性の汚れがあり、この油溶性の汚れは界面活性剤を使うことにより効率的に汚れを落としてくれます。
ではなぜ界面活性剤が悪いもののように認識されているかというと、洗浄力がありすぎるため頭皮の脂を落としすぎてしまうこともあるからです。
しかし、99.9%のシャンプーには頭皮に影響を与えるほどの洗浄力はないので気にしないで大丈夫です。
シャンプーの時に使って欲しいアイテム
シャンプー自体にはあまり効果は見込めませんが、シャンプーの時にお勧めしたいアイテムはあります。
それがヘアブラシです。
指の腹であらっても少し頭皮がかゆい、というに人に非常におすすめです。ゴシゴシ洗っても、ブラシがそこまで硬くないので頭皮を傷つける心配なく、しっかり毛穴を洗浄してくれます。
いろいろ試したのですが、好みが出るアイテムなので、どれでもいいです。
100均一にあるブラシもそこまで悪いと感じなかったので、お試しで使ってみたい方は100均一のものから試してみても良いと思います。
湯シャンという間違った頭髪ケア
シャンプーというテーマで必ずあがってくる、シャンプーを使わずお湯だけで髪の毛を洗った方が良いという間違った考えです。
おそらく、頭皮の脂を落としすぎるとか、髪のキューティクルを傷つけないとかいった理由から湯シャンが流行ったのかだと思います。
ですが実際には頭皮は、しっかり洗ってください。
毎日5回シャンプーをしてる人がいたら良くありませんが、大半の人は1日1回、多くても夜と朝の2回ぐらいだと思います。
このくらいのペースであれば、頭皮を綺麗に保つ方が髪の毛に良いのでしっかり洗ってしまって問題はありません。
しいて言えば夜髪の毛を洗っている方は朝は湯シャンでも良いでしょう。ですが、1日の中で1回はしっかりシャンプーを使って、頭皮を清潔に保っていただければと思います。
日々の生活で行って欲しいお勧め薄毛対策
シャンプーでの抜け毛が気になっている方は、ぜひこの機会に生活習慣も見直してみましょう。
というのも、あくまでシャンプーの時に髪の毛が抜けているだけで、その原因はシャンプーではないことがほとんどだからです。
生活を見直すことにより結果的にシャンプー時を含めた1日の抜け毛を減らすことができます。
食生活を改善する
食生活に関しては簡単にいうと、油物やジャンクフードを減らして、タンパク質とビタミンを積極的に取れば大丈夫です。
詳しく説明しましょう。
油物やジャンクフードを控える
油分の多いものを摂取すると、皮脂の量が増え頭皮の毛穴に油が詰まりやすくなります。またジャンクフードなどは成分の多くが糖質に偏っており栄養不足によって毛母細胞の活動を減退。
タンパク質とビタミンを積極的に摂取する
髪の毛は80~90%がタンパク質でできているので、タンパク質の摂取が十分でない場合、髪の毛のハリ・コシがなくなってしまいます。
運動をあまりしない人であれば自分の体重1kgあたり1gのタンパク質摂取を心がけると良いでしょう。
例)
60kgの人 → 毎日60g摂取
45kgの人 → 毎日45g摂取
最近ではさまざまな種類のプロテインがコンビニでも売られていますので、足りないと思えばコンビニでプロテインドリンクを飲むなどしても大丈夫です。
また、ビタミンBは細胞分裂を活性化させ、髪の成長を促進する効果があります。肌のシミなどが気になる方は肌のターンオーバーも促すので積極的に摂取しましょう。
睡眠をしっかり取る
睡眠にはさまざまなメリットがあるのですが、大きなものは、
- 成長ホルモンを促す
- 心身のストレスの解消
の二つです。
髪の成長や新陳代謝は「成長ホルモン」によって行われます。この成長ホルモンの多くは睡眠中に分泌され、睡眠後3時間ほどで分泌が開始。
睡眠が不足すると、成長ホルモンも分泌量が減るため、発毛が促されないなどの弊害が起こってしまいます。
そして睡眠にはストレスを改善する効果も。
ストレスが溜まると自律神経のバランスが崩れ、髪の毛の成長に悪影響を与えるとされており、さらに過度なストレスは円形脱毛症などの脱毛症状も引き起こす可能性があります。
あとは、極力ストレスを溜めないような生活をしてください。
恋愛、仕事、運動、食事などいろいろありますが、1日7時間寝るとかなりストレスが解消するので、とりあえず寝るのはお勧めです。
シャンプーだけではどうにもならないことも
残念ながら、抜け毛や将来の薄毛の可能性はシャンプーだけではどうにもならないかもしれません。
というのも、AGA(男性型脱毛症)の理由はホルモンの影響であり、その大半が遺伝で決まるからです。
しっかりした洗髪に効果がないとは言いませんが、本気で抜け毛・薄毛を改善したいならクリニックに行くのがお勧めです。
AGAは治療すれば改善する可能性の高い病気です。検診や遺伝検査で現在の頭皮環境や将来的な薄毛のリスクも調べられますし、医学的に根拠があり効果のある成分を使ったAGAの薬を提供してくれます。
まずはお近くのクリニックへ行って診察を受けてみてください。
参照文献
1) 男性における男性型脱毛症用薬5α-還元酵素II型阻害薬フィナステリド(プロペシア®錠0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/127/6/127_6_495/_article/-char/ja/
2) 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf