ストレスは本当に薄毛の原因？実は医学的にかなり難しい話なんです
藤井 麻美
あさ美皮フ科亀戸駅前
AGA治療の効果はいつから？期間と経過を解説
藤井 麻美
AGAは、成人男性にみられる男性ホルモンの一種であるDHT（ジヒドロテストステロン）の影響を強く受け、頭頂部や生え際の毛が薄くなる症状です。
DHTは、テストステロンが5-α還元酵素タイプIIによって変換されることで生産されます。
この変換を阻害するために、フィナステリド（プロペシア®）やミノキシジルのような治療薬がAGAクリニックで推奨されています。
この記事では、このようなAGA治療の効果はいつから実感できるのか、治療の期間や経過を詳しく解説しました。
AGA治療は万能ではなく副作用が出る可能性もあるため、治療を受ける前にリスクに対する十分な理解が重要です。
クリニックで治療を開始する前にはぜひ最低限の知識をもっていただき、後悔のないAGA治療につなげてください。
AGA治療の効果はいつから実感できる？
AGA治療をしたいと考えている人にとって、その効果がいつ、どのように現れるかはとても気になりますよね。
必要以上の不安に苛まれることのないように、AGA治療の効果が実感できるまでにはどれくらいの期間が必要なのかを理解して治療に臨むことをおすすめします。
半年がひとつのポイント
AGA治療の効果が現れるまで期間は、治療方法によって大きく異なります。
しかし、多くの場合は治療を始めてから6ヶ月前後で大きな改善が見られると言われており、このことは、いくつかの研究でも明らかにされています1)。
米国で実施されたある研究では、ほとんどの男性が治療開始から約6ヵ月後に抜け毛が顕著に減少し、毛髪密度が増加したと報告されています2)。
また、カナダで実施された別の研究でも同様の結果が得られています3)。
AGA治療の効果実感までの期間と経過（一般的なもの）
AGA治療開始後から、効果実感までの平均的な期間を表にまとめました。
| 治療内容 | 抜け毛を止める | 顕著な発毛 |
|---|---|---|
| ミノキシジル | 3-6カ月 | 6カ月～1年 |
| フィナステリド | 3-4カ月 | 6カ月～1年 |
一般的に若い患者さんの方がAGA治療に対する反応が良く、治療開始が早ければ早いほど、治療効果は実感しやすくなります。
どうしてそんなに時間がかかるの？
治療を開始してから、効果を実感できるまで半年。なぜこんなに時間がかかるのでしょうか？それにはまずは毛の周期、ヘアサイクルについて知っておきましょう。
毛が成長する過程には、成長期、移行期、休止期という段階があり、それぞれが順番に進行します。
つまり、ヘアサイクルが1周してやっと新しい毛が生えてくる、発毛効果がみえてくる、というわけです。
AGAになると、ヘアサイクルの成長期が短くなる一方で休止期が長くなります。これが髪の薄さや抜けやすさの原因です。
AGA治療は、成長期間を長くし、休止期間を短くすることで、この状態を改善しようとするものです4)。
治療開始後は「初期脱毛」が起こる
AGA治療を始めたばかりのころは、細く弱い毛が抜けてくる「初期脱毛」が起こる場合があります。
そのあと、数か月で新しく太い毛が生えてくるのですが、一見、薄毛が進んで症状が悪化しているように見えるので、この時点で患者さんは驚いてしまうこともあります。
生え際への発毛効果よりも頭頂部に効果がある
AGA治療でよく使用されるミノキシジルは、生え際（前頭部）よりも頭頂部の頭皮に効果が出やすい傾向があります。
ただ、ミノキシジルが生え際に全く効果がないわけではなく、中程度の改善が見られた報告もあります13)。
フィナステリドの場合も同様に、生え際（前頭部領域）では頭頂部に比べて効果は低いものの、ある程度の脱毛の改善がみられた結果が出ています14)。
AGA治療の効果が実感できるまでの期間は個人差が大きい
AGA治療に対する反応には個人差が大きく、すぐに目覚ましい改善がみられる人もいれば、6ヶ月以上かかる人もいます。
AGA治療の効果にばらつきが出る要因
- 年齢
- 遺伝
- 薄毛の程度
- 生活習慣
- 治療に対する向き合い方（指示通りお薬を使用しているか等）
AGA治療成功には、患者さん自身が治療の経過をきちんと理解することもカギとなります。
治療を開始しても髪の毛がしっかりと生えてくるのには、時間がかかることを、ぜひ覚えておいてください。
AGAは治るのか？治療の期間は半永久？
医師の立場から医学的な見解として申し上げますと、残念ながら現在の医学でAGAを完全に治すことはできません、というのが結論です。
AGA治療で可能なのは、AGAの進行を止めたり、遅らせることです5)。
フィナステリド・ミノキシジルどちらも継続使用が必要
AGA治療薬として代表的なフィナステリド・ミノキシジルは、どちらも米国食品医薬品局（FDA）により承認されているお薬です6)。
| 効果 | 副作用 | |
|---|---|---|
| フィナステリド | 内服薬であるフィナステリドは、AGAの主な原因である体内のジヒドロテストステロン（DHT）の量を減らすことで効果を発揮します。 | 性欲減退、勃起不全、気分の変化など8) |
| ミノキシジル | ミノキシジルは、頭皮に直接塗って発毛を促す塗り薬です。これらの薬で効果を実感できるまで、おおよそ3～6ヵ月かかるとされています7)。 | 頭皮の炎症、まれに顔や手に不要な毛が生える8) |
フィナステリドもミノキシジルも、これらの効果を維持するためには、使用の継続が必要です。
AGA治療を中止すると得られていた効果が失われる
気になる治療期間ですが、これには終わりはありません。というのもAGAの薬は効果を維持するためにはずっと治療薬の使用を続けるのが原則だからです。
治療を中止すると、せっかく生えてきたり改善したりした毛も、数カ月以内に失われてしまう可能性が高くなります5)。
そもそもAGA治療とは？治療の限界はある？
GA治療で効果を実感できるまでにはおおよそ6カ月程度かかること、効果の持続には治療を継続する必要があることを解説してきました。
では、フィナステリドやミノキシジルといった標準的なAGA治療を受ければ薄毛・脱毛は必ず改善し、その状態が持続できるのでしょうか。
この答えは、残念ながらそうではありません。脱毛を食い止め、ある程度の発毛を促す効果のある方法ですが、標準的なAGA治療法の限界を理解しておくことが重要です。
また、植毛やレーザーなど他の治療法についても知っておきましょう。
AGAの原因
AGAの主な原因は、遺伝と男性ホルモンの組み合わせです。年を取るにしたがって、毛包は、男性ホルモン（テストステロン）の誘導体であるジヒドロテストステロン（DHT）に敏感になります。
DHTに長期間さらされると、毛包が萎縮して毛の寿命が短くなり、毛が細くなったり成長期が短くなったりし、AGAの薄毛が起こるのです。
AGA治療とは、一般的にはAGAの原因にアプローチする方法
フィナステリドとミノキシジルはアメリカのFDAが承認した、AGAの一般的な治療薬です。この2つの薬は、毛が抜けるのを予防し、発毛を促進する効果6)があると報告されています。
フィナステリドは飲み薬で、抜け毛の原因となる体内のジヒドロテストステロン（DHT）濃度を下げることで効果を発揮します。
ミノキシジルは塗り薬です。塗ると、その部分の血管が広がって、毛包により多くの栄養や酸素が行き渡るようになり、発毛が促進される7)と考えられています。
どちらの薬も誰にでも効くわけではなく、また、効果の程度も個人差が大きいです。顕著な効果が得られる人もいる一方で、抜け毛が遅くなるだけの人もいます。
AGA治療の限界
繰り返しになりますが、AGA治療は万能ではなく、その効果に限界があるのが事実です。残念ながら、すべての男性がフィナステリドやミノキシジルに反応するわけではありません。
また、反応があったとしても、全ての人が満足するような発毛があるわけではありません8)。
また、毛髪の成長サイクルは数か月単位で時間のかかるプロセスであり、目に見える改善には通常、数ヶ月の継続的な治療が必要です。
そして残念ながら、たとえ効果があった人でも治療をやめてしまうと、数か月程度で再度抜け毛が増えたり、発毛がみられなくなったりする可能性があります6)。
さらに付け加えると、これらの治療法はAGAの初期段階においては効果的であることが多いですが、薄毛が進行するにつれてその効果が弱くなっていく場合もあります5）。
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標準的なAGA治療で効果がない場合は植毛やレーザー照射を検討
フィナステリドやミノキシジルといった標準的な治療法で効果がない場合は、植毛手術やレーザー照射が検討されます。
また、ライフスタイルの改善、具体的にはストレスを避ける、毛の健康に有益なビタミンやミネラルを豊富に含むバランスのとれた食事を摂ることも大切です。
さらに、毛や頭皮にダメージを与えるヘアスタイルやヘアスタイリング剤の使用を避けることなどでAGAの進行を遅らせることができる可能性があります。
40代、50代からのAGA治療効果
AGAは、20代後半から30代前半に発症することが多いですが、40代から50代にかけて薄毛が進行し、そこから治療を考えるようになる人がほとんどです。
40代や50代になってもAGA治療効果があるのかどうかを知りたい人は多いでしょう。
これらの年代におけるAGA治療の効果は、発症してからの期間、薄毛の程度、頭皮の状態などの要因によって大きく異なりますが、いくつか具体例を示します。
フィナステリドの効力は年齢が上がるほど低下する
AGAの主な治療法の一つは、フィナステリドです。この薬は、AGAの主役である頭皮のジヒドロテストステロン（DHT）濃度を下げる作用があります。
41歳から50歳の男性を対象とした研究では、フィナステリドを1年間使用した後、約65％に発毛が見られた一方で、51歳から60歳の男性では、効果はやや減少し、約58％が発毛9)と報告があります。
つまり、フィナステリドはAGAに効果的な薬剤ですが、効力は年齢とともにわずかに低下する可能性があることを示しています。
治療開始は早ければ早いほど良いことが分かります。
ミノキシジルは40～50代男性で約60％の有効率
ミノキシジルは、FDAが承認したもう一つのAGA治療薬で、頭皮に直接使用する塗り薬です。
多くの男性において、ミノキシジルが脱毛の進行を止め、成長を促進することが研究で示されています。
特に40～50代の男性を対象とした研究では、毛髪の再生と太さの点で約60％の有効率が報告されています10）。
しかし、限界があり、特に薄毛の範囲が広い場合や、脱毛が長年にわたって長期化している場合は、その効果が期待できません。
その他の治療方法の40～50代男性への効果
植毛手術
植毛手術も選択肢の一つで、AGAの影響を受けていない部分から頭皮を採取し、薄毛の部位に移植する治療法です。
40代から50代の男性の場合、後頭部に良いドナー部位があれば、この方法は特に効果的であるとされています。
この治療を受けた人の満足度が高く、50代以降まで待つよりも40代で早期に介入した方が良い結果が得られたと報告している11）研究があります。
レーザー治療
レーザー治療もAGAの発毛促進を目的とした新しい治療法として注目されています。
レーザー治療により毛髪密度が増加することがわかっていますが、その効果には一定の限界があるとされています。
ある研究によると、40歳代の男性ではこの治療に対してかなり良好な反応がみられましたが、50歳代の男性では効果がわずかに減少した12）と報告があります。
これは、発症してからの期間の長さや、その他の加齢に関連した要因によるものと考えられています。
治療効果についての要点
AGAの治療は40代、50代の男性にも有効と言えますが、ある程度効果に限界がある人がいるのも事実です。
発症してからの期間の長さ、薄毛の程度、頭皮全体の健康状態などの要因が結果に影響します。
まとめ
AGAの治療を始めてから効果が現れるまでの時間は、治療方法や患者の体質、遺伝、薄毛の進行状態により異なりますが、多くの人が6か月程度で何らかの改善を感じると報告されています。
なかでも治療を早期に開始し、医師の指示された通りの用法、用量をきちんと守って治療を継続することで、よりよい結果を得られる可能性が高くなります。
また、AGA治療は途中で中止するとせっかく得られた効果も逆戻りになってしまうことがあるため、治療の継続が大切です。
Q&A（質疑応答集）
Q
一般的には、治療開始から6か月程度で効果が現れることが多いです。
Q
個人差はありますが、早い方で2〜3ヶ月で効果を感じることがあります。
Q
最初の数ヶ月は効果が出にくいことがあります。半年以上経っても全く効果が感じられない場合は、医師に相談してください。
Q
フィナステリドやミノキシジルなどの薬物治療、レーザーや植毛、PRP治療のほか、育毛トニックやシャンプーによる予防があります。
Q
個人差がありますが、薬物治療は比較的早く効果が出る傾向があります。
Q
治療を中断すると薄毛の進行が再開するため、継続的な治療が推奨されています。
Q
可能です。ただし、変更前に医師と相談することが重要です。
Q
はい、年齢や脱毛の進行度によって効果の出方は異なることがあります。一般的には、若い時期から治療を開始したほうがよい結果につながるとされています。
Q
使用する治療薬や方法によっては、一部の人に副作用が現れることがあります。
Q
通常、3ヶ月から半年後に効果を感じることが多いです。
Q
併用することにより、より高い効果が期待できると報告されています。
Q
治療法やクリニックによって異なります。相場は月5000円～3万円程度です。
Q
女性の薄毛の原因や特徴は男性とは異なるため、男性AGA治療をそのまま女性が受けることはできません。専門のクリニックでの相談が必要です。
Q
頭皮の血行を良くすることで、治療の補助として効果的であると言われています。
Q
健康的な食生活は頭皮や毛髪の健康をサポートするため、推奨されています。
Q
睡眠不足はホルモンバランスの乱れを引き起こし、AGAの進行を早める要因となることがあります。
Q
はい、ストレスはホルモンバランスを乱し、その結果AGAの進行を促進する可能性があります。
Q
一般的に、AGAの治療薬には依存性はありません。
Q
継続的な治療が大切です。また、生活習慣の見直しやバランスの良い食事、十分な睡眠など、毛髪の健康をサポートする生活を心がけると良いでしょう。
Q
育毛サプリメントやトニックはAGA治療の補助として使用できますが、使用前に専門家に相談することをおすすめします。
参考文献
1) Khandpur S, Suman M, Reddy BS. Comparative efficacy of various treatment regimens for androgenetic alopecia in men. The Journal of Dermatology. 2002.
2) Ellis JA, Sinclair R, Harrap SB. Androgenetic alopecia: pathogenesis and potential for therapy. Expert Reviews in Molecular Medicine. 2002.
3) Gupta AK, Charrette A. The efficacy and safety of 5α-reductase inhibitors in androgenetic alopecia: a network meta-analysis and benefit–risk assessment of finasteride and dutasteride. Journal of Dermatological Treatment. 2014.
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